FlowBack「自分たちのやり方を見つけて発信」苦難の時だからこそ前向きに
INTERVIEW

FlowBack「自分たちのやり方を見つけて発信」苦難の時だからこそ前向きに


記者:編集部

撮影:

掲載:20年06月10日

読了時間:約15分

 5人組ダンス&ボーカルグループFlowBackが10日、コラボレーションミニアルバム『Connect』をリリース。ORANGE RANGEやDa-iCEなどメンバー自身がかねてからリスペクトしているアーティストとそれぞれタッグを組んだコラボレーション作品。それぞれの楽曲の制作エピソードを中心にメンバーの音楽の原点やコロナ禍での活動、これからの新たなビジョンなどメンバーに話を聞いた。【取材=榑林史章】

ジャンルを越えたコラボでダンス&ボーカルの壁を壊す

Connect

――『Connect』はバラエティに富んだ1枚になりました。どういった経緯でこういうアルバムを作ることになったのですか?

TATSUKI 僕たちFlowBackが6年間活動してきた中で課題となっていた1つが、ダンス&ボーカルグループというジャンルからどうやって一歩外に踏み出せばいいのかということです。そこで自分たちのほうから、いろんなジャンルのアーティストさんにもっと歩み寄って行けないかと。その手始めとしておこなったのが、昨年11月末から今年2月にかけて開催した『FlowBack LIVE TOUR 2019-2020 “Connect”』です。

――そのツアーには、毎回多彩なアーティストがゲスト出演されていました。2月2日に東京・昭和女子大学人見記念講堂でおこなったファイナルには、今作に参加しているFIVE NEW OLDも出演していましたね。

TATSUKI はい。その対バンツアーの先に、こういう作品を出すということを見越して準備を進めていたんです。制作はFIVE NEW OLDさんにプロデュースしていただいた楽曲「Run」が最初で、それは昨年の11月に録っていて。それからツアーをやりながら制作をして、外出自粛になる前には全曲録り終えていました。

――アルバムができて、それぞれどんな手応えを感じていますか?

REIJI 新しい出会いが多かった対バンツアーで自分たちの表現力が増したと思っていて、それをこの『Connect』というミニアルバムで発揮できました。新しい扉を開くきっかけになったアルバムという印象です。

MARK 一昨年くらいからいろいろな動きを始めて、対バンツアーがあって今回のアルバムがあって、点と点が線に繋がったことを実感しましたね。

MASAHARU FlowBackの楽曲の世界観が広がったし、これからが自分たちでも楽しみになる1枚になったと思います。

JUDAI 今作では本当に多ジャンルの音楽をやらせていただいたんですけど、あくまでも今までのFlowBackは残しつつ、新しいFlowBackを出せたと思います。

――ツアーの先に目論んでいた作品ということから、ツアーと同じ『Connect』というタイトルを付けたわけですね。

JUDAI はい。“繋ぐ”という意味で。いろんなアーティストさん、そのファンのみなさん、そして僕らを応援してくれている皆さんに向けて、「いろんな音楽が世の中には溢れているんだよ」という気持ちを込めて、僕らがそれぞれを繋ぐ役になれたら良いなという思いで付けました。

――対バンツアーも今作も、みんなでアーティスト名を出し合って決めたんですよね?

TATSUKI そうですね。でも名前を挙げるのは簡単だけど、実際に対バンをやってもらえるか、コラボをやってもらえるかは別で、すごく難しかったです。僕らはそのアーティストさんのことが好きでも、先方が僕らのことを知らなかったり、僕らがダンス&ボーカルだからと二の足を踏む方もいて。ダンス&ボーカルというものに対してこんなにも色眼鏡で見られているのかと、厳しい現実を突きつけられたこともありました。それでもツアーで対バンしてくださったみなさんからは、「対バンして面白かった」とか「お前らロックしてたよ」と言ってくださって。大変だったけど、やって本当に良かったです。

――収録曲について聞いていきますが、まず「k n o c k [ h e a r t ]」は全編英語詞の曲です。英語が得意なメンバーって誰でしょうか?

REIJI 顔だけで言ったら僕っぽいですよね(笑)。この曲はSurvive Said The Prophet(通称サバプロ)のボーカル=Yoshさんが提供してくださった曲で。もともとJUDAIがサバプロさんをリスペクトしているということで名前が挙がりました。今までのFlowBackにはなかった、壮大な世界観を表現して頂いたと思います。ライブで披露した時のことを想像して、ワクワクしました。

――JUDAIさんは、どういう経緯でサバプロのファンに?

JUDAI 最初はテレビのCMの曲だったんですけど、テレビからすごく格好いい曲が流れてきて、「この人は誰だ?」と思ってすぐ検索したらサバプロさんで。どの曲を聴いても格好良くて、個人的にライブにも行くようになりました。

――歌詞が全編英語ですけど、そこはやはり大変でしたか?

