SPICY CHOCOLATE:新曲で伝えたかった大切なこと、点と点を結ぶ渋谷レゲエ祭
INTERVIEW

SPICY CHOCOLATE:新曲で伝えたかった大切なこと、点と点を結ぶ渋谷レゲエ祭


記者:木村武雄

撮影:

掲載:19年06月21日

読了時間:約13分

 シェネルとBeverlyの2大歌姫をボーカルに招いたSPICY CHOCOLATEの最新作「最後のPiece feat.シェネル & Beverly」が6月4日にリリースされた。ストリーミング総再生回数1億7000万回を記録し、レゲエを始め日本の音楽シーンに影響を与えるSPICY CHOCOLATEが次に送る“アーティストコラボ”は、映画『BRAVE HEARTS 海猿』主題歌「ビリーヴ」などの大ヒットで知られるシェネル。そして、「I need your love」などで知られるBeverly。群をゆく歌唱力を誇る二大歌姫が究極のラブソングをみせる。カップリングにはレゲエシンガーのRAYと、注目を集める女性ソロシンガーのLeolaによる「どんなあなたも… feat. RAY & Leola」を収録。表題曲と対極的にそれぞれの新しい未来へ歩み始める男女を描いたせつない失恋ソングとなっている。今秋には11回目を迎える『渋谷レゲエ祭』の開催も控える。今作および同フェスについてSPICY CHOCOLATEのKATSUYUKIに話を聞いた。【取材・撮影=木村陽仁】

シェネル& Beverlyによる究極ラブソング

――先日、寿君のライブに出演されていましたね。SPICY CHOCOLATEを中心にファミリー感、凄く良い関係性が築かれているという印象です。当時からこういうことは考えていたんですか?

 そうですね。僕は壁を壊していきたいと思っていて、音楽のジャンルもそう。そのように見えているのはすごく嬉しいです! 逆にギクシャクするよりもね(笑)。そういった垣根を越えたような関係性。道がないところに道を作っていきたいというのはあります。

――そのファミリーに新たにBeverlyさんが加わりました。シェネルさんは2014年7月の「うれし涙 feat.シェネル & MACO」以来ですが、「最後のPiece feat. シェネル& Beverly」のいきさつは?

 まずはBeverlyさんがいいなと思ってオファーしたのが始まりです。それで彼女と一緒に歌う人は誰にしようかと考えて。男の人がいいのか女の人がいいのかと色々考えたんですけど、チームで話していく中で、シェネルさんがいいんじゃないかと。「うれし涙」の時、シェネルさんは優しく歌っていて。人の心に入っていくことができる、外国語が母国語なのに、日本語で優しく歌えるアーティストってあまりいなくて。Beverlyさんも母国語はタガログ語で外国語。加えて英語も喋れて、日本語も少し喋れる感じなので、今回は母国語が外国語の方が日本語で歌うというのが面白くて、新しい挑戦じゃないかなと思いました。とても歌が上手な2人なので、どう化学反応を引き起こせるかなということを凄く考えながら今回は作っていきましたね。

――過去にBeverlyさんは「シェネルさんとコラボしたい」と言っていましたよ。

 へええ! それ初めて聞いた! やっぱり言葉に出すことですね。「やりたい」とか言霊だと思うので。そうだったんだ…。

――言うということは大事なんですね。福山雅治さんと松田聖子さんとのコラボもいつか…。

 いつかできると思いますよ! ずっと言い続けていますからね。一緒にやりたいと。

――叶うといいですよね。今回のレコーディングはいかがでしたか?

