堀込泰行「人の手に委ねて変化するのが面白い」世界観広げる試み
INTERVIEW

堀込泰行

「人の手に委ねて変化するのが面白い」世界観広げる試み


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年10月10日

読了時間:約14分

WONKのリズム隊が参加した「Destiny」

――3曲目の「HIGH & LOW」はトランプゲームなどのHIGH & LOWと掛けていますか。

 それもありますし、昔ボードゲームでもあったと思います。歌詞が出来る前から仮タイトルが「HIGH & LOW」でした。本当は一人の人間の人生が上がったり下がったりとかする様を書きたかったんですけど、書き進めているうちにそういった感じではなくなってきて。とはいえ、今の内容も真夜中に都会の地の底を徘徊しているような男の歌でもあるし、その人間も生まれたときは未来は無限にあって、大金持ちになる可能性もあったし犯罪者になる可能性もあるというところで、遠くはないのではと思い、このタイトルも気に入っていたので活かしました。

――2分47秒あたりで<奈落へ>という歌詞と、リンクしているかのようなアコギの効果音がアクセントになっています。これは堀込さんが弾いているのでしょうか。

 そうです。これはデモのテイクを採用しています。レコーディング本番であれより良いテイクは録れないと思っていたので、デモのまま使ってしまおうという判断になりました。

――ライブではそれを再現する形に?

 ライブでは僕かサポートギタリストか、もしくはメンバーの誰かがあの崩れ落ちたような感じを再現しようかなと考えています。

――音源とはまた違ったものが聴ける楽しみがありますね。さて、続いては「home sweet home」ですが、この曲はどのようなイメージで作られたのでしょうか。

 僕はしないですけど、真夜中に一人で編み物なんかをしている時に思い描いている景色があったとして、その人は編み物をしているんだけど、その時も渡り鳥は海を暗いなか渡っているという歌詞なんです。その編み物をしている人のイメージが膨らんでいく様を、個人と渡り鳥というコントラストで描いた歌詞なんです。これ割と複雑なんですけど。

――堀込さんはこの歌詞に出てくる渡り鳥のように旅をしたいと思ったりも?

 いえ、僕は「放浪したいなあ」とかいう希望はあまりないですね。旅の欲求みたいなのはないんですけど、例えば寝ている時に、頭の中で小さな川が流れていて、その川を辿っていくと海につながっていることを考えている時に、自分の中で不思議な気持ちになることがあります。

――面白いですね。堀込さんの頭の中を少しだけ垣間見た感じがしました。さて、続いては「Destiny」ですが、この曲は前作で「Dependent Dreamers」という曲でコラボされましたWONKの荒田 洸(Dr)さんと井上 幹(Ba)さんが参加されています。制作段階から参加してもらおうと考えていたのでしょうか?

 作っている段階では誰に参加してもらおうとは考えていませんでした。デモを作っていく中で、今の若い世代でHIP HOPの感性があるジャズ系のプレイヤーみたいな人が良いなと思っていました。そこでWONKと共演したことを思い出しまして。そんなことを考えていた時に荒田君から電話が掛かってきて。スタッフがもう話をWONKに通してくれて、その返事を直接くれたのかなと思ったら全然違う用事だったんですけど(笑)。僕から直接お願いした方が良いなと思って、その時にオファーしました。実際作業している時も2人からこういう風にしたいとかアイデアも出してくれて、それを求めていたところもあったので良かったです。

――レコーディングはいかがでした?

 通常はレコーディングスタジオに入って録るんですけど、その前に一回セッションみたいな感じでバンドで合わせてからレコーディングしようということになって。バンドじゃない僕がバンドサウンドを欲しいときはこの形が理想的で。街のリハーサルスタジオでセッションしてから後日、本番に臨みました。

――では本番もスムーズにレコーディング出来て。

 それが録音当日にリハーサルでやっていたBPM(=テンポ)より速くしたんです。本当はもっとゆったりした曲だったんですけど、けっこうBPMを上げました。演奏的には7テイクくらい録ったんですけど、採用されたのは2テイク目で。当日も試行錯誤があったのでスムーズという感じではなかったんですけど、結果、格好いいものが出来たなと思っています。

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