リアルを真っ直ぐに届けたい、阪本奨悟 今目指すアーティスト像
INTERVIEW

リアルを真っ直ぐに届けたい、阪本奨悟 今目指すアーティスト像


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年07月25日

読了時間:約11分

アドリブが多い「夏のビーナス」のMV

阪本奨悟(撮影=冨田味我)

――さて、1曲目の「夏のビーナス」は清涼感のある阪本さんの歌声が聴けますが、この曲はどのようなきっかけで生まれたのでしょうか。

 2年前ぐらいに書いた曲なんです。僕は日焼けアレルギーだったり、泳げなくてカナヅチだったりで、夏を楽しんでいる人を見ると羨ましかったり、憧れがありました。夏とは縁遠い自分だったので、夏の曲が今までなかったんですけど、それをテーマに書けるんじゃないかなと思って。自分の夏に対するイメージを克服してやるという思いも込められています。

――夏に対する決意表明みたいな。

 そうですね(笑)。片思いの曲なんですけど、夏に恋をしていたことも鮮明に覚えています。それは全然上手くいってなかったからだと思うんですけど。

――それが僕からすると意外なんですよね。

 いえいえ、本当に全然好きな人に振り向いてもらえなかったので。学生の頃ってすごくピュアに恋をしていたなと思って。今も僕はピュアな方だとは思ってますけど、学生の時はよりそうだったなと。東京には色んなものがあるので、恋なんてしなくても楽しいのかもしれないですけど。小さな町で出会った女の子への気持ちってすごくピュアだと思っていて。そういった僕の経験もリアルに思い起こして書いています。

――この歌詞の世界観は「鼻声」にも通じている?

 学生時代の出来事なので通じていると思います。「鼻声」も上手くいってない恋愛の話ですし、「恋と嘘 ~ぎゅっと君の手を~」もデート中の描写ではあるんですけど、上手くいっていると思いきや、緊張してしまって全然楽しめていなかったり(笑)。全然イケてなかった自分のことを楽曲にすることによって払拭できている感覚はあります。その負の連鎖がこの「夏のビーナス」でも出てしまっています(笑)。

――MVもすごく楽曲の世界観に寄り添った画になっています。

 監督の山岸聖太さんもすごく楽曲に歩み寄ってくれまして。最初に書いていた歌詞から変わった際に、その度に企画を変えてくれたり、提案してくれたりしてくれていたので、すごくありがたかったです。その分ご迷惑をおかけしました、、、、。(笑)

――冒頭のケチャップを大量にオムライスにかけるシーンが印象的でした。

 あれは監督の演出なんですけど、僕が恋をしているナツコのキャラクターがあそこで滲み出ていて(笑)。他の女の子とは違うということがあそこで表現されています。

――ご自身も演技されているこのMVの見所はどこでしょうか?

 このMVは割とアドリブの演技での演出が多くて、動きも特に大きな指定はありませんでした。なので、結構自由にやらせてもらいました。その中で自分のお気に入りのシーンがあって、ナツコを呼んでかき氷を頼むシーンがあるんですけど、そのかき氷にさくらんぼが山盛りになっていて、観たことのない画が飛び込んでくるんです。そのさくらんぼが2〜3個机に落ちるんですけど、それは台本にも書かれていないんです。その時に起きたハプニングだったんですけど、僕もアドリブでそのさくらんぼを食べることにしました。そのシーンを監督にも「良かった」と言って頂けて、MVにも使って頂きました。あそこで主人公の生真面目さが垣間見えたシーンだと思っていて、僕もお気に入りのシーンになりました。

――アドリブだとわかるとまたMVの見方が変わりますね。さて、「人生のピーク」はこれまでにないほど有頂天な状態が描かれています。

 この曲は僕のなかで今までにないくらいお馬鹿ソングだと思っています。デレデレでのろけている歌なんですけど、1年〜2年くらい片思いの人とカップルになってデートしているという状況を書いているんですけど、これは全て妄想なんです。そんな人と付き合えたら自分はどんな風になるのかなとイメージして。<ねえ どうして こんな僕が? 一体どんな風の吹きまわし?>のような不安を感じさせる歌詞の部分もあるんですけど、そのあとに<でもそれは またにしよう だっていまが こんなに幸せなんだから>とそれ以上に恋愛に対しての楽しさ、嬉しさ、幸せを120%で感じている様子を書きたかったんです。このアルバムの中でも一番はじけている楽曲に仕上がりました。

――タイトルにもある“人生のピーク”を感じたことってありますか。

 暗い話になってしまうんですけど、高校2年生の時に一度、今の事務所を離れて音楽活動を一人で始めた時に感じたことがあります。お客さんも集まらず、上手くいかなかったとき、その時はどん底に感じたこともありました。そのどん底の時の自分は、役者をやって上手くいっていた時の自分が人生のピークだったんじゃないかと想像していた時はありました。プラスの意味で「今が人生のピークだ!」とリアルタイムに感じたことはないですね。なのでピークもこれからどんどん塗り替えていきたいです。

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