REIJI めちゃめちゃ難しかったです! 僕は見た目に反して英語がしゃべれないけど発音だけは良いという、謎の自信を持っていたんですけど(笑)。実際にレコーディングした時には、語尾の発音やイントネーションが違っていることが発覚して。しかもメロディのスピードが速いし。その上でネイティブの人にも通じる発音のクオリティを求められたので、みんな苦戦しながら何度も練習して、最終的には良い感じにできたんじゃないかって思います。

――MARKさんはどうでしたか?

MARK 僕はもともと洋楽が好きなので、全編英語の曲を歌うのが念願だったんです。でも、いざ音源に収録するものを歌うとなると、カラオケやライブで歌うのとは勝手が違って。今までも英語が多い曲はあったけど、全部英語になるとこんなにも大変になるのかと、違いを痛感しましたね。

TATSUKI 僕は逆に全編英語詞の曲は人生で歌ったことがなくて、練習の段階からすごく苦戦して、レコーディングしている間も何かの呪文を唱えているような気持ちになりました(笑)。でも不思議なもので、この曲を一回乗り越えたことで、他の英語の曲を聴いた時に歌詞がスッと入ってくるようになって。それは新しい自分に出会った感覚でした。

MASAHARU 僕もとにかく難しかったです。耳コピできるまで、何回も聴いて歌ってを繰り返しました。すごくライブが楽しみな曲ではあるんですけど、この自粛期間で歌い方を忘れてやしないか不安で、改めて練習し直そうと思います。

――「k n o c k [ h e a r t ]」という曲名は、表記が面白いですね。

JUDAI 正式名称は「knock on my heart」なんですけど、何で「k n o c k [ h e a r t ]」にしたかと言うと、heartの前後にあるカッコを身体に見立てていて。つまり身体の中に心があることを表しています。そういう“粋”なところは、サバプロさんからエッセンスをいただきました。

――最後にビートが出てくるサウンドもすごく格好いいですね。

JUDAI Yoshさんに聞いたら、夜明けのようなシチュエーションで、そこから物語が展開していくというイメージがあったそうです。音はシンプルだけど、今までのFlowBackよりも色が濃いという感じがしますね。

ORANGE RANGEと念願のコラボ

Connect【初回生産限定盤A】

――次に「Dramatic Lover」は、Da-iCEの工藤大輝さんとのコラボ曲です。

MARK 大輝くんには昔からお世話になっていて、個人的にも大輝くんの作る曲が大好きなので、大輝くんの名前が挙がった時も全員一致で決まりました。Da-iCEさんとは何度も対バンをやったことがあって、FlowBackのことをよく知っているので、その上で大輝くんなりに「FlowBackに、もっとこういう曲があったら良いのにな」というものをテーマに作ってくださって。かけ声をかけるところもあって、実際にライブでやったらきっとみんなが喜んでくれるだろうなと思う曲になりました。

――Da-iCEはダンス&ボーカルグループの先輩になるわけですが、これまでイベントなどで共演した時に、何か相談ごとをしたりしていたんですか?

MARK 今でもよくします。外出自粛になる前も、REIJIと僕と、Da-iCEからは大輝くんと(和田)颯くんで、これからの音楽シーンについて夜遅くまで語り合いました。その時はちょうど「Dramatic Lover」の制作中だったから、曲の感想やレコーディングの進み具合とか、いろいろな話をしましたね。他のメンバーも個々に話をしていて、すごく頼れるし学ぶことは多いです。

――MASAHARUさんは、「Dramatic Lover」を歌ってどんな印象ですか?

MASAHARU 言葉の切り方とかリズム感が特徴的な曲です。声色の明るさとか、いろいろなことを意識しながら歌いました。グルーヴ感が心地良くて、レコーディングはすごく楽しかったです。

TATSUKI 僕もグルーヴ感は、すごく意識しました。自分が歌いながら、気持ちが弾むと言うか、思わず身体でリズムを取りながら歌っちゃう感じの楽曲ですね。

――また3曲目の「MUKIDASHIラブ」は、ORANGE RANGEとのコラボです。以前にORANGE RANGEのカバーをやっていましたね。

TATSUKI 夏をテーマにした『SUMMER TRIP』というコンセプトアルバムで、ORANGE RANGEさんの「イケナイ太陽」をカバーさせていただいて。それをきっかけにFlowBackのことを知ってくださった方も多くて、MVはYouTubeで300万回以上の再生数を記録したんです。そのことがORANGE RANGEさんの耳にも届いて、人づてに「ORANGE RANGEのメンバーが喜んでいたよ」と聞いてすごく嬉しくて。それもあって、いずれはORANGE RANGEさんの血とFlowBackの血が結合したものを作りたいと思っていました。それで今回こういう企画で作ることになったので、ダメもとでお声がけをさせていただいたらOKしてくださって。

――みなさんORANGE RANGEの世代ですか?

