「音楽を再生するメイン機器といったら?」というアンケートをMusicVoiceがおこなったところ「PC」が4割超の大多数、という結果だった。少々意外なのは、1位がオーディオ専用機器プレイヤーではなかったことだ。

 現代では、音源を再生して聴ける機器が非常に多種多様にある。PC、スマートフォン、mp3プレイヤー、CDコンポ、アナログプレイヤー、カーステレオ、などなど、「音源を再生して音楽を楽しむ」ということに対してよりどりみどりの時代。音楽ファンとしてはこの上なく幸せかもしれない。

 しかし、選択肢があり過ぎるからこそ「何がベストか」ということは絞りづらい。たくさんあるのだから、あえて絞る必要はないのかもしれない。そこで、各プレイヤー毎の「ちょっと美味しい聴き方」というのをいくつか考えてみた。

PCで再生

 デスクトップ、ラップトップともに、特にオーディオ環境を整えなくても音声を出力できるが、ここは是非、アンプやインターフェースを介してスピーカーから音を出すことをお勧めしたい。

 というのも、「スピーカーの位置」という選択肢だけでも、リスニング環境を幅広くカスタマイズできるからだ。左右スピーカーの位置を1メートルほど離すだけで、臨場感あふれるステレオサウンドが楽しめる。また、少し高い位置に設置して、なるべく空気を震わせるようすることもポイントだ。

 「ギターソロ、左のスピーカーからしか出てない!」「ジョン・レノンのボーカルが右側からしか聴こえない!」という、ちょっとマニアックな楽しみ方や発見があるかもしれない。

mp3プレイヤーで再生

 メーカーによっては「シャッフル機能」という、曲をランダム再生できる機器がある。これがなかなか面白い。ただ無作為に選曲された楽曲を聴くのが面白い、というのではなく、少し想像力を加えて楽しむのである。手順としてはまず「まだ聴いたことのない曲」をできるだけライブラリーに詰め込む。

 そしてシャッフル再生をして、聴いたことのない曲が選ばれたら、その曲の年代や国、演奏者の背景など想像・分析し、アーティスト像を当てにかかる。

 たとえば、「まず英語ボーカル。比較的聞き取りやすいからUKか?」「ギターが色々入っていてアコギも入っている。ちょっと暗めの雰囲気だし90年代?」「オアシスかな」といったあたりで、画面表示を見てアーティスト名を確かめる。当たるとちょっと嬉しい。アーティスト名がピタリと一致しなくとも、その曲の年代や国が当たるとやっぱりちょっと嬉しい。

 非常にマニアックな楽しみ方ではあるが、これをやっているうちに、意外と国別・年代によっての音像の特徴が如実に掴めてくるなど、音に対する感性がナチュラルに養われるという利点もある。筆者のまわりには「スネアドラムの音だけで年代はすぐ判るけどね」という猛者もいる。

カーステレオで再生

 これは爆音に限る。(安全運転がキープできる範囲で)住宅事情で許されない音量を個人的にスピーカーから音楽を楽しむ方法といったら、カーステレオがうってつけである。そして、車内という密室につき、「誰かに聴かれたらこっ恥ずかしい」という心配もなく、全力で歌うこともできる。

 お気に入りのアルバムを1枚ぶん、ちょっとした移動の小一時間で歌い切る、というのも何かと発散になるだろう。ドライブから帰ってきたお父さんが何やらスッキリした顔をしていたら、車内でひとステージのライブをこなしてきたのかもしれない。

 というわけで、様々なバラエティーの音楽再生機器が選べる便利な時代だからこそ、「一手間加えると2度美味しい」という選択肢がフレキシブルにある。スペースの都合上3つしか紹介できなかったが、色んな再生機器で聴く音楽ファンは、それぞれ独自の楽しみ方を知っていたりする。それらを共有するのも、ちょっと乙な音楽の楽しみ方なのかもしれない。【平吉賢治】

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