日本を代表するサムライギタリストのMIYAVIが12月16日、東京・新木場STUDIO COASTで東名阪ツアー『Samurai Sessions Vol.3 Release Tour "Before Worlds Collide"』の初日となる東京公演をおこなった。5日にリリースされたニューアルバム『SAMURAI SESSIONS vol.3 - Worlds Collide -』を引っさげて、この日の東京を皮切りに18日の大阪、19日の名古屋をまわるというもの。この日のゲストには三味線奏者の上妻宏光、EXILE SHOKICHI、サプライズゲストにシェネル、シシド・カフカも急遽参戦し“Samurai Sessions”に相応しいコラボで魅了した。ツアー初日となった東京公演の模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

新しいギターミュージックをみせたい

MIYAVI(撮影=Yusuke Okada)

 会場は超満員で、フロアには隙間もないほど多くのオーディエンスで満たされていた。ステージ前方には紗幕が降り、そこには青いライティング薄っすらと色づいていた。開演時刻になる俳優のサミュエル・エル・ジャクソンの存在感のあるナレーションが堪能出来る「Worlds Collide(Intro)」とともに紗幕にMIYAVIのシルエットが浮かび上がった。サミュエルの声に絡みつくようなエモーショナルなギターフレーズを奏でライブの幕は開けた。

 たとえ土砂降りでも槍が降ろうとも、迷わず凛として進み続けるといった、力強いメッセージを放つ「Rain Dance」で早くもオーディエンスのボルテージもマックスに。体を揺さぶりかけるグルーヴとサウンドに酔いしれ「In Crowd」ではブラックミュージックをベースにしたビートに、オーディエンスも体を弾ませ楽しんだ。

 MIYAVIは「2018年を日本で締めくくれることが嬉しい。自分もまた夢を追う途中、新しいギターミュージックをみせたい」と、これからの活動への意気込みをみせ、今作『SAMURAI SESSIONS vol.3 - Worlds Collide -』に込められた思いを綴り、「I’m So」、「Bumps In The Night」と立て続けに投下。アコースティックギターを使用し伝家の宝刀・スラップ奏法でアタッキーなサウンドを弾き出し、アグレッシブな演奏で我々のテンション上げてくれた「Our Love」で、更に会場はオーディエンスの熱気で温度が上昇していく。

 ここで、EXILE SHOKICHIを呼び込み「Fight Club」を披露。アグレッシブにぶつかりあうエナジーは、2人による相乗効果でライブをネクストレベルへ昇華。続いて、サプライズゲストとしてシェネルを招いての「Forget You」は、存在感のあるパワフルなシェネルの歌声に、ギターで会話するかのようなエモーショナルな空間を作り上げた。

EXILE SHOKICHI(撮影=Yusuke Okada)

 豪華なゲストが立て続けに来たことで「MIYAVIの部屋みたいになってきたな(笑)」と、おどけてみせ、続いてはシシド・カフカを呼び込み「Get Into My Heart」を披露。ドラマーboboとのツインドラムで展開。スリリングなドラミングはシンクロしていたかと思えば、お互いの間を縫うかのように、変幻自在のプレーで魅了。エキサイティングなドラムソロもテンションを上げさせる。その2人のビートの上でMIYAVIも自由に泳ぐようにギターを奏でていく。

シェネル(撮影=Yusuke Okada)

 この日、最後のゲストは三味線奏者の上妻宏光と「Strong」を届ける。MIYAVIのスラップギターのサウンドのルーツともいえる三味線とのコラボは、まさにソウルのぶつかり合い。時には挑発しながらも、凄まじいケミストリーを生み出していた。

上妻宏光(撮影=Yusuke Okada)

道は険しくても自分の信じた音楽をやっていく

MIYAVI(撮影=Yusuke Okada)

 MIYAVIは「サッカーを怪我で断念して、ぽっかり穴が空いたときに僕を救ってくれたのはギターでした。僕らを音楽が救ってくれたように、今度は僕らが音楽で世界を良い方向に導けたらなと思います」と語る。hideからは音楽、ファン、世界と対峙することへの姿勢を学んだという。「デビュー当時は制作チームがhideさんと近かったということもあり、hideさんが描こうとした夢を描かなければいけないと勝手に背負い込んでいて…。でも、そこから時間と距離をおいて改めてまっすぐhideさんと向き合うことが出来た」と語った。「今この時代の俺たちが先輩たちが作ってきたものを、下の世代に引き継いでいく必要があると思っています」と「Pink Spider (Remix)」をパフォーマンス。何年経っても色褪せない楽曲を、今のMIYAVIが全霊で奏でる。

 「暑い夏も、寒い冬を乗り越えて暮らしている子どもたちの顔を思い浮かべて演奏します。未来を考えているときだけはワクワク出来る、そのワクワクをみんなに届けるために音楽を作っています。長い夜も明日が来ると信じられるから乗り越えられる」とUNHCR(国連難民高等弁務官駐日事務所)親善大使として訪れた難民キャンプから帰ってきて書いた楽曲「Long Nights」を演奏。希望を感じさせるエナジーで会場を包み込むようだ。

 ライブもラストスパートに突入。不死鳥の如く天翔していくのようなサウンドスケープを見せた「Fire Bird」、さらに高まったボルテージをブーストするかのように投下した「Day 1」は狂気ともいえる盛り上がりを見せた。本編最後に届けたのは「Dancing With My Fingers」だ。MIYAVIの指がまさに踊り狂うかのように指板を駆け巡り、ボルテージは最高潮のなか、本編を終了した。

 アンコールでは「この先、道は険しかろうとも自分の信じた音楽をやっていくつもりだし、邦楽・洋楽の壁をぶっ壊して、新しいギターミュージックを作っていきたい」と決意。そして、ソロアルバムを制作していることも明かした。「もっとパーソナルに、みんなの応援歌となるような歌詞を書きたい、もっと自分の言葉でメッセージを伝えていきたい」とこれからを語った。

記念撮影(撮影=Yusuke Okada)

 「繊細で、センシティブで良いんだと肯定できるような楽曲」と話し、届けられたのは「Fragile」。MIYAVIのトライともいえるソフトなギタートーンと歌声で紡がれるナンバーは、先程までのアグレッシブなMIYAVIとは180度違う側面を見せてくれた。その優しく包み込むようなサウンドは続いての「Me and the Moonlight」でも引き継がれ、MIYAVIの第2章の幕開けを強く感じさせた。ラストはMIYAVIの代名詞ともいえるナンバー「What’s My Name? 2017」でビッグバンのような衝動的なサウンドで会場を席巻し、初日公演の幕は閉じた。

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