今の歌に手応え感じてる、シェネル 節目に築けた新たな音楽性
INTERVIEW

今の歌に手応え感じてる、シェネル 節目に築けた新たな音楽性


記者:木村武雄

撮影:

掲載:18年01月20日

読了時間:約11分

不安を取り除いた、届ける思い

――「ベイビーアイラブユー」や今回の「Destiny」もそうですが、他の人が歌っても絶対に表現できない世界観だと思うんです。それは感情のところもあるのかなと。

 そう言ってもらえて凄く嬉しいわ。子供の頃、色々な音楽を聴いているなかで、ホイットニー・ヒューストンが大好きで凄く聴いていて。彼女の歌声はパワフルだし、とにかく素晴らしい歌声じゃないですか。

 でも、彼女の歌をそのまま彼女のように全く一緒の歌い方で表現するんじゃなくて、彼女の歌を聴いたときに感じる感情や感覚を自分も歌で表現したい。彼女の歌を聴くと凄く自分の体の中が、たましいが掴まれた感じになる。それを自分も歌を通して表現したいという気持ちがあるの。だから、そう言ってもらえて凄く嬉しい。

シェネル(撮影=片山拓)

――ホイットニー・ヒューストンさんの歌い方をそのまま再現するのではなくて、その先にある思いや歌の世界観をどう届けるか、その姿勢に憧れを持ったということですよね。私はシェネルさんからそうしたものを感じましたが、最初からそういうものが出来たのでしょうか?

 それは答えるのがすごく難しい。自分の中では自分の歌で人に何かを感じ取ってもらいたいという気持ちを大事にして歌っている。当然のように歌のメロディーには、人の感情に訴えるものを持っていますよね。じゃあそこから先、歌を聴いた人がどれくらい深くそれに感動するかとか、どれくらいそれに共感するとかは、そこから先は私の手ではどうする事もできない。自分ではコントロールできるものじゃない。自分でどうにか思って出来ることじゃない。

 でも、こういう表現する人たちって何かの形で才能を授かってそれを扱って表現している。なぜならば、1にそうするべきだから。2にはそうすることで人を癒す力を持っている。じゃあどうしてそうなのか? と言われても私にもわからない。けど、そこから先はなぜそういった感情を、人はなぜ音楽に感動するのかというところには、自分の及ぼす力ではないのかなって思っている。

――前回のアルバム『メタモルフォーゼ』に合わせておこなわれたオフィシャルインタビューで、日本でヒットした後に「気に入ってもらえる作品が自分には作れないんじゃないか」という不安になったと話をされていて、でもその不安を取り払うことができたのは「世に出されたのが自分の中に溜め込んでいたらだめだと思ったこと。自分にできることは、自分が心から作りたいと思った作品を作ることに最善を尽くすことだから。世に出さないまま、自分の中に溜め込んでいてはダメだと思った」とも話していて、先ほどの話はそれに通じるところもありますよね?

 『メタモルフォーゼ』のアルバムを作るにあたって大事にしたのは、自分のやりたい音楽を見つけて、それをとことん追求すること。それが出来たのは、私の歌に感動してくれる人がいてくれたから。それは、私に通じていない人も私の歌で感動してくれている。そこも大きくて、もっと深く音楽的に追及していきたいという思いが強くなった。

 そのなかで、自分が表現したいものを見つけて、それをすることでもっと大きなものを人に提供できるんじゃないかなって思えたの。自分も同じ人間で、同じ感情がある。自分の抱えている感情をもっと音楽にのせて、正直に出して表現することがプラスに働いているという手ごたえを今はあります。

――『メタモルフォーゼ』を出したことによってさらに自信がついたということですね。川崎のコンサートではその『メタモルフォーゼ』に収録されていた「Shadow」が好きと言っていました。

 こういうバラードを歌いたいっていうのがあった。でも、あの曲は特定の誰かを思い浮かべて書いたわけではないの。過去の自分の恋愛体験を思い返しながら、あまり良い関係じゃないから結果的に別れたんだけど…でも別れてもついついその人の事を考えちゃう。特に別れた直後はやっぱり自分もなかなか吹っ切れない、色々な思い出、こんな事もあった、あんな事もあったと思い巡らせてしまう。どうしようもない、だから影のように付きまとうという想いを込めたの。凄くリアルな歌だと思うし、共感してくれる人も多いんじゃないかなと思う。

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