元乃木坂46のメンバーで女優の生駒里奈(22)が先日都内でおこなわれた、映画『HURRY GO ROUND』の初日舞台挨拶にゲストとして登壇した。乃木坂46卒業後の初イベント出演となったが、無類のhideファンぶりを語る姿が印象的でもあった。

 hideの音楽に大きな感銘を受け、リアルタイムな刺激ではなかったものの、その衝撃をすっかりと受け止めたという生駒。特にこの日のイベントのBGMとして掛かったhideの楽曲「DOUBT」は自身も大のお気に入りの楽曲で、乃木坂46在籍時にも自身の平静を保つ上で大きな役割を果たしたことを明かした際、イベントに同席していたhide with Spread Beaverのメンバーで、プロデューサーのI.N.A.が突然プッと噴き出した。「DOUBT」自体がゴリゴリのインダストリアルな雰囲気を感じさせる楽曲であることからも、それに対して自身の平静のもととなったと言われ、I.N.A.が思わず「ビックリですね」と驚いたのは無理もないことだったかもしれない。

 しかしそれでも生駒がしっかりと「それほど(この曲には)パワーがあるんです」と返したところに、新たな可能性も感じた。自分が信じるもの、自分が好きだときかないもの、そんな確固たる思いすら感じられた。リアルタイムを知らないままhideのファンになった生駒にとって、実際にhideと人生の一部を共にしたI.N.A.という存在は、ある点では“雲の上の存在”と見えるところもあるだろう。だが、それに臆することなく自身の「DOUBT」に対する印象、思いを語ったということには、自分を信じることに大きな自信を持ったようにも見えた。

hide/DOUBT

 実は正直当初彼女が在籍していた乃木坂46に対して、私は生駒の印象を強く感じていた。グループで活動していくというスタイルが定着していった現在のアイドルだが、その中で一人だけショートカットの女の子がいる、と。最初はそんなビジュアル的な部分だけだったが、彼女らの活動が続いていく上で、いつしか単なるイベント中のトークなどでも、彼女のポジションが大きな位置を占めていることが感じられた。それは、秋元康氏がグループ結成にあたり生駒を軸に構築していくと語っていたことや、その背景からか初期は生駒がセンターを務めることが多かったことからをみても注目されるのは必然的だったといえる。

生駒里奈のhide愛がにじみ出ていた

 ただ発言が注目されるということは、グループ全体の印象に悪影響を及ばないように言葉にセーブをかけることもある。それは彼女自身の本音を押し殺してまわりを優先させることにもなるだろう。その意味では、乃木坂46卒業後の生駒がこの日見せたこのような姿は、それを一つ外して「生駒里奈の姿」の一端が垣間見えた瞬間でもあった。

 今年はじめに放送されたドラマ『オー・マイ・ジャンプ!~少年ジャンプが地球を救う~』(テレビ東京系)で、ドラマへの単独初出演を果たした生駒は、自身がメインとなった回には「吐きそう」と放送への不安を見せていたこともあったというが「(撮影は)どうしようかなという感じでしたが、見た人に不快な思いをさせないようにと、思ってやりきりました」と必死で演じきったことを振り返っている。

 そんな経緯を見ると、大きな壁に果敢に立ち向かい、その壁を乗り越えつつあるようにも見える生駒。今後の活動にも、もちろん期待したいところだが、かつて生駒がhideに憧れ、大きな心の支えとしていたのと同様に、自身の歩みが誰かに憧れられ、大きな支えとなる、そんな人として成長してほしいと願っていたりもする。音楽が伝わっていくということは、そういう歩みを見せることでなされるものでもあり、受けたものを自身の思いとしてブラさない、そんな一端を見せた生駒であれば、それも可能ではないか、などと思ったりするからだ。【桂 伸也】

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