ヒット祈願をおこなった、左から瀬川晶司五段、松田龍平、野田洋次郎、 豊田利晃監督

 RADWIMPSの野田洋次郎と俳優の松田龍平が9日、東京・鳩森八幡神社で出演する映画『泣き虫しょったんの奇跡』(豊田利晃監督、今秋公開)のヒット祈願をおこなった。ヒット祈願には、豊田監督と映画原作者のプロ棋士・瀬川晶司五段も参加した。プライベートでも交流のある野田と松田。野田は、普段見ることのない松田が演技について真剣に悩む姿に「そんなところは見たことなかったので、少し嬉しかった」と撮影を振り返った。

 『泣き虫しょったんの奇跡』は、「26歳の誕生日を迎えるまでに四段に昇格できないものは退会」という新進棋士奨励会の規定でプロ棋士への夢を絶たれたものの、棋士への夢をあきらめきれず、35歳で戦後初となるプロ棋士編入試験将棋に挑戦したという、瀬川五段の半生を元にした実話。瀬川役を松田が演じ、その瀬川の親友でライバルの鈴木悠野役を野田が演じる。

 将棋の神様が祀られる将棋堂で、王将の駒型のご神体を前に4人と神職2人が映画のヒットを祈願。なお、将棋映画がこの場所でヒット祈願をおこなうのは今作が初だという。厳かな雰囲気で祈祷を終え、4人は映画について語った。

 野田は「こんな雲一つない天気の中、ヒット祈願ができて嬉しく思います」と笑顔を見せた。松田は素晴らしい映画になったなと思います。将棋の神様に願いが届けばいいなと思います」とコメント。

 17歳まで奨励会に所属しプロ棋士を目指していたという、豊田監督は「僕は挫折した人間で将棋を憎んでしまったので、原作を読んだ時は『そういう生き方もあるんだ』と思って、憎しみも消えてすごく感動しました。監督を初めて20年目で、10本目の記念すべき作品で自分の人生で大きな意味を持っていた将棋の映画を作れて感謝しています」と特別な思い入れを明かす。

 瀬川五段は「最初に話を聞いたときは、冗談かなと思ったのですが、すごく素晴らしい監督、キャストでやって頂いてとても嬉しかったです」と振り返った。

野田洋次郎と松田龍平

 原作について、松田は「原作を読んで出し切ってやりたいなと思いました」と言い、野田は「将棋はルールを知ってる程度だったのですが、そういう僕でも人生の物語として楽しめました。こんな人生があるんだなと」と語る。

 松田が豊田監督の作品に単独主演するのは、映画『青い春』以来16年ぶりとなる。松田は「楽しかったですが、結構きつい部分もありました。瀬川さんの半生と繋がる部分を自分の中でどの様に出すか、そういう意味では自分を隠すことなく出せたとは思いますが大変でもありました」と撮影を振り返る。

 野田とプライベートでも交流のあるという松田。「ミュージシャンと思えないというか、役者じゃないからこういう雰囲気を出せるのかなと思いました」と野田の演技について話す。一方、撮影途中から参加したという野田は「現場の空気に圧倒されました。主演として雰囲気ができていて。龍平も言っていましたが『自分とシンクロしずぎてどうしよう…』と悩んでいる姿を見れて、僕もそんなところは見たことなかったので少し嬉しかったです」と撮影現場ならではの発見があった様子。

 2015年の映画『トイレのピエタ』などに出演し、役者としても注目されている野田。豊田監督は、野田について「ミュージシャンの人はリズムがあるし、客席の前に出ることも慣れているので物怖じしないですよね。演技もすごくナチュラルで、色んな役者の中でもまたタイプの違う演技で新鮮でした。いい芝居でした。満足しています」とその演技に太鼓判を押した。

 撮影現場に将棋指導として訪れていたという瀬川五段。野田は「瀬川さんはとにかく楽しそうでしたね。棋士は一人の世界で、僕らも音楽を作る時はいつも一人で。その辺も似てますよね、という話もしていて。映画の世界はみんなで作り上げていく感じだから、楽しいですよねと話していました」とそれぞれ業界の違いを新鮮に感じていたことを明かす。

 最後に、松田は「将棋を知らない方も楽しめると思います。人間ドラマと熱い棋士たちの想いを感じて頂けたら」と呼びかけた。そして、野田は「フィクションではあり得ないようなストーリーなのですが、それが実話でその物語はどんな人が観ても間違いなく響く作品になると思います」と作品について語った。【取材・撮影=松尾模糊】

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