INTERVIEW

生駒里奈

「自分自身をやっと肯定できた」なにわ男子・西畑大吾との共演で感じたこととは?:映画『忌怪島』


記者:村上順一

写真:村上順一

掲載:23年06月18日

読了時間:約7分

 生駒里奈が、西畑大吾(なにわ男子)主演映画『忌怪島/きかいじま』(6月16日公開)に出演。生駒は「VR」研究チーム“シンセカイ”のプログラマー深澤未央を演じる。映画『犬鳴村』『樹海村』『牛首村』の“恐怖の村”シリーズを生み出した東映と清水崇監督が手がける最新作。「島」という閉鎖空間を舞台に「VR」の世界を融合。「VR」研究チーム“シンセカイ”に次々と降りかかる不可解な死と謎、解き放たれた「赤い女」の怨念、真っ赤に染まる島。現実と仮想という2つの空間で恐怖が待ち受ける。キャストに山本美月、平岡祐太、水石亜飛夢、川添野愛、當真あみ、祷キララらが出演。インタビューでは、「もっと早くお会いして色々相談したかった」と話す西畑大吾の印象から、本作で意識していたこと、自身が役者を続けていくために考えていることについて、話を聞いた。(取材・撮影=村上順一)

いかにリアルに見せていけるのかが肝心

村上順一

生駒里奈

――ホラー作品は苦手で、普段はあまり観ないとお聞きしているのですが、本作はちゃんと観れました?

 自分が出た作品はもちろんチェックしますが、私は怖いのは苦手なので積極的ではないんです。『忌怪島/きかいじま』は試写があったので、そのタイミングで観させていただいて、しっかり怖いんですが、いろいろな意味ですごく面白い作品に出演することができたなと思いました。

――何作かホラー作品に出演されているので、だいぶ慣れてきたのでは?

 最近やっと自分の映像や芝居を見ることができるメンタルになってきたので、今後ホラー作品に出ることがあったらしっかり観たいなと思います。心構えがちょっと大人になりましたね(笑)。

――『忌怪島/きかいじま』で登場するVR、このような最新技術とホラーの融合はどのように感じていますか。

 昔はビデオテープやブラウン管のテレビであったり、その時代に合ったホラー作品があったと思うので、それが現代ではVRという認識です。そういった技術に合わせたホラー作品がついに来たなという印象がありました。

――生駒さんはそういった最新技術のデバイスに興味はありますか?

 私は機械に弱いので、ちょっと苦手かもしれません...。たぶんVRも使いこなせないと思っていて、周りからだいぶ遅れて始める可能性はありますね。私はゲームも得意ではないので、最先端のゲームも、なかなか手を出すまで時間がかかるんだろうなと思っています。

――さて、清水崇監督とは初めてですね。どんな印象を持たれました?

 今回ご一緒させていただいて、とても面白い方だなと思いました。

――どんなところにそう感じましたか?

 まず、いろいろなタイプのお化けの猫柄のTシャツ着ていて個性的だなと思いました(笑)。そういうのがお好きなんだろうなと個性として受け止めていましたが、改めて思い返してもやっぱりすごいデザインだなと思います。奥様に買っていただいたみたいなんです。

――シャツの柄、すごく気になります。撮影中の監督の指示はいかがでしたか。

 監督の指示はとても的確でした。ひとつのシーン毎に整理整頓を必ずされて撮影に挑ませていただけるので、すごくやりやすかったです。

――撮影で印象に残っていることは?

 印象的だったのは、シャーマンのトキさんのお家で脳波を調べるというシーンですね。その日は1 日中その家にこもっての撮影でした。朝でも照明が暗くなると、だんだん眠くなってきてしまうので、寝ないようにみんなでくだらない話をしたりして乗り切りました。そのおかげでラフな関係性になれたような気がします。

――敵は睡魔だったんですね(笑)。ところで、オフはありました?

 ありました。オフの日は島の観光名所を巡ったり、ご飯に行ったり、お散歩したりしていました。「あそこのスーパーにYakult1000売ってたよ」という情報を(山本)美月さんから聞いて、そこにみんなで行ってみたり(笑)。あと、近くに海もあったので、撮影が午後からの時は、朝早く起きて散歩をしたり、ゆったりと過ごしていましたね。

――映像で見ると奄美の普段の雰囲気とは違って、見せ方の凄みを感じさせますよね。

 撮影は怖いことも起きず、楽しみながら臨むことができました。映像の総合芸術、映画もドラマも全部そうだと思うんですが、ここまでの作品に変化するんだというのは、私も完成した作品を観て改めて驚きました。

――生駒さんが、視聴者に怖さを伝えるために意識していることは?

