人の気持ちになるのが好き
――カップリングの「If I said I loved you」もトラックからでしょうか? 切ない楽曲ですが。
橘慶太 これもトラックから作りました。ミディアムバラードというか歌モノを作りたくて。これをリードトラックにしようかなと悩んだくらいなんです。
――慶太さんが考える歌モノとは?
橘慶太 人それぞれあると思うのですが、僕の思う歌モノは、「主役が歌」ということです。究極言うと主役は全部歌のはずなんですけど、テンポ感も速くなくて、音もメロウなのが個人的には歌モノかなと思います。僕の場合はテンポが70〜80くらいで、メロディにアタックもそんなにないものかなと。
――なるほど、「キャッチー」というのも当てはまりますか?
橘慶太 そういう人もいますよね。僕の場合は「歌を聴かせる作品」。「Dirty Talk」は踊りも魅せて、ベースラインも顔だったりするので歌モノという認識ではなくて、ずっと歌だけを聴かせる構成をしているのが歌モノというイメージですけどね。
――となると歌詞の比重も変わる?
橘慶太 日本人なので、歌モノだと日本語の歌詞で書きたくなります。「Dirty Talk」とかダンスものは、あえて響きが良い風に英語を入れたりするんですけど、歌詞と歌で世界観を全て伝えるには、やっぱり日本の歌には英語は必要ないと思うので。そういう意味では歌詞も日本語というのが歌モノの定義だったりします。
――歌詞の世界観は実体験から?
橘慶太 僕は基本的に実体験はそんなに書かなくて、「よくそんなに想像で書けるね」って色んな人に言われるんですけど、不倫の歌も書けるし。人の気持ちになるのが好きなんです。こうやって話していても、相手の気持ちになって考えて「こう言われたら嫌だな」とか、色んなことを考えます。
その延長線上で、例えばニュースを見て「この人が不倫をした、この人はどういう気持ちなんだろう」と考えてみると、その人の気持ちがどんどん入ってくる感じで。合っているかはわからないですけど、そうやって歌詞を書くことが多くて。この歌詞を書いたのもその延長線上なんです。今回で言うと、雨の音を入れたので、雨に打たれる男の姿が見えたので、僕はその人の気持ちになるという。
――それ、凄い能力ですね。
橘慶太 能力なのかわからないですけど(笑)。困るところもありますけどね。歌って自分の意思表示をする最大のツールでもあるじゃないですか? それが逆にあまり好きじゃないというか。音楽で自分の伝えたいことを伝えるという感覚にならなくて。音楽は音楽としてひとつのドラマを作るみたいな感覚になっちゃうんです。
――シンガーソングライターとはまた違うんですね。
橘慶太 多分違う気がしています。音も歌詞も歌も全て含めて、エンターテインメントとしてひとつの楽曲を作るということです。
――それでは最後にメッセージをお願いします。
緒方龍一 40枚目を3月14日というデビュー日に発売したんですけど、17年という長い年月が経ちましたが、今凄くフレッシュな気持ちでw-inds.の音楽を表現できているし、3人でいる空間やw-inds.の活動が凄く新鮮な気持ちで表現できています。そういった気持ちがあるので、今後が凄く楽しみです。18年目のw-inds.も是非、作品を楽しんでもらいつつ、今後も期待していって欲しいなと思います。
(おわり)