変わり続けることが自分であること、Nulbarich 前へ進む音楽
INTERVIEW

変わり続けることが自分であること、Nulbarich 前へ進む音楽


記者:榑林史章

撮影:

掲載:18年03月07日

読了時間:約11分

このままでは終わりたくない感

――インタールードが入っているのもポイントですね。中盤の「See You Later (Interlude)」はピアノのサウンドで。

『H.O.T』通常盤

 今作は前作よりもバラエティに富んだ楽曲が揃った印象だったので、インタールードで世界観を整えています。これがないと、前後の曲の世界観が変わりすぎてしまうかなと思ったので。だから「See You Later (Interlude)」は、後半戦に向けて一旦頭をリフレッシュしてもらうイメージです。後半戦をより楽しんでもらうための存在として、すごく重要な位置を占めています。

――それに続く「Supernova」は、音やフレーズも引き継いでいて流れていく感じですね。

 考え方としては、「See You Later (Interlude)」が第一章で「Supernova」が第二章みたいな、2曲で1つのイメージです。とは言っても、「See You Later (Interlude)」は決して「Supernova」の長いイントロという感覚ではなくて。「See You Later (Interlude)」が1曲で成立しながら、その後に「Supernova」がくることで、「Supernova」が成立するという考えです。

――ただ「See You Later」は、「またね」とか「じゃあね」とかの意味で、最後に言う言葉ですよね。でも、アルバムとしてはまだ中盤なわけですよね。

 曲の後半に出てくる英語の語りが、「まだまだ終わりたくないから、“またね”という言葉を今は忘れよう」という意味なんです。だから終わりたくない意思表示を、逆説的に言っている感じです。

――なるほど、そういうことなんですね。こういう「See You Later (Interlude)」のようなインスト曲はライブでも?

 やりますよ。さっき話した世界観を整えるという部分は、ライブでも同じです。次の曲の歌に耳を向けてもらうために、一旦耳をリセットしてもらって、それぞれの奏でる音に注目してもらうみたいな感覚です。特に長いセットリストの時は必ずやっているので、このアルバムの構成もワンマンライブの時の感覚に近いです。

――その「See You Later (Interlude)」に続く「Supernova」は、ドラムのフィルがすごく格好良くて。

 この曲は、本当に好き放題に作りました。尖ったものをかき集めて1曲にしたみたいな。超新星爆発の衝撃で飛び散ったかけらをかき集めたような感じなので、「Supernova」と付けました。

――そしてリード曲が「ain't on the map yet」。ツアータイトルと同じ曲名で、以前のインタビューではそのツアーに向けて、「まだまだ自分たちは無名だから、地図上に自分たちの名前をピンで刺していくようなイメージでツアーを回りたい」と話していました。

 まだ無名で地図上に名前がないからこその自由度、ちゃんと見極めなきゃねという思い、そしてもっと頑張ろうという気持ちが入っている曲です。

――冒頭から<I’m never sober>と歌っていて。これは「シラフじゃない」、つまりまだ夢の中にいるみたいな?

 そうですね。酔いから冷めたくない、その夢から覚めたくない。終わりたくないからあえて遠回りするとか、今楽しんでいるこの状態をまだ続けたいといった気持ちです。「このままでは終わりたくない感」が、ふんだんに出ています。

――単に今を楽しむだけじゃなく、しっかりとその先も見ている感じがいいですね。

 この音楽シーンに居続けるためには、自分たちがどんどん進化していかないといけない。自分がちゃんとその年齢なりの、その場所に見合ったものであるように変わっていかないといけないわけです。変わり続けることが、自分が自分であり続けるということだと思っています。ずっと同じ場所にいたいなら変わる必要はないけど、僕らはどんどん前に進みたいし先を見ています。

――タイトルの通りアツいアルバムとなりました。ご自身で聴いて、どんな気持ちになりますか?

 作りながら、2018年をともにするアルバムになるだろうという意識はありました。2017年で経験したものが、今後歩んでいきたい道、想像している道と、バランスよく1つの作品にまとまったなと思います。ワッと勢いに乗って作ったわりには、いろいろな感情が込められているので、自分ではけっこうエモい気持ちで聴けますね(笑)。普段からメモを取っていて、その掛け合わせでできているので、ここの歌詞とかここのメロディとか、メモを取った時の気持ちが甦ります。

――アルバムができて、今は達成感が大きいですか?

 それよりも、2018年のワクワクのほうが大きいです。このアルバムを携えて、いろんなところで演奏していくぞという。ツアーもありますし、フェスやイベントへの出演も徐々に決まっています。今年はこのアルバムとともに成長していきたいです!

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