ラッパーのAwichが去る3月2日、東京・渋谷SOUND MUSEUM VISIONでおこなわれた『K-P.O.W.E.R. Feat. DPR LIVE FIRST LIVE IN TOKYO!! & BASEMENT TOKYO FIRST ANNIVERSARY Produced by WONDER&CLOCKS//ワンクロ』に出演した。このイベントは毎回、韓国のクリエイティブなアーティストを招いておこなわれるもの。今回は現在韓国で若者から絶大な人気を集めるラッパー、DPR LIVEの東京での初ライブが話題となっていた。このなかで沖縄出身のAwichは巧みなフロウとライブスキルを披露。フロアの多様な国籍の観客をアグレッシブなステージで魅了した。日本と韓国のヒップホップシーンが交差した、この日のAwichのライブの模様を以下にお伝えする。【取材=小池直也】

白い天使

Awich

 hyoxxi × TOMOYA YAMASHITAの、4つ打ちからトラップに流れていくペース配分ばっちりなDJに続き、深夜2時。ステージは暗転し「BoSS RuN DeM」のイントロが流れた。赤い照明とともにAwichが落ち着いた様子でステージイン。

 白いスウェットと深めに被った白いキャップ姿の彼女は。さながら白い天使。しかしサウンドはドープ、ラップはエッジィだ。彼女が登場しただけで、既に温まっていたフロアの熱気がさらに上がっていく。すかさず、2投目「Come Again」。携帯をかざすオーディエンスをAwichは野性的に煽っていく。

 続く「WHORU?」では観客も声を合わせて歌った。「マジでお前誰?」とは口の悪い天使である。そして「トーキョー、もっといけるよね?」と前置きしてから、客演ANARCHYのバース(ラップ)をなぞって歌い、エンディングまで持っていった。

 ビートが移り変わって「Sega」へ。「渋谷、暑いです。みんな飲んでますか?」とフロアに問いかけてから、マイクに言葉を吹き込む。段々と舌がグルーヴするとともに、体幹と同じリズムで長い髪の毛が揺れていた。

「Foo Fool Boy」でDPR LIVEに繋げる

Awich

 ここでMC。Awichは女子率高めな観客を見る。「可愛い子が多いんですけど。DPR LIVEを観に来た人?」、「待ってね、もうすぐ会えるから」とユーモアを込めた。さらに「DPR LIVEは格好良いけど、ダサい男もいるから。そいつらに捧げる曲を作ってきました。今日は気を付けてくださいね」と女子たちに注意喚起。

 その曲は「Foo Fool Boy」。キックの低音がずしっと響く。静寂なパートを挟んで、キャッチーなフック(サビ)で飛び跳ねながら、テンションの高いパフォーマンスを展開。踊りながら歌うAwichへ歓声が起こる。

 そして、フィニッシュは「Remember」だった。Awichが「こんなもんじゃないでしょ! あっつあっつにしてDPR LIVEに繋げたいだろ!」と煽ってからスタート。

 イントロから大合唱が起こり、Awichはオーディエンスを扇動する。さらに「VISION、行きまーす」とマイクパフォーマンスして、フックに乗り込んだ。「カムサハムニダ」と、韓国系オーディエンスへのサービスも忘れない。ところどころ音を抜いてラップを活かす場面でも、バックDJとのコンビネーションが光った。

 エンディングしてからAwichは「アイラブユー! トーキョー!」と残して退場。夢の様な20分間が終わった。その後、主役のDPR LIVEも圧巻のパフォーマンスを見せ、韓流ヒップホップの現在地を東京に刻みつけた。

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