TATSUKI みんなそうです。物心つく前から中学生になってからも今も、CDが手元にあるアーティストさんです。だから今回コラボさせていただけて、ものすごく嬉しかったです!

JUDAI 一つひとつの活動が繋がっていることを、しみじみと感じますね。あの時カバーしていなかったら、ORANGE RANGEさんがFlowBackのことを知ることはなかっただろうし、今回のようなコラボが実現することはなかったかもしれない。本当にタイミングと縁が繋がった曲だなって思います。

――『Connect』というタイトルとも通じますね。

REIJI そうですね。僕は人生で初めて買ったCDがORANGE RANGEさんで、それくらい好きなアーティストさんだし、学生時代の青春をたくさんの曲で彩ってくれました。友だちとよくカラオケで歌ったし、ダンス部だったからORANGE RANGEさんの曲で踊ったこともあったし。それから年月が経って、アーティストとしてこんな風に繋がれるとは思いもしていなくて。自分の人生にとって、すごく嬉しい出来事です。

――楽曲も「イケナイ太陽」をオマージュした部分がたくさんあって、ORANGE RANGEのテイストが満載の曲になりました。

TATSUKI デモを聴いた時は感動しました。普段のFlowBackなら絶対にやらないテイストですけど、それも踏まえた上ですごく良い曲になったなって思います。

――次に「side effects」は、DJのKSUKEさんとのコラボ曲。KSUKEさんは、リズムゲーム「BEMANIシリーズ」の楽曲などで有名で、世界的にも活躍されている方ですね。

JUDAI REIJIくんから名前が挙がった方で。僕はこれまでDJのシーンには無知だったんですけど、今回のコラボのために曲を聴いたら、聴けば聴くほどすごくて。実際に経歴もすごいんですけど。日本国外でも戦える日本人って限られているけど、そこに入れる理由が分かったと言うか。実際にレコーディングを一緒にやらせていただいて、すごさを垣間見ることができました。とにかく視野が広くて考え方が柔軟なんです。

――ボーカルにはエフェクトがかかっているんですか?

JUDAI そうです。歌も音のひとつというイメージで、歌詞は日本語が多くて意味もあるんですけど、それよりも“ただの音”という認識で語感を楽しんで欲しいですね。

――JUDAIさんは今までもラップパートの作詞をやっていましたが、この曲では全作詞を手がけています。どういう経緯で作詞をすることになったんですか?

JUDAI 「僕が歌詞を書きたいです!」と、手を挙げさせてもらいました。それで完成したトラックをいただいて、それに歌詞を書いていった感じです。

――作詞をする上で、何をテーマにしたのですか?

JUDAI 「依存」です。タイトルの「side effects」は「副作用」という意味で、依存によって生まれるものということです。僕自身にとっての依存はコーヒーで、多い時は1日に1リットル以上飲んじゃうほどなんです。制作をしている時は特にそうで、それで気分をアゲたり落ち着かせたりするし、朝起きて最初に口にするものがコーヒーだし、できれば夜眠る前にも飲みたい。そこからイメージを広げて、持ちつ持たれつの関係でも別に依存が悪いわけじゃない、このままズブズブと墜ちていこうっていう、そんな曲です。

――何かに墜ちていくような雰囲気の歌詞が、トラックにぴったりですね。

JUDAI そうですね。実は最初にいただいたトラックとはバージョンが変わっていて、最初はもう少し明るめだったんです。軽快とまではいかないけど、時間帯で言うと昼間という感じで。そこから、もっと深夜帯の雰囲気で、重くて気怠く、頭がズキズキするようなサウンドにしたいと話をして、一緒に作らせていただきました。

アップデートされたFlowBackを楽しみにして欲しい

――そして5曲目の「Run」は、ブラックミュージックをベースにしたバンドのFIVE NEW OLDとのコラボ曲です。

MASAHARU FIVE NEW OLDさんは個人的に前からすごく好きで、今回曲を作ってもらえると聞いた時は、個人的にすごくテンションが上がりました。曲自体もFIVE NEW OLDさんらしい壮快感やリズム感、メロディ感が反映されたものになっていて。それに思ったんですけど、今回のアルバムは、楽しくて盛り上がれる曲が多いですね。それも1曲ごとに盛り上がり方が違って。だから本当に、早くライブでみんなと歌って踊れたら良いなって思います。

