5人組ダンス&ボーカルグループのFlowBackが2月17日に、Zepp Tokyoで全国ツアー『FlowBack LIVE TOUR 2018 「I AM」』のファイナル公演を開催した。インディーズ時代の楽曲を含め、メジャーデビュー以降のシングル曲をすべてと、さらに3月21日にリリースするニューシングル「ALWAYS」収録曲も含む、全23曲を披露。彼らの持てる全てをぶつけ、“これがFlowBackだ!”と言わんばかりのステージで観客を魅了した。【取材=榑林史章】

壁を乗り越え到達したZepp Tokyo

 都会の裏路地を思わせるようなセットに5人のシルエットが現れ、メンバー同士が“バチッ”とハイタッチを交わす。「BREAKOUT」のオープニングの<オーオーオー!>という力強い歌声に続いて、JUDAIの「いくぞゼップ!」という声に、会場に大歓声が響き渡った。躍動する5人の息の合ったダンスパフォーマンスに、瞬く間に目を奪われた。

ステージの模様

 FlowBackは2013年に結成され、2016年にメジャーデビュー。活動はすでに5年目を迎えた。長い下積み時代を経て、ようやくたどり着いた彼らの活動の中で最大の箱であるZepp Tokyoという会場は、どれほど憧れた場所だったろうか。「BREAKOUT」に<今BREAKOUT! 越えて行け>という歌詞がある。今まさに目の前に立ちはだかる壁を乗り越えんとする彼らの意気込みが、この曲を1曲目に選ばせたのだと思う。

 <今掲げるPRIDE>と、JUDAIの刺激的なラップが鼓膜を突き破るような「Phoenix Rise」は、メンバー5人で作詞をした楽曲だ。シンプルなビートの上で、5人の力強い言葉が実に心に響いた。その歌詞からは、苦悩と葛藤を繰り返しながら、それでも自分たちを信じて前へと進もうとする意志が、はっきりと感じられた

 「Wake Me Up」や「All This Time」などインディーズ時代からの楽曲も多数披露され、メジャーデビュー前からのファンには嬉しいセットリストとなった。1stアルバム『VERSUS』にも収録された「AfterRain」は、インディーズ時代最後の楽曲でもある。独特の浮遊感を持ったエレクトロのサウンドに乗せて、彼らはここまで見守ってきてくれたファンに向けて、<今度は僕がその道を照らすから>と歌う。嬉しそうに一緒に声をあげて、ペンライトを揺らしたファン。その光景は、まるで雨上がりにかかった虹のようで、FlowBackの未来を明るく照らしているように感じた。

FlowBackとは何かを魅せたステージ

 「ByeBye」、「雪色」といったミディアムバラードでは、美しいボーカルとハーモニーを聴かせ、それまでの圧倒的なダンスパフォーマンスで魅せたものとは違った、ボーカルグループとしてのポテンシャルの高さを発揮した。美しいファルセットで、色気のある歌声を聴かせたMASAHARU。MARKは、少年っぽさの残るピュアな歌声で観客を惹きつけた。大人びたボーカルで、歌の世界観を引き締めるTATSUKI。そして、このツアーではユーモア溢れる一面でも魅せたREIJIは、ここではまっすぐに歌声を響かせた。さらにJUDAIは、新たな挑戦としてアコギ演奏を披露して、このライブを盛り上げた。

TATSUKI

 「初めてのツアーで、分からないことだらけだったけど、みんなと一緒に作っていきたいと思った。“I AM FlowBack”と胸を張って言えるツアーにしたくて、このツアータイトルを付けました」と、リーダーのTATSUKIがツアータイトルについて語る。

 ほとんど誰も、FlowBackという名前を知る者はいなかった4年前。以降何度かのワンマンライブを経験したが、「決して満足することはできなかった」と、インタビューで話していた彼ら。ライブを重ねるたびに、自分たちの胸に突きつけてきたのは、“FlowBackとは何者なのか?”“FlowBackの表現とは何か?”ということ。

 その答えには、きっとまだ到達してはいないだろう。しかし本編ラストの「WE ARE!」で、その片鱗は垣間見えた。激しく力強いサウンドの上で聴かせた、流麗なボーカルとハーモニー、そしてトリッキーなラップ。これは他のどのグループにもない説得力を持っている。そして、ルールも常識も通用しない、音楽シーンと言う過酷な戦場をサバイブしてきた逞しさだ。きっとここまで歩んできた道のりと、5人が共有してきた経験そのものが、彼らをFlowBackたらしめている証しだろう。

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