リアルを真っ直ぐに届けたい、阪本奨悟 今目指すアーティスト像
INTERVIEW

リアルを真っ直ぐに届けたい、阪本奨悟 今目指すアーティスト像


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年07月25日

読了時間:約11分

 シンガーソングライターの阪本奨悟が7月25日、メジャー1stアルバム『FLUFFY HOPE』をリリースする。昨年の5月に福山雅治プロデュースで話題となったメジャーデビューシングル「鼻声/しょっぱい涙」など、阪本が以前から掲げているテーマとも言える「リアル」をコンセプトにした全10曲を収録。綿毛のように曲が全国へ広がっていって欲しいという想いが込められた今作。リミッターを外し制作したという「カラカラな心」や「人生のピーク」などバラエティに富んだ楽曲に込められた想いや、阪本奨悟が現在考えていることなど話を聞いた。【取材=村上順一/撮影=冨田味我】

綿毛みたいな連鎖が起きて欲しい

阪本奨悟(撮影=冨田味我)

――メジャーデビューから1年が経ちましたが、改めて振り返るとどんな1年でしたか。

 怒涛の1年間でした。デビューしてすぐに2枚目のシングル「恋と嘘 ~ぎゅっと君の手を~」の制作に入り、こちらもリリースして各地でライブやイベントに出演してその後すぐにドラマのエンディングテーマ「自分らしく生きていたい それだけなんだけど」の制作に入って、その後今回のアルバムの制作と、楽曲制作たっぷりな2017年でした。

――ちなみにこの1年間お休みはあったのでしょうか。

 昨年はちょこちょこありました。けど、今年に入ってからはほとんどなくて。

――今年に入ってから『刀剣乱舞〜結びの響、始まりの音〜』というミュージカルが50公演ありましたからね。

 今は終わってみて寂しさもありますがホッとしている自分がいます。舞台は生なので気は張ってました。体調を崩したら周りに迷惑が掛かってしまいますし、休演日があってもこのアルバムの制作などしていたので。今がちょっと落ち着いてゆったりとしています。

――アルバム制作もこなしていたとなると相当大変でしたね。

 ちょうど「刀剣乱舞」の稽古中にこのアルバムに入っている「カラカラな心」の制作をしていまして、稽古が終わるのが22時ぐらいでそこからレコーディングという流れがありました。ギターや歌を録り終えたのが朝の7時とかで…。

――阪本さん自身もカラカラで。

 まさにその時は“カラカラ”でした(笑)。アニメ『奴隷区 The Animation』のオープニングテーマではあるんですけど、かなり自分自身のリアルも入ってますから。

――以前のインタビューでもリアルを出していきたいというのは仰ってましたよね。

 それが今回かなり出せたような気がしています。歌詞を書いていくときに、原作では人間の欲望やドロっとした部分が描かれていて、主題歌にもそれを反映させようと思いました。今までだったらわがままに見えるんじゃないかとか思って、そういった類いのものは書いてこなかったんです。『奴隷区』がきっかけが凄くいい起爆剤になって作詞することができました。なので、今まで抑えていたリミッターを外した状態で、自分の欲望を率直に落とし込むことが出来たような気がします。

――リミッターを外しての作詞はスムーズにいくものなのでしょうか。

 作詞はスムーズでした。普段思っている欲望をそのまま書けば良かったので。例えば、お金が欲しいなぁとか本音を言いだせばキリがなくて、それを口に出せば出すほど嫌われていくんですけど(笑)。

――確かに(笑)。歌詞にある<ありあまる富 名声を手にした起業家は 全てを掴んだのだろうか>は僕も疑問に感じている部分だったんですけど、阪本さんはどう思っていますか。

 僕はまだまだ富も名声ももちろんないと思っているんですけど、人間って富や名声をすごく持っている人でも、満足することってないんじゃないかなっていう疑問はあります。

 でも、それが生きる糧になっていて、なくなったらみんな一生懸命生きようとは思わなくなってしまうのではないかとも思いました。憶測ですけど、ビル・ゲイツさんのような世界的に著名な方たちも、もっと何かを求めているんじゃないかなと。

――そうかもしれないですね。さて、今回のアルバムタイトルにもなっている『FLUFFY HOPE』なんですが、“FLUFFY”という単語は、あまり日本では馴染みのない単語ですよね。

 Fluff(フラフ)という単語があって綿毛という意味がある単語なんですけど、それにすごく惹かれた部分がありました。アルバムのタイトルを考えていた時期がちょうど春だったこともあって。アルバムって今の阪本奨悟の集合体だと思っていて、その曲たちが綿毛みたいだなと感じました。

 綿毛というのは自分の命を広げるために風に吹かれて、降り立った地で命を芽生えさせて…ということの連鎖でたくさんの場所から広げて行っているイメージだったので、それがシンガーソングライターの活動を彷彿とさせるなと感じました。曲を聴いたその人たちが広げてくれる、それが僕の目指しているアーティスト像や活動だなとその時思ったので、このアルバムも綿毛みたいな連鎖が起きて欲しいという願いを込めてつけさせていただきました。

――このタイトルから引っ張られた曲もあったり?

 結果的になんですけど、「鼻声」や「恋と嘘 ~ぎゅっと君の手を~」など僕の曲は優しいサウンドが多いなと感じていたこともあって、この言葉が合うなと思いました。おのずと僕の曲に寄り添うようなタイトルになったのではと思います。

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