Panorama Panama Town(パノラマパナマタウン)が25日、東京・新宿LOFTで『Panorama Panama Town presents “Rolling Night Tour”』のツアーファイナル公演を行った。このツアーは4月7日にリリースされたニューEP『Rolling』を携えて4月10日の大阪と25日の東京の2公演を行うというもの。東京公演は「Gaffe」、「Sad Good Night」、「世界最後になる歌は」などアンコール含め全19曲を披露した。ライブはバンドが次のフェーズへ突入したことを感じさせ、ファンの前でその姿勢をしっかりと提示し最高のパフォーマンスで魅了した。このライブはTwitter企画も実施。ハッシュタグ #PPT_Rollingがついたツイートの中からピックアップされた参加者からのレポートも、最後にいくつか紹介する。【取材=村上順一】

衝動的なライブをして帰りたい

岩渕想太(撮影=浜野カズシ)

 開演時刻になりメンバーがステージに登場し、スタンバイを終えた岩渕想太(Vo&Gt)の「待たせたな」この言葉から昨年8月に開催されたオンラインライブ『PPT Online Live「On the Road」』の最後に披露された「On The Road」でツアーファイナルの幕は開けた。久しぶりの東京でのワンマン、バンドの放つサウンドに声が出せない中、手を掲げそのエネルギーに応えるオーディエンス。

 そして、初期のナンバー「SHINKAICHI」は躍動感のあるタノアキヒコ(Ba)のベースライン、それに絡むレスポールをオーバードライブさせた浪越康平(Gt)のギター、ポリープを経て新しい歌い方、表現を模索しより伸びやかでエネルギッシュさを合わせ持った岩渕の歌声と、序盤から進化した“パノパナ”を存分に感じさせてくれた。

 ここで昨年8月のオンラインライブで披露された「C'mon Future」を投下。サポートの大見勇人(Dr)による軽快なビートと<C'mon Future>のリフレインが印象的。乗りやすいナンバーにオーディエンスも体を揺らし、ヒートアップしていくのが伝わってきた。そして、「いい趣味してるね」の爆発力は目を見張るものがあった。これまで以上にメリハリの効いた演奏にテンションが高まっていく。

浪越康平(撮影=浜野カズシ)

 大きなビートの中でギターとベースによるユニゾンなど、スリリングなパートも盛り込まれた「月の裏側」、間髪入れずに昨年制作された「Dogs」へと突入。そして、リリースされたばかりのEPから「氾濫」を披露し、今のパノパナのモードがよくわかる演奏を堪能。「氾濫」は洗練されたサウンドに荒々しさもあるという、どこか相反する熱量を感じさせた。岩渕はこの曲について「今の自分の肌にあっている曲だなと思いました。誰かに言われるものではなく必要なものは自分で決めるものだと思っています。音楽は必要だと思っていて、いろんな葛藤もあるけど、必要だと思うから今日があると思っています」とアンコールの時に語っていたのが印象的だった。

 MCでは岩渕は「来てくれてありがとう。(ライブを)やれて良かった」と素直な気持ちを伝えた。メジャーデビューを発表した思い入れのある新宿LOFTという事もあり、感慨深い様子でここに戻ってきたことを話す。この時にサポートドラムの大見を友達と紹介していたのも印象的。この何気ない一言でもバンドの仲の良さ、姿勢が伝わってきた。

タノアキヒコ(撮影=浜野カズシ)

 新体制になったこともあり、ここで新たな旅路を示唆するナンバー「Odyssey」を披露。エレキギターからアコースティックギターにチェンジした岩渕。乾いたアコギのサウンドを軸に浪越とタノのエレクトリックな音と大見のリズムが絡み合うアレンジ。バンドとして初の試みという事もあり、岩渕は「緊張した。ちょっと肩の荷が降りたような気がする」と安堵の表情を浮かべていた。さらにアコースティックでもう一曲「パン屋の帰り」を届け、バンドの新たな一面を見せてくれた。

 原点に立ち帰り、またバンドを始めた時のような気持ちを入れたかったと、EPを作った気持ちを語る岩渕。そして、「衝動的なライブをして帰りたいと思います」と意気込みを話し、ライブは後半戦へ突入。

こんな日があるなら進んでいきたい

Panorama Panama Town(撮影=浜野カズシ)

 岩渕が「色々あったけど今が一番最高!」と投げかけ、届けられたのは「SO YOUNG」だ。サビではSO YOUNGの言葉に合わせ手を振り上げるオーディエンス。<信じ抜いてみりゃ これが答えだろう>と力強いメッセージを放ちながら、ステージとフロアの心が一つになった瞬間だった。

 続いてパノパナが結成して初めて作られた思い入れも強いナンバー「ロールプレイング」へ。力強く心地よいグルーヴがライブハウスを席巻していくような感覚は、生で音を浴びているということを強く感じさせた。その熱量を維持したまま畳みかけるように届けられた「リバティーリバティー」では、これまで以上にエッジの効いたサウンドでボルテージを高めて行った。

