リアルを真っ直ぐに届けたい、阪本奨悟 今目指すアーティスト像
INTERVIEW

リアルを真っ直ぐに届けたい、阪本奨悟 今目指すアーティスト像


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年07月25日

読了時間:約11分

シンプルさを大事にトライした

阪本奨悟(撮影=冨田味我)

――「自分らしく生きていたい それだけなんだけど」は、またストレートなタイトルをつけられましたね。

 この曲はドラマ『目玉焼きの黄身 いつつぶす?』のEDテーマとして制作しました。原作を読ませてもらったんですけど、人の食べ方とかに疑問を抱いて、自分はこっちの食べ方がいいのにとか、熱くなってしまう主人公なんです。そんなことで熱くなるなんて馬鹿らしくないかと思うんですけど、でも自分に置き換えてみると人生観などそういったことって多々あるなと。

 音楽や役者、なんでもそうなんですけど沢山の人たちと作品を作るわけで、自分が描いているものと、他の人が求めているものは違うこともあってぶつかることもあると思うんです。その度に「なんで自分のことをわかってくれないんだろう」とか熱くなっている自分もいたので、それを表現してみようかなと思いました。自分も人と衝突することはあるので…。お互いが人の意見にも尊重し歩み寄れたらいいなと思いました。そのメッセージがうまく伝えられたらいいなと。

――僕の中での阪本さんはクレバーなイメージがあるので、衝突しているイメージがわかないですけど…。

 いやいや、ありますね。自分の常識的に考えられないことがあると、熱くなってしまうこともあります。猪突猛進ってほどではないですけど(笑)。この曲は割とケンカの歌なのかなと。

――ケンカも重要ですから。そこから深まる絆もありますし。さて、「スクランブルドリーミング」は葛藤などあったのでしょうか。

 楽曲自体は2年ぐらい前からありました。僕の出身地は兵庫なんですけど、そこから東京に出てきて一人暮らしを始めて、何年か経ってみて東京という場所が求められるハードルがすごく高い場所なのかなと思っていまして。それはたくさんの人が集まっている場所だからと思うんですけど、それもあって淘汰されていくんじゃないかと感じることも多くて、ヒットチャートを見ていても1日、2日で塗り替えられていって…。いろんなものが変わり、動き続けていて「止まらないんだなこの街は」と思いました。

――そこで渋谷という街をモチーフに。

 今感じる都会への思いというのを書こうと思いました。あのスクランブル交差点にはいろんな人たちが集まってきていて、それが渦巻いて歯車となって常に動き続けているんだなというイメージがあります。そのぶん厳しさみたいなものを自分も感じたりして。僕自身アーティストしても走り出したばかりですし、まだ何者でもない存在なのでそう言った不安は感じていて、今だからこそリアルに書けることなんじゃないかなと思いました。

――そのなかで後半に出てくる<輝け>という言葉が印象的でした。あえてメロディに乗せず、役者としての阪本さんが垣間見れた瞬間といいますか。

 最初はメロディがありました。自分の気持ち的にメロディにも収まらない感情があったんです。何者でもない今だからこそ、そのぶん大きな沸々とした熱い想いというものがあると思ったので、抑えられない感じを残したいと思いました。実はこの<輝け>はスタッフさん含め賛否両論あって、最初僕が提案した時に「やりすぎなんじゃない?」みたいな意見もありました。最終的には僕の意見を尊重して頂きました。これができるのも今なんじゃないかなと。若さもあると思うんですけど、抑えられない気持ちをすごく大事にしたかったんです。どの<輝け>でいこうかレコーディングのテイク選びもかなり迷いました。

――ニュアンスにもこだわったんですね。最後に今作を一言で表すとどんな言葉になりますか。

 「ストレート」ですね。もう本当に全曲がまっすぐに書けた気がしています。僕自身もそれを意識して書いていきました。それはやっぱり自分が思っている素直な思いや、聴き手にまっすぐにスっと心に入ってくるメッセージを届けたいなと思っていたので。1stアルバムというと、今後アーティスト活動を続けていく上で、これからの原点になる作品になると思ったので、今自分が伝えたいことをわかりやすい形で残すべく、10曲を通してしっかり皆さんに伝えたいなと思いました。まっすぐさ、シンプルさを大事にトライしたアルバムなので、そこを感じてもらえたら嬉しいです。

(おわり)

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