音楽の聴き方は、ライフスタイルの変化や端末・通信の技術革新で変わる。スマホにイヤフォンを挿して電話する光景が象徴されるように、イヤフォンで聴く機会が増えているような気がする。以前、ある音楽家にインタビューをした際に、聴く側の環境も考えながら曲作りをしているという話があった。その人はイヤフォンも、安価と高価それぞれで聴き方の変化を試しているという。

 以前あったポータブルプレイヤーは、スマホに機能が集約されたことで、携帯しやすなった。そして、Bluetoothの誕生で音楽の再生手段は増えた。よって触れる機会も増えた。

 ところで、電車内の移動中にイヤフォンを通して音楽を聴くことが多い。昨日も今日もそうして聴いているが、ふと思うことがあった。密閉状態の場合、より無音が際立つということ。雑踏が耳に入らないため意識しなくても自然と音楽に集中できるということもあろう。そのためか、本来、雑踏に消されてしまう無音や小さい音がちゃんと認識される。そして、音圧が押さえられているということもあろうが、楽器一つ一つの音も成り立っていてる。全体的に奥行きが感じられる。

 その奥行きのある音楽だが、移動中に聴く恩恵もある。音楽が景色に溶け込むなどがあげられる。奥行きがあればあるほどその効果は大になる。

 先日、バラード曲を聴きながら、車窓からの雪を見た。その曲は、ボーカルの吐息や消えゆく声などもしっかりと表現されていた。もちろん無音も。それらの音が、目の前を過ぎ去っていく雪と重なり、絶妙な世界観を私の頭のなかに映し出していた。

 ある大物ミュージシャンは聴く方法ときて、かなり技術が上がっているから、イヤフォンだろうがヘッドフォンだろうが、スピーカーだろうが気にしていない、と語っていた。その人のライフスタイルを彩る音楽。聴く場所や聴き方によっても世界観が広がる。雪を眺めてそう思った次第である。

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