 全部立ち会いましたが、何回もやり直しをしながら組み上げていった感じなので、とても良いものができました。賑やかなレコーディングでしたね。シェネルさんはムードメーカーだし、どちらかというと外国のノリなので会った瞬間にハグから始まって「元気だったの? どうなの!」という感じで。もの凄く和やかな感じでしたね。

――Beverlyさんは少し控え目な印象もありますが。

 そうですね。Beverlyさんは逆に緊張していているように感じました。だからシェネルさんと、Beverlyさんの緊張をほぐしながら進めて行きました。でもBeverlyさんはマイクの前に立つと全然違うし、スイッチが入ると凄い、それはさすがだなと思いました。

――お二人の歌声は強烈な個性を放っているので、組み合わせるのは難しい気もしますが。

 やっぱり二人とも歌唱力が高いですしね。Beverlyさんの魅力は、ハイトーン・ボイスだし、あまり振り切り過ぎても良くないかなと思って、ちょっと落としめの優しいイメージで今回歌ってもらいました。振り切ってないBeverlyさんを今回みせられたかなと。今回の楽曲がラブソングなので、その方が歌詞が入ってくると思うし、聴く人のみなさんが口ずさめて、カラオケとかでも歌いやすいんじゃないかなと考えて。

――そのあたりはBeverlyさんと擦り合わせながら?

 そうです。キーを当てるのでも、どのキーが良いのかなとやりやすそうなものを何パターンも録って進めて行きました。

――Beverlyさんはハイトーン・ボイスというイメージがあるので、こういった落とした感じというのはなかなかないかと。

 そうですよね。今回そういうのは初挑戦だったと思うし、見せ所は後半にちゃんとシンギングしてくる所も出てくるので、良い所もちゃんと残しつつ、ちょっと今までとは違うような雰囲気が出せたらなという感じでやっています。SPICY CHOCOLATEとの楽曲だからこそ、違った顔のBeverlyさんを見せることができればいいかなと。

――こういう一面が見せられたのは大きいと思います。録り終えた後はどうでしたか?

 録り終わったときはみんなで喜んで、「ようやくできたね」って。たくさんの方に聴いて頂けるように頑張りましょうという感じですね。

――意見のぶつかり合いはあったりしましたか?

 もちろんです。シェネルさんもシェネルさんで自分の意見をちゃんと言ってくるので、彼女の意見も聞きながら、そのなかで、みんなで上手く調整して進めて行きました。

――KATSUYUKIさんの制作はビートからという話を以前されていました。今回も?

 そうです。今回もそもそもビートのイメージがあったので、誰がいいかなというのでBeverlyさんに声をかけて。Beverlyさんと誰かなと、それでシェネルさんに声をかけてと。そういう流れですね。

――歌詞について、「恋人の前向きな感じ」というのは、ある程度KATSUYUKIさんの方で?

 テーマは僕の方で決めさせてもらいました。人生はやっぱり一期一会だと思っていて、出会いと別れで人生は形作られていくんじゃないかなと思って。世の中に生まれて来たときに初めて会うのはお母さんとお父さんじゃないですか? そこから兄弟と出会って、外に出るようになったら友達とか恋人とか。人生のなかで必ず出会いと別れというのがあって、その出会いによって人生は左右されていくし、辛いときに心の隙間に寄り添ってくれる人だったりとか、それがずっと横にいるのかといったらそうじゃないし、でも人生のなかでそういう人がいるんだよ、そういう人達が大切だよねというのを気付いてもらえたらいいなというのがテーマです。

――KATSUYUKIさんのなかで何かを感じとって、そういったテーマにしたのでしょうか?

 そうです。僕も、もちろん色んな出会いと別れがあって。人と別れる度にそういう思いって強くなるじゃないですか? もういなくなっちゃったら別れになるわけだし。出会いは大切だと思うし、「今日が最後だと思って接した方がいいよ」と思うようになってきたんです。毎日普通に会っている人でも、その日が最後になるかもしれないし。そういう出会いと別れの大切さというのを表現できたらいいなと思って。そういうのがテーマにあります。

――恋愛ソングという位置づけもありますが、それに限らずと。

 もちろん恋人関係もあって、人との出会いと別れと、大切な人を大切にするべきだよという。時代も早くなっていくけど、最終的に必要になってくるのは感情とか温もりとか、そういうものは絶対になくならないと思うので、より一層そういうものを強めていけたらなと思います。

――シェネルさんとBeverlyさんが日本語で歌うという、不思議な感じはありますが凄く日本語が上手いという。

 外国語を普通に喋っているのに、日本語で歌ってもらっているから、アクセントとかは本人達は苦労したと思うんですけど、それを乗り越えて良い作品ができました。

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