 未央はどうやって驚くのか、ということを自分で考えていますが、“こうやった方が怖く見える”といったようなことはあまり考えていませんでした。例えば悲鳴だけで怖がらせるわけではないので、イマジョが出てきて怖いであったり、状況に対してわけがわからなくなって叫んでしまうというところを、きっと見てる人は怖いと感じると思うので、いかにリアルに見せていけるのかが肝心だと思っていました。

――ちなみに最近、恐怖体験はありました?

 最近は怖いと思うことも少なくなってきて、怖いんだろうなくらいで終わってしまいます(笑)。なんで怖いんだろうという理由の追求をすると案外怖くないんです。そういう風に考えてみると落ち着いて何事も考えられるようになったので、怖いものも少なくなってきたかなという印象です。その怖いものも含めて色々感じられる方がちょっと楽しいかなと思ってます。

自分自身をやっと肯定できた

村上順一

生駒里奈

――主演の西畑さんの印象は?

 本当にアイドルで、現場もすごく盛り上げてくださいました。西畑さんはなにわ男子の活動があるので、奄美と東京を行ったり来たりしていました。「今日撮影が終わったら東京に戻るから、また明後日の朝に来るね 」といった感じだったので、みんな「お願いだから倒れないで。風邪をひかないで」と祈っていました。一切疲れなどを見せない姿に、チーム全体が引っ張ってもらっているような気がしました。

――生駒さんもアイドルをやられていて、グループでセンターを務めていたので、リンクするところも多かったのでは?

 はい。もっと早くお会いして色々相談してみたかったですね。「本当に大変だよね」と共感できる人が世の中にいたんだと実感したのは初めてでした。

――プレッシャーとか想像を絶します。

 私は乃木坂46がデビューして最初のセンターだったので、メンバーやスタッフさんに愚痴をこぼせなかったんです。西畑さんとお話をして、私も頑張ってきたんだと自分自身をやっと肯定できたような気がしたので、同士という感覚があります。

――当時、辛くても誰にも話せなかったことがたくさんあったんですね。

 他人の愚痴って贅沢な悩みがほとんどじゃないですか。そう思われてしまうだろうからなかなか言えなくて。今回、西畑さんだけではなく、共演者の皆さんはいろいろな経験をされてきた方々なので、映像や舞台のことだったり、和気あいあいと話すことができて良かったです。

――生駒さんが本作で一番見てもらいたい姿は?

 「私を見て」という感じはなく、そういう役柄でもないんです。むしろそういう風にお客さんに見られてしまったら、私は失敗かなと思っています。『忌怪島/きかいじま』での自分は、そこにいかに溶け込むかということが課題でした。この作品を観られる皆さんには西畑さん演じる片岡友彦やイマジョの関係をしっかり胸に焼き付けて映画館を出てほしいなと思います。映画を観ている方と同じ気持ちになれるのが私の役だと思うので、皆さんと同じ気持ちの人がスクリーンの中にいて、ちょっと安心して観てもらえたら私の中では成功かなと思っています。いい意味で意識されないことが正解で、私の目標として挑んでいました。

――役者として追求していきたいことはありますか?

 私が今 一番に考えていることはお仕事なんです。お仕事を長く続けていくということしか考えていなくて。長く続けていくということは、いい役者、いい素材になるということが一番なので、常におごらずに前向きに成長していかなければということを常に考えています。

――最後に生駒さんが思う本作の見どころは?

 ホラー映画はただお化けが怖いだけじゃなく、人が、その歴史が、その土地が、考え方が、など様々な怖さがたくさんあります。『忌怪島/きかいじま』は身の回りにあふれているものが恐怖になる、と深く考えさせてくれると思います。とにかく怖さの種類が豊富なので、ぜひ劇場で楽しんでもらえたら嬉しいです。

(おわり)

©2023『忌怪島/きかいじま』製作委員会

衣装協力/Ground Y 
スタイリスト・・・津野真吾(impiger)
ヘアメイク・・・スズキユウジ(MAXSTAR)

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