2人にとって「生きる」とは
――Do As Infinityは活動19年目となりますが、今はバンドとしてどういう時期だと思いますか。
大渡 亮 今、お互いを凄く理解してとても良いシーズンだと思います。自分の人生としても。人としての役割もアーティスト以外にもありながら、このグループ活動をさせてもらっているという。やりたいと思えばそれを現実に叶えるべく行動することもできるし。クリエイティビティに何かブレーキがかかってしまうこともなく活動ができているし、たくさんのお客さんがいてくださるという現状ですね。
――やはり長く活動を続けるということは大きいでしょうか?
大渡 亮 大きいですね。長く続けてこれたからこそ、というか。デビュー当時にはできなかったことが、今は容易にできたりするし、自信や余裕というか、それでそういうカテゴリーにされちゃうタイミングもあるんですけど、そのカテゴライズされた198年目の僕らも楽しめている感じです。
――“ALIVE”は、「生きる」「生きている」という意味ですが、どういうときに生きていると実感しますか?
伴 都美子 私は、小さい子供がいるので、自分の力ではまだ生きていけない二つの命を目にしていると感じます。朝日や朝焼けを見ても「生きていて良かった」と感じます。
去年はたくさんの経験をさせて頂いて、南米という異国の地で、「こんなにたくさん待っていてくれる人達がいるんだ」と感動した体験もあって、全部そういったことがエネルギーになってきます。折れそうなときもありますけど、生きていかねばならないと。何で人間に生まれたのか、とか考えるときもありますけど、人間に生まれたからにはと…考えたらキリがないですね。生きていると色んなことがあるんですけど、でもやっぱり、生きていくんですよね。だから凄く“着地できたタイトル”だと感じています。
大渡 亮 俺はE7のコードでアドリブをかましているときですかね。Eマイナーでもいいかな。自分の持てる知識で新雪を踏むかのごとくギターを弾いているときと言うんでしょうかね。そこに一番やりがいだったり、自分の生きている価値を感じるというか。「〜 epilogue 〜」もそうですけど、Eマイナーでアドリブを弾くときだと思います。
――大渡さんはもしギターが無くなってしまったらどうしますか?
大渡 亮 生きていてもしょうがないような気がする。近年ますますギターを弾いているんです。昔弾けなかったところだったり、感じられないことを感じられるようになって「何で昔はこんなことができなかったんだろう?」ということが今は容易にできるようになっていて。
角度が違うだけで、ギターはこんなに彩りを出せると。正攻法で一方向しか見ていないとそれしかできないけど、こう行くと更に違う展開ができると、より今学んでいて、今がより面白いんです。だから今ギターが無くなってしまうのは…。
伴 都美子 駄目です‼︎(笑)。
大渡 亮 うん。今が一番弾いているかもしれない。もう仕事だと思ってやっていないんですよ。もはや自分の意地だったりライフスタイルで進化させたいと思っているので。例えば、今僕が喋っているように、喋るのはリズム感だったりコール&レスポンスだったり、使う言葉だったり、やっぱりアドリブじゃないですか?
これがギターでも理想なんです。道具を介してやっているけど、言語がない部分をその場で言葉のように操るというのが到達点です。だから、まだやらなければいけないことが山ほどあって。そういう訳で、まだやらなければいけないことがあるというのは非常に楽しいんです。昔は、ギターという大変なものを選んでしまったという苦悩が強かったんですけど、最近は、やらなければいけないことがたくさんある楽器を選んで良かったと思っています。
――伴さんはもし歌が歌えなくなってしまったらどうしますか?
伴 都美子 色々やってみたいですよ。 学校も行きたいし、動物の訓練士にもなりたいし。どうにかして生きる術を見つけますよ。
――こうしてお話をうかがっていると、お二人は真逆な面が多いように感じます。
大渡 亮 年齢が7つ8つ違うと、自分も不器用に生きてきたけど、先に不器用に生きてきたから「その気持ちはわかるけど、今それは通用しないな」というのが俯瞰でわかる。だからそれを僕が諭せるというか、それを言える関係だからじゃないでしょうかね。これで歳が近かったらこういう風にはいかないだろうから。
伴 都美子 最近本を読んでいて楽になった言葉があるんです。「縦の関係ではなく横の関係で人と接すると楽しい」という。
大渡 亮 いい言葉聞いたね。
伴 都美子 育児していてもそうなんです。親は子供のためと思って言うじゃないですか? 「こうしなさい!」って。でもそれじゃ伝わらないんですって。
――それは「縦の関係」の言い方だったりするのでしょうか?
伴 都美子 そう。子供が興味あることを挫くことを言ったりすることですね。どうしても、挫いてしまうことを言ってしまうことが多いらしいんです。同じ目線で話しかけた方が良いと。本当に参考になりました。
――それでは最後に、本作『ALIVE』はお二人にとってどんな存在でしょうか?
伴 都美子 さっき「今のDo As Infinityはどんな時期?」という質問がありましたけど、木に例えるなら深く根を張っている、Do As Infinityという木がより枝葉を広げるために「根をいっぱい張る時期」だなと思います。Do As Infinityという木が成長できる貴重な経験をさせて頂いたアルバムです。
大渡 亮 新しい出会いで作ったアルバムだと思うので、また自分達らしい良質な作品を残すことができたという充実感があります。
――今までにない新しいアプローチだけどDo As Infinityらしい作品と感じます。
大渡 亮 そうなんですよ。結局僕らがやったりすると、自分達が良かろうと思う選択しかないので、曲のオーダーもこっちから「こういう曲が欲しいんだけど」という感じで、もちろん澤野さんが流石であるからこそなんですけど、軌道をつくっていったのはDo As Infinityサイドなので。そういう意味では思惑通りに行ったし、良い方と出会えました。アルバムまでこぎつけられたし、結果自分達らしいアルバムになったという感じですね。Do As Infinityは無意識に自分達が響く方向を選んでいるんです。
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