 サングラスを着用したタノによるドライブしたベースが牽引する「Rodeo」へ。石毛輝(the telephones、Yap!!!)のプロデュースにより、昨年のデモからテンポもキーも上がり、さらにエキサイティングな曲へと生まれ変わった。オーディエンスはサビで<Rodeo Rodeo>と一緒に叫びたいところだが、グッと堪え腕を思いっきり掲げ楽しむオーディエンス。その気持ちがステージにも伝わったかのように、バンドの演奏もさらにヒートアップ。

 岩渕は「『Rolling』を作るまでにいろんな夜がありました。戻っているのか、進んでいるのかもわからない夜でしたけど作れて良かったと思います。こんな日があるなら進んでいきたいと思います。どんな悲しい夜があってもまた会いましょう」と話、本編ラストは「Sad Good Night」を披露。明けない夜はない、少しずつでも前に進んでいこう、という気概を感じさせるエモーショナルなナンバーで、ステージを後にした。

 アンコールで再びステージに登場した4人。岩渕は「コロナがなかったら『Rolling』のような作品は生まれてなかった。ゆっくり自分が好きなものと向き合えたから作れたと思っていて、悪いことばかりではなかった」と、コロナ禍に悲観するばかりではなかったと語った。加えて7月に『Panorama Panama Town presents “Daydream Night Club”』を東阪2会場で開催することを発表した。

 アンコールは久しぶりの披露となった「めちゃめちゃ生きてる」。<誰も俺らを止められないぜ>とバンドの勢いを感じさせた。ラストは「世界最後になる歌は」を投下。切れ味鋭い浪越のギターカッティング、岩渕の畳みかけるボーカルとバンドの全身全霊のパフォーマンスで締めくくった。

ライブの模様(撮影=浜野カズシ)

 そして、EP『Rolling』リリース時に発表された企画で、Twitterでハッシュタグ#PPT_Rollingをつけてレポートを募集。このライブに参加した人たちから多くの感想、レポートが集まった。その中からいくつか紹介したい。

▽minori@ym6821

 初参加だったけど、パフォーマンスとか音に圧倒的に魅了される瞬間というか、ぶん殴られるような感覚がすごくて、私はこれを味わうために生きてるんだって思った。個人的に去年の2月ぶりのライブハウスで、またしばらくどうなるかわかんないけど、昨日ライブに行けたこと最高の幸せです!

▽やすな@nya_yasuna

 パノパナのライブアレンジめちゃめちゃかっこよかった! 月の裏側は普段からオシャレでかっこいいのに、サビでめっちゃ雰囲気変えてくるし、リバティーリバティーは「何これ何これリバリバかーー!!!」って冒頭からテンション上がりました!

▽レ@BBB___R

 岩渕さんが何回も来てくれて有難うって言ってくれてて、ライブ行けてるのって当たり前じゃなくてすごく幸せなんだよなって改めて思った日!今とても幸せ!!

▽おたうえせいごろー@otaueseigoro

今夜みんなよかったけど、個人的にうれしかったのはエイリアンかなぁ。。「退屈な毎日だけど、美しく生きている」って、今の心情そのものですもん。コロナになってからウォーキング日課になってるけど、歩きながら聴いてても気持ちシンクロして泣ける部分です。。

▽fleur@enksyhenksyh

1番大好きな世界最後になる歌は、これ聴けちゃったらボロッボロに泣くんじゃないか?って思ってたけど、前回も今日も楽しすぎちゃって全く涙出なかった笑 相当落ち込んだ時に励まされた曲なので2回も聴けて嬉しかったし、心の中で何回もありがとう!って叫んだ!最高すぎるよパノパナ、、

 上記の感想からもわかるように充実した時間、ライブを体感したようだ。アコースティックセクションなど、新しい試みも見られた久々の有観客でのワンマンは、彼らのこれから、期待感を高めてくれるものだった。勢いだけではなくバンドの持つ繊細な部分を垣間見れたステージだった。ロックバンド・Panorama Panama Townとしての可能性を追求していくような姿勢を随所に感じさせ、7月に開催される2マンライブではどのような姿を見せてくれるのか楽しみに待ちたい。

セットリスト

『Panorama Panama Town presents “Rolling Night Tour”』

4月25日@新宿LOFT

01.On The Road
02.SHINKAICHI
03.C'mon Future
04.いい趣味してるね
05.Gaffe
06.月の裏側
07.Dogs
08.氾濫
09.Odyssey
10.パン屋の帰り
11.SO YOUNG
12.ロールプレイング
13.リバティーリバティー
14.Rodeo
15.MOMO
16.Sad Good Night

ENCORE

EN1.めちゃめちゃ生きてる
EN2.エイリアン
En3.世界最後になる歌は

この記事の写真

記事タグ 


コメントを書く(ユーザー登録不要)