自然に出る感性に沿ったものやりたい、ポップしなないで 現実逃避の音楽性
INTERVIEW

自然に出る感性に沿ったものやりたい、ポップしなないで 現実逃避の音楽性


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年10月19日

読了時間:約16分

ポップしなないでは現実逃避の音楽

かわむら(撮影=村上順一)

――1曲目の「言うとおり、神さま」はどのようなテーマで書かれたのですか。

かわむら ざっくり言いますと、物事を始めて上手くいったかのように見えたけど、上手くいかなかった人の歌なんです。失敗してしまった歌だと捉えていただければと思います。

――何となく歌詞が井上陽水さんのようなニュアンスも感じられるんですよね。

かわむら 主語がない感じとかですね。光栄です。意味があるように取ってもらえても、ないように取ってもらえても良いです。僕らは歌詞というのはそういうものだと思っているので。この曲を聴いてこんな気持ちになって欲しいではなくて、僕らが強くイメージしている映像の切れ端だったり、全然見当違いでも何か感じてくれれば本望なので。

――かめがいさんは歌うにあたって歌詞に疑問を持つこともありますよね?

かめがい ありますね。その時は普通にかわむら君に聞きます。解説してもらったりとか、教えてもらえれば全て納得出来るんです。

かわむら 半分くらいは教えますから。

――全部ではないんですね。

かめがい あとは私が想像して理解する感じです。

かわむら その半分をお任せすること、それが2人でやることの意義だと思っています。僕が彼女と一緒にやろうと思えたのはイチから説明してそれを再現してもらいたいからではなくて、彼女が僕の想像を超えてくれると思ったので、常に考える余地を残すようにしているんです。

――この「言うとおり、神さま」だと、どの部分に疑問を?

かめがい 全体の世界観からです(笑)。でも、一個わかってしまえば理解できるというのがあります。もう3年ぐらい一緒にやっているので「こういう事が言いたいのかな?」というのは何となく感じ取れます。全然違っている可能性もあるんですけど(笑)。

かわむら 違っても全然良いんです。

かめがい あとは読むだけではわからなかったけど、自分が歌ってみたらこういう気持ちになったというところで、それで良しとしています。

かわむら さすがに最後の結論の部分は共有しているので、あとはかめがいさんの中で育ってくれればいいなと。

――そこまでの道のり違かったとしてもゴールが一緒なら問題ないですね。ちなみに神さまにお願いしたりすることはありますか。

かめがい 私の実家はお寺なので、どちらかといったら神は信じていないかも(笑)。

かわむら お寺なら仏様だね。僕も神さまを信じているかと言ったらわからないですけど、各々神さまがあると思うので。運だったり空気感だったりそういった直感的なことは信じたりします。

――続いての「魔法使いのマキちゃん」はモデルやモチーフはいるんですか。

かわむら モデルはいないです。よく「マキちゃんは誰?」と聞かれるんですけど、誰でも良いんです。僕らの気持ちはあるんですけど、正解はないので。テーマとしては寂しいけど頑張ろうという感じです。生きていたら色々あると思うので、自分と周りの速度の違いだったりとか。

 ポップしなないでは現実逃避の音楽だと思っていて、あまり上手くいっていない時に物語的な音楽に支えられることがすごく多かったんです。僕は支えるために音楽をやっているわけではないんですけど、諸々の気持ちを含めて言葉を選んでいったらこういうものが出来上がったという感じです。自分たちではそれをセカイ系と呼んでいるんですけど、自分たちと世界の対比でこういうものが見えるかなというところで作った曲です。

――自分と世間の速度の違い、興味深いですね。

かわむら 誰もがそれを感じていると思っていて、それを無理して合わせられない人が、ポップしなないでを好きでいてくれるのかなと思うんです。自分もそう思っている一人だというのは確かなことかも知れないです。

――この曲を歌うにあたってキーワードとなったことはありますか。

かめがい 歌ってみて、自身が感動するところが沢山あるんです。そこを大切にしています。最初は2番の<いつか キミがいつか 涙をこらえる時が来たら この歌を思い出して笑ってくれるかな>というところが良いなと思って、歌っていくにつれてだんだん好きになっていったのは<忘れないステップ今もまだ踏んで 前へ 少し前へ>というところが好きですね。

――「魔法使いのマキちゃん」のMVも40万再生(10月上旬)に迫る勢いと好調ですね。Maison book girlの和田輪さんが出演されていますが、なぜ和田さんを起用されたのでしょうか?

かわむら きっかけはMaison book girlと僕のやっているバンドTHIS IS JAPANが一緒にカナダでライブをしたことがありまして。その時に彼女たちのカメラマンをしていた稲垣謙一さんと仲良くなりました。それで飲みに行くようになって、ポップしなないでの話をした時に面白いことが出来る人を探そうとなって。その時に出てきたのが和田ちゃんで、イメージしているものを兼ね備えていたのが彼女だったんです。

――メガネ繋がりもあったり?

かわむら それもありますけど、メガネがなくても和田ちゃんを誘っていたと思います。音楽は我々のものなのですが、映像もここまで良いものが出来たことが嬉しいです。

かめがい 理想を超えてきました。

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