――大人の遊び心が感じられるバンドサウンドですね。

MASAHARU そうですね。それに歌詞は英語と日本語が混じっているんですけど、デモの段階から日本語も英語っぽく歌うニュアンスが、HIROSHIさんの仮歌から伝わってきて。それも自分たちなりに解釈して歌ったというのがあって。

――後半、コーラスが重なっていくところがあって。

MASAHARU ハモリは最後に2人ずつで二声になってハモっていて。そこもライブをやるたびに変えたら面白そうだなって、イメージがどんどん広がります。

MARK カントリーな感じで、FlowBackにありそうでなかったテイストです。さっきMASAHARUが言ったように、曲ごとに違う盛り上げ方ができて。ウェイウェイな感じで盛り上がるのとは違って、知らないうちにニッコリしているような、自然に乗ってしまう感じです。

――歌詞に<つまらないクリシェなんか すっ飛ばして>と出てきますが、クリシェって何ですか?

MASAHARU 確かフランス語で、レコーディングの時に聞いたんだけど。

JUDAI 音楽の技法のひとつで、固定概念みたいな意味もあるんじゃない?

――そういうものをナシにして盛り上がろうと歌っているわけですね。

MASAHARU そういうことです!

――どの曲も是非ライブで聴きたい1枚ですが、今はライブも自粛という状況です。今後はコロナ渦におけるライブの在り方を模索していくことになると思いますが、メンバーそれぞれではどんな風に考えていますか?

TATSUKI ライブってFlowBackにとってはすごく大事なものなので、それができない時に何をやるか、今でもすごく考えています。これまで自分たちを応援してきてくれているみんなにどう寄り添えるか、何をどう発信していくか。考え方ひとつでできることはたくさんあると思うので、いかにこういう時代に乗って、ちゃんと自分たちのやり方を見つけて発信していくかが大事なんじゃないかと。それに5人で発信することも大切だけど、個々で発信することも同時にやっていきたいと思っていて。

――今まであまり触れられてこなかった、メンバーそれぞれの個性をより発揮できるチャンスであるとも考えられるわけですね。

TATSUKI 本当にそうだと思いますね。僕としては、MVではないけど、僕が監督になってメンバーに動きを指示して、各自家でZoomを使って撮影をした動画を作りました。

MASAHARU 次にライブができる時のための準備と言うか、インプットをしっかりしておきたいですよね。僕は本当にまだまだだけど、トラック作りを頑張っています。今まではメロディと歌詞をボイスレコーダーに録音してアレンジャーさんに送るというやり方だったんだけど、もっと「自分の意思はこうです」と気持ちを100%伝えられるように、少しずつですけど頑張っていて。ただ「トラック作りってこんなにムズいんだ!」って、壁にぶち当たっている最中です(笑)。

MARK 5人ともFlowBackとして生きているので、個々が動いたとしても、それはそのままFlowBackの動きになる。5人が5通りで、動きを止めないことが必要だと思います。僕の場合は、それがFlowBackでできるかどうかは別にして、自分のプラスになると思って楽器を練習していて。今はギターをやっているんですけど、ギターをクリアしたらピアノにも挑戦しようと思っていて。レストランやバーにピアノが置いてあって、パッと出て行って弾けたら格好いいじゃないですか(笑)!

REIJI 僕はこの期間は、応援してくださる方の存在の大きさに気づけました。直接会えない中で僕たちができることは、「ここにいるよ」と、ちゃんとSNSで発信し続けることだと思って。その中で、みなさんが笑顔になってもらったり、不安を払拭してもらうきっかけを作りたいと思って、そのためにイラストとか音楽について勉強して。ライブが始められるようになった時に、しっかりスタートダッシュが切れるように準備をしています。

JUDAI 僕は基本的にだらけてしまうところがあって、それではダメだと頭では分かっていても、最初は何をすればいいのか分からなくて結構もがいていたんです。考えているだけで1日が過ぎていく感じで。でもある日を境に気持ちを切り替えて、生活リズムを崩さないようにしながら、英語の勉強や肉体のトレーニングを始めました。

――今後ライブができるようになった時には、どんな姿を見せたいですか?

JUDAI 進化したと言うよりは、クオリティが上がったと認識されたいです。何かが一変するのではなく、基礎体力が上がったみたいな。アップデートと言うか。

――自粛期間はZoomで打ち合わせしたり?

TATSUKI はい。メンバーとは2カ月近く直接会ってなくて、こんなことは結成以来初めてのことで。Zoom飲み会もやっていて。

MASAHARU でも飲み過ぎちゃって。

REIJI 自分で飲むペース決められるのに?

MASAHARU 家だと安心しちゃうみたいで。

MARK 気持ち悪くなってたよね(笑)。

JUDAI (笑)。

TATSUKI まあでも、アップデートされたFlowBackを楽しみにしていて下さい!

(おわり)

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