AAA日高光啓がソロ名義「SKY-HI」として去る4月20日・21日、ライブツアー『SKY-HI TOUR 2018 -Marble the World-』の千葉公演を、千葉・幕張メッセイベントホールでおこなった。

 2013年にソロとしてメジャーデビューを果たして5年になるSKY-HI。AAAでの存在も大きいが、これまで3枚のオリジナルアルバムと9枚のシングルをはじめとして制作にも積極的に向き合い、2017年には武道館公演、さらに海外公演を成功させるなど、ソロとしても大きな人気を博し、磐石な体制を整えつつある。

 3月1日から埼玉・大宮ソニックシティホールでの公演を皮切りにおこなわれた今回のツアーは、自身3度目となるホールツアーであり、既にこの日に先だって府中の森芸術劇場で2日間の追加公演がおこなわれており、好評なツアーの様子もうかがえるとともに、今後のさらなる飛躍が期待されるところだ。今回は千葉公演の、2日目の模様をレポートする。【取材=桂 伸也】

「今日は必ず最高に素晴らしい日になる!俺がする!」SKY-HIの意気込みを表したスタート

名古屋公演のもよう

 ライブのスタート5分程前より、ステージ上方の照明が赤く観衆を照らし始めた。会場には「Radio Marble」と銘打ち、2人のパーソナリティーがラジオ番組のようなトークを繰り広げながら、音楽を流しているのが聞こえる。その終盤、ライブスタートに向けた言葉が流れる。

 「キミたち、ここにいるFLYERS(SKY-HIの熱狂的なファン)のみんななら分かっているはず。これから素晴らしい時が始まるということを。そしてここからは彼に、そして彼の最高の仲間たちに任せよう」

 そしていよいよスタートの瞬間、「準備が出来たみたいだ。FLYERS、準備はいいかい? さあ、パーティーを始めよう!」この言葉が終わるのが先か、一瞬の暗転、続いてこの日の観衆を迎えるナレーションとSE、そして自身のバンドでもあるTHE SUPER FLYERSの登場。ついには「and on the Mic,SKY-HI!」との呼び声と共に音楽はブレイクし、観衆の盛大な感性に包まれSKY-HIがステージに登場、「さあ、始めようか!」の一言より「BIG PARADE」でステージはスタートした。

 ダンサーにコーラス、そしてホーンプレーヤーまでもがステージに立ち、歌い踊るのが楽しくてしょうがないという表情を見せるSKY-HIに追従し、ゴージャスなダンス空間を演出する。SKY-HIの歌声は観衆をさらに興奮に包む一方で「Lemme hear say!(みんなの声を聞かせてくれ)」と叫び、1曲目から楽しげな掛け合い。「Blanket」「逆転ファンファーレ」「愛ブルーム」と目まぐるしく展開する楽曲に、観衆は息をつく暇もないほどの様子。それでも高鳴る心臓音のように繰り出されるリズムに、じっとしてもいられない観衆は、皆ずっと体を揺らし、時に手拍子をしたり、大きな歓声を上げたりと、そのひと時を体いっぱいで楽しんでいた。

 気温の上昇によりようやく初夏の兆しを見せ始めたこの日、会場を訪れた観衆に向かって、SKY-HIは感謝の思いを告げながら「今日は必ず最高に素晴らしい日になる! 俺がする! そのために(俺は)来た! 宜しくな、幕張メッセ!」とライブへの全力投球を誓う。その声にさらに気持ちを高ぶらせた観衆は、さらに大きな歓声で応え、途中クールダウンした「Blame It On Me」などをはさみながらも、ノンストップで進行していくステージについていく。そんな観衆の様子にSKY-HIも「なになに? チョー元気じゃん!? 楽しいじゃねえか、チクショー!」と喜びの声を上げながら、さらに歌に、ダンスにと力を込めていった。

