新宿LOFTでツアーファイナルをおこない来春にメジャーデビューすることを発表したパノラマパナマタウン(撮影=浜野カズシ)

 神戸で結成されたオルタナティブロックバンド・パノラマパナマタウンが14日に、東京・新宿LOFTで『Hello Chaos!!!!』リリース ワンマンツアー『Goodbye Chaos Tour』のファイナル公演をおこなった。ツアーは6月にリリースされた3rdミニアルバム『Hello Chaos!!!!』を引っさげて東名阪を廻るというもの。ライブは『Hello Chaos!!!!』の楽曲や10月3日にテレビアニメ「十二大戦」オープニングテーマとして配信開始となった「ラプチャー」など全19曲を熱演。この日、2018年新春にメジャーデビューすることを発表し、会場は祝福の声に包まれた。この記念すべきライブのもようを以下にレポートする。

俺たちに似合っている場所

(撮影=浜野カズシ)

 東京の老舗ライブハウスのひとつ新宿LOFT。多くのバンドがライブをおこなって来たステージ。会場には続々と観客が入場。ライブの開演を待ちわびていた。

 開演時刻になり暗転。船の汽笛が鳴り響き、ステージ前に下がっていた幕がゆっくりと上がって行く。SEに乗ってメンバーがステージに登場。岩渕想太(Vo&Gt)は「待たせたなPPT」とオーディエンスを煽り、『Hello Chaos!!!!』から「PPT」でツアーファイナルの幕は開けた。続いて、「リバティーリバティー」、「ロールプレイング」とバンドの真骨頂でもある緩急をつけたビートから放たれる、度肝を抜くグルーヴチェンジ。それに遅れることなくついて行くオーディエンス。そして、レア曲「寝正月」と序盤から“パノラマパナマタウンらしさ”全開の演奏で盛り上げて行く。

 再び『Hello Chaos!!!!』から「エンターテイネント」に突入。その今までの真骨頂を、さらにブラッシュアップさせて来たナンバーは、スカ、4つ打ち、8ビートと1曲の中に様々なグルーヴが混在し、ライブハウスを席巻して行く。そして、上京して感じたことをぶつけたナンバー「ねぇ、東京」へ。この東京という街に語りかけるようにメッセージを放っていく岩淵。続いて、田野明彦(B)のダーティーなベースサウンドをきっかけに始まる「Gaffe」、沖縄のリズムを組み込んだ異色なナンバー「ホワイトアウト」と、幅広い音楽性でオーディエンスを魅了。

 岩渕はツアーファイナルにこの新宿LOFTを選んだ理由に「俺たちに似合っていると思ったから...」とちょっと照れ臭そうに話す。その言葉からは新宿LOFTが特別な空間だということが伝わって来た。そのあと、メンバーと東名阪ツアーの思い出を語り合う姿は、楽屋での会話を聞いているかのようなアットホームな空間。

 MCを終え、岩渕の地元である福岡のシャッター街をテーマに書いたという「真夜中の虹」を披露。浪越康平(Gt)のエモーショナルなギターソロが終わると、岩渕が「照明を落としてくれ!」と投げかけ、ステージは暗闇に小さな明かりが灯っているかのような空間に。歌の世界観も相まってシャッター街の情景が、そこに見えるかのようだった。

 そして、テレビアニメ「十二大戦」オープニングテーマとしても話題の「ラプチャー」へ。“歓喜”の意味を持つタイトルは、まさに歓喜の光を追い求めるかのように、力強く進んで行く、バンドのアティチュードを感じることができた演奏。「パノラマパナマタウンのテーマ」では浪越のエフェクティブな演奏で耳を刺激し、ライブはラストスパートに向かって行く。

■やりたいことを曲げない

(撮影=浜野カズシ)

 「SHINKAICHI」では、バンドの一体感が増して行くのがわかる好演。オーディエンスも体を揺らし、ビートに身を委ねテンションがクレッシェンドしていくなか、ここで新曲「フカンショウ」を投入。体に響き渡るビートに、畳み掛けるリリックが心地よい。<ほっといてくれ♪>という歌詞がキャッチーに、耳に飛び込んでくる。これからライブでのマストナンバーになって行くことを予感させたナンバーだ。

 そして、本編ラストは「MOMO」。ビートの上をフロウしていく岩渕は、歌詞を変え<2018年新春 パノラマパナマタウンメジャーデビューする これは通過点だ これからもヨロシク>と突然のメジャーデビューを発表。カウンターを食らったかのように、歓声をあげるオーディエンス。そんなサプライズが飛び出し、大盛り上がりのなか、本編は終了。

 アンコールに応え、再びステージにメンバーが登場。ここで改めてメジャーデビューが決まったことを、集まったオーディエンスに告げた。「(メジャーに行っても)俺たちはやりたいことを曲げない」と誓いを伝える岩渕。その決意を胸に届けられたのは「odyssey」。新たな冒険への旅立ちに向けて、4人の思いを音に乗せ届ける。

 田村は「もっと多くの人を巻き込んで、大きなところでもやりたい」と思いを告げ、岩渕がステージから降りフロアでギターをかき鳴らした「いい趣味してるね」、ラストは「世界最後になる歌は」を、熱いサウンドで放つ。途中、マイクを置き、生声で歌う岩渕。それを後押しするように、オーディエンスのシンガロングが会場に響き渡った。ボルテージは最高潮まで高まるなか、『Goodbye Chaos Tour』の幕は閉じた。

 幕開けの船の汽笛はメジャーという大海原に出航した合図だったのだろう。岩渕は先のMCで上京してから、音楽的に葛藤があったことを明かし、その混沌とも言える状況から“さよなら”したいという思いで、『Goodbye Chaos Tour』はつけられたタイトルと話した。このツアーを経て、“混沌”から脱出し“希望”という2文字に変わったはずだとライブを観て確信した。岩渕は最後に「俺たちの夜明けだ、ありがとう!」と感謝を告げステージを後にした。

【取材=村上順一】

セットリスト

01.PPT
02.リバティーリバティー
03.ロールプレイング
04.寝正月
05.エンターテイネント
06.シェルター
07.ねぇ、東京
08.Gaffe
09.ホワイトアウト
10.真夜中の虹
11.パン屋の帰り
12.ラプチャー
13.パノラマパナマタウンのテーマ
14.SHINKAICHI
15.フカンショウ
16.MOMO

ENCORE

EN1.odyssey
EN2.いい趣味してるね
EN3.世界最後になる歌は

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