Do As Infinityが7月7日、神奈川県・横浜ランドマークホールで『Do As Infinity LIVE TOUR 2018 -ALIVE-』を行い、全国ツアーのファイナルを締めくくった。ここでは、5月20日にの模様をお届けする。澤野弘之氏をサウンドプロデューサーに迎えたシングル3部作「Alive/Iron Hornet」「To Know You」「化身の獣」、そして2月28日にリリースされたアルバム『ALIVE』を軸にした本編19曲のセットリストを完璧なまでの構成で展開。超満員のホールを余すことなく沸かせた。楽曲、歌唱、ギタープレイと、Do As Infinityの音楽には洗練された“起承転結”がある。それは、ライブでもエンターテインメントの中核として確固たる存在感を放ち、リアルタイムで表現される。この日見せたパフォーマンスはまさにそれを示したかたちだった。【取材=平吉賢治】

ダークに始まり、色彩豊かに展開されるDo Asライブ

伴 都美子

 シングル3部作「Alive/Iron Hornet」「To Know You」「化身の獣」の近代的かつダークな空気感を総括するような「〜Prologue〜」がフェイド・イン。大渡 亮(Gt)が奏でるノイズとディレイサウンドでゆっくりとライブの幕が開かれ、「Alive」のバンドサウンド・インと共に伴 都美子(Vo)が登場。パワフルで艶のあるボーカルを披露すると同時に、オーディエンスの右手が一斉に掲げられ、楽曲のグルーヴに融合してホールを仰ぐ。伴の黒のドレスと大渡の黒のレスポールを起点としたサウンドカラーの配色は一気に開かれた。

 ステージ天井から下げられた何枚もの白の幕に映し出されるビジュアル・アートには各楽曲の世界観が表現され、ライブの臨場感はビビットに視覚化させていた。大渡は「To Know You」でストラトキャスターに持ち替え、シャープで芯のある音を刻む。伴はアコースティックギターを構えて楽曲を披露。艶のある歌唱・声量、大渡の多彩なギタープレイでオーディエンスを沸かせた。

 ツアーへの意気込みを伝える伴はMC中では終始笑顔だ。3年振りともなるバンドでのツアーは、伴・大渡ともに、そしてバンドメンバーも全員、ハイテンションを滲ませつつの存在感。オーディエンスにもそれは充分伝わっているようで、この日のライブの一体感には目をみはるものがあった。

圧倒的存在感の伴の声量、大渡の鋭いプレイ

大渡 亮

 続く「深い森」「Iron Hornet」からは大渡のギタープレイがシフトアップ。閃光のような鋭いギターソロが轟き、伴の声量充分なボーカルとの対比は “これぞDo As Infinity”といった存在感を示した。「アリアドネの糸」のギターソロはステージ前方で披露され、オーディエンスの視線は大渡の鮮やかな運指に釘づけだ。まだ序盤ちょい、といったセクションであったが既にホールのボルテージは跳ね上がいる。この後の楽曲でもレスポール・ストラト・SGと、各ギターを使い分け、それぞれのサウンドカラーを存分に引き出すプレイを魅せた。

 この日は中国の動画サイトで生配信がおこなわれており、カメラに向かって中国語で呼びかける場面も。「バンドのツアーは久々なのでみんなに会えて嬉しいよ!」と伝える伴は、続く「Silver Moon」の歌唱で観客を虜にした。客席に目をやると「歌に完全に聴き入っている」としか表現のしようがない程に、伴のボーカルに吸い込まれていたのだ。そして、これまでダークネス・クールビューティ的な色のステージパフォーマンスだったが、「Lovely Day」ではピンク一色のガーリーな空気へ一転。タンバリンを揺らしながら歌う伴、スウェディッシュなサウンドを奏でる大渡と、ライブのカラーにワンポイントを添える可愛らしいアプローチでライブを彩った。

澤野弘之氏登場、華麗にグランドピアノで共演

Do As Infinity

 ここでゲストにサウンドプロデューサーの澤野弘之氏を迎える。「自分以外のアーティストのライブステージに一人で来るのは初めて」と、若干緊張の色を見せた澤野氏だが、「火の鳥」「唯一の真実」をDo As Infinityと共にグランドピアノで演奏。「唯一の真実」での伴のアカペラからの導入、ピアノの伴奏と繋ぐ息を飲むような瞬間は生々しく、三部作とアルバムを支えた澤野氏の存在感を充分に感じられるシーンだった。

 続く「科学の夜」で繰り広げられた壮大なビジュアル・アートと大渡のギタープレイの親和性は圧巻。宇宙と一体となるような世界観がスクリーンアートとギタープレイと融合し、一気に楽曲に入り込ませる力を感じる。ラストセクションで大渡のギターのみがリフレインするフレーズがこだまする。そこで得られるのは、ライブ体験でしか感じることはできない、魂を震わせるバイブレーションがホール空間を支配していた。

洗練された“起承転結”、Do As Infinityの真骨頂

Do As Infinity

 これまでさほど喋っていなかった大渡だが、最後のMCでは怒濤の如きトークを展開。伴とのやりとりは「長年の相方なんだな」という、ほっこり愛くるしい空気を醸し、会場を和ませていた。グッズのリストバンドを猛プッシュする大渡の姿から「Do As愛」を感じずにはいられない。そして、そのままのハイテンションでSGギターを全力でかき鳴らし、「Gates of heaven」からのラストセクションに突入。ここまでのライブの運び方と言えば流石の一言。

 16曲目の「化身の獣」でこの日MAXの熱量がフォーラムを燃やした。「本日ハ晴天ナリ」の伴のコール、そしてオーディエンスのレスポンスの声量といったら凄まじく、「ここがライブの佳境」とはっきり感じられる山場。楽曲・演奏・パフォーマンスもさることながら、ライブの創り方において“超一流”と表現したい。そして、「遠くまで」で綺麗に本編ラストを飾った——。Do As Infinityの楽曲も、伴の歌唱も、大渡のギターソロの組み方もそうだが、“起承転結”がこれほどまでに洗練され、それを感じさせずに純粋にライブを楽しませてくれるグループは希有。そう感じずにはいられない体験だった。

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