真骨頂のラップで圧倒、洒落た“寄り道”で観衆を魅了

名古屋公演のもよう

 歌にダンス、そしてパフォーマンスからMCに至るまで、バラエティに富んだ引き出しを見せるSKY-HI。その持ち味は数あれど、何といっても特筆すべきはラップのテクニック。AAAでもその優れたラップを披露し人気を集めるSKY-HIだが、ここではまさに彼だけをフィーチャーしており、その持ち味を遺憾なく発揮する。楽曲の端々に出てくるものもとてもエキサイティングだが、バラードのハーモニーの中に溶け込む「Young,Gifted And Yellow」「十七歳」で情感を表現したかと思えば、ぼくのりりっくのぼうよみと作り上げた詞をマシンガンのように吐き出し、あふれる情熱を会場いっぱいに広げる「何様」など、自身の思いをつめた言葉が無数に会場を飛び交い、聴くものの胸を直撃し、さらなる胸の高鳴りを呼び起こしていった。

 後半は、ダンサー(BLUE FLAP QUARTET)の4人が革ジャン姿のツッパリ・スタイルで見せる恒例の茶番劇(?)「センテンス」からスタートし、SKY-HIを支えるTHE SUPER FLYERSをフィーチャーした「One Night Boogie」 から、またもや大きな盛り上がりを見せた。そして躍動するリズムに、観衆が思わずたまらないといわんばかりの、このファンクナンバーへ。そして一頻り大きな盛り上がりを見せ、いよいよエンディング、となる直前になぜかプレーは突然ストップする。

 「まだ拍手は早いんじゃない?」、SKY-HIがふと観衆に語りかけた。そこで彼が示したのは、楽しいナンバーだけに、この曲を直ぐに終わらせたくない、という言い分。そして今度は「15分ばかり、寄り道をしないかい?」と観衆に呼びかけ、ステージを再開。マイケル・ジャクソンの「Beat It」やアース・ウィンド&ファイアーの「September」、さらにはSKY-HIが尊敬するアーティストの一人、マーク・ロンソンの「Uptown Funk」に、自身も参加したFIRE HORNSの「VERY BERRY」、さらに「アドベンチャー」「Ms.Liberty」と自身の楽曲と、立て続けにグルーブたっぷりのダンスナンバーを観衆にお見舞いし、ラストに再び持ってきた「One Night Boogie」にて、この日最高潮の盛り上がりを引き起こした。

音楽から受けた恩恵、そしてSKY-HIがFLYERSに与えるもの

名古屋公演のもよう

 いつまでも鳴り止まない歓声の中、暗転したステージにはキーボードが置かれる。ステージは一度クールダウンし、ここでは弾き語りによる「クロノグラフ」、さらに続けて「キミサキ」「アイリスライト」と、まるでこれまでの興奮が嘘のような、静かなバラードへ。じっとその曲に聴き入るもの、口ずさむもの、人それぞれだが、この時SKY-HIの歌声が皆の中心にあり、それにより大きく感情を揺さぶられていたことだけは、観衆全てに共通していたことだったに違いない。

 そしてクライマックスを目前に、SKY-HIは観衆への感謝の気持ちを告げながら、改めて語る。音楽は究極のコミュニケーションだと思うこと、それは一方通行のものではないということ。

 俺の音楽を受け取ってくれた君のおかげで、俺は生きている、存在が証明されているといっても過言じゃない。そんな俺から何が渡せるかは…君が逃げ場所が欲しいといったら逃げ場所になってあげる。弱いという時に強さになってあげる。怖い時には守ってあげる!愛されたい時はいくらでも愛してやれる! それが音楽ならば!」

 彼の力強いその言葉に、観衆は身動き一つ出来ない。そして「さあ、せっかく来てくれたんだ。夢より最高の現実を一緒に作ろうぜ!」と叫び、「ナナイロホリデー」から終焉に向けての口火を切った。

 ここからエンディングに向けては、SKY-HIも、THE SUPER FLYERSも、そして観衆も、一同もう皆楽しむほかない、といった表情を浮かべる。特に「Diver's High」では、SKY-HIにとっては良き先輩でもあり、この楽曲制作にゲストとしても招かれたUNISON SQUARE GARDENの斎藤宏介も登場するなど、大きな盛り上がりを見せる。

 そして少しリラックスしたビート感もある「Marble」から、ラストナンバーは「カミツレベルベット」。そして「ありがとう、今日何回も言った言葉だけど、もう1回だけ言わせてくれ!“FLYERS、愛しているぜ!”」というSKY-HIの言葉と共に盛大なショーに幕が下ろされた。

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