マシコタツロウ、音楽はつらいけど楽しい「ハナミズキ」作曲者が語るプロ論:インタビュー
INTERVIEW

マシコタツロウ、音楽はつらいけど楽しい「ハナミズキ」作曲者が語るプロ論:インタビュー


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年11月14日

読了時間:約12分

聴いている人が名曲を作っている

マシコタツロウ

――マシコさんの思う良い曲のポイントはどこにありますか。

 これは目線によってポイントは大きく変わってしまうんですけど、僕が作っている中でのポイントは、Aメロから始まって、サビまで止まらずにスルスルッと書けた曲です。駆け引きがない状態、安産系ですね。あとは、どこを聴いても飽きない全体のバランスが良いものです。体型でいうと、出るとこが出て、締まるところは締まっているみたいな曲は、良い曲だなと思うことが多いですね。

――確かに良い曲の基準って難しいですよね。自分が良い曲だと思っても、世間ではそんなに評価されていなかったり。

 名曲の定義というものは難しいんですよ。誰が名曲を作っているかといえば、聴いている人が名曲を作っているわけで。

――でも、共感を得やすいポイントというのはきっと存在していて。

 それはあると思います。僕は変わったものを作りたいとは1ミリも思っていなくて、みんなが好き、みんなが知ってそうな曲を作りたいんです。そういうのってスタンダードだと思うんです。例えば、ここにあるグラスとかでも、使いづらければスタンダードにはなりえないと思います。歌いづらいとか、聞き覚えが全く無いものというのは、なかなか入ってこないと思っていて。誰が聴いても分かりやすい簡単な部分が沢山あるなかで、スパイスと言いますか“マシコ印”をドーンと打ち出す感じです。今はサブスクやYouTubeなどで、新しいものもどんどん聴ける時代になったと思うんですけど、でも「これだよな」という、その人の王道みたいなものがあると思っていて、そこを僕は作りたいんです。帰ってくる場所みたいなものですね。

――その王道というところで、名曲と呼ばれるものを分析されたりもしましたか。

 たまに車で音楽を聴きながら考えたりすることもありますね。やっぱり歌いたくなるメロディというものは良いですよね。良い曲は音程のレンジが狭いと思っていて、1オクターブちょっと出るくらいで成り立っている曲が多いイメージです。実際良い曲を分析すると簡単な部分がちゃんとあるんですよね。

 とは言いつつ、僕の曲はけっこう音が飛んじゃうんですけど(笑)。あと僕の場合は例えばミとファみたいな半音階が好きで、それをメロディに使うことが多いです。そうすると歌い手さんから歌いづらいと言われてしまうんですけど、僕はそういったちょっと神経使うような音階も好きで。コードがFだったら、「ミ」に行ってしまっても、コードトーンのメジャーセブンになって、外しはしないじゃないですか。どっちに転んでも良いようなラインが好きなんです。

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