「なりたいBOYS&GIRLSバンド」で演奏した菅原卓郎(撮影=山本佳代子)

 チャットモンチーが8月29日、都内でおこなわれたイベント『「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」奥田民生になりたいボーイに贈る狂わせナイト』で演奏をおこなった。イベントには、奥田民生を尊敬する9mm Parabellum Bulletの菅原卓郎(Vo、Gt)、ロックバンドのウソツキ、空想委員会、シンガーソングライターの足立佳奈、中村郁実が出演し、それぞれが奥田民生の曲をカバーするなど奥田への敬意を音楽で表現。このなかで、チャットモンチーの橋本絵莉子(Vo、Gt、Key)は「多くを語らない分、歌詞に民生さんの想いが詰まってる」と奥田の音楽について、しみじみと語った。

奥田民生リスペクト

足立佳奈(撮影=山本佳代子)

 『奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール』は2015年にライターで漫画家の渋谷直角氏が発表した漫画作品。「狂わせガール」に翻弄されて、もがき苦しむ主人公を中心に展開するストーリーが大きな反響を呼んだ。この作品が、主演・妻夫木聡、ヒロイン・水原希子で映画化が決定し、9月16日に全国公開される。今回のイベントはこの劇場公開を記念したもの。

 イベントは、8月30日にメジャーデビューしたばかりの足立の演奏から始まった。足立は「オープニングアクトを勤めさせて頂いて幸せです」と述べてから、奥田民生の「イージュー★ライダー」と自身の楽曲「ココロハレテ」を披露。その後イベントは出演者によるトークセッションへ。妻夫木、水原をはじめ、PUFFYの吉村由美、大貫亜美も登場した。

 トークが終わると、奥田民生をリスペクトするミュージシャンたちによる演奏へ。最初に登場したのは、ロックバンドのウソツキ。まずは、骨太なサウンドで奥田民生の「マシマロ」をカバー。その後はダンスナンバー「コンプレクスにキスをして」、水原に捧げたという「一生分のラブレター」、爽やかなロックの「新木場発、銀河鉄道」と順番に披露した。

 ロックバンドの空想委員会は、実演奏以外に同期(プログラムした音)も有効に使用した「何者」から演奏をスタート。それからバンド演奏だけでシンプルに聴かせた奥田の「スカイウォーカー」のカバー、ストリングスが印象的な「私が雪を待つ理由」、大きなスケールで曲が展開する「罪と罰」を演奏。

なりたいBOYS&GIRLSバンド

中村郁実(撮影=山本佳代子)

 最後に出演したのはチャットモンチーの福岡晃子(Ba、Dr、Key、Cho)が主宰する「なりたいBOYS&GIRLSバンド」。ここから福岡がベースを、チャットモンチーのマネージャーがドラムを担当し、2曲づつゲストを呼ぶ形式でステージが進行する。

 福岡は「リラックスして聴いてください」とMCして、まずは菅原を呼び込んだ。デビュー当時から仲が良いという福岡と菅原。アコースティックギターを肩から下げた菅原は、自身が大音量のバンドをやっている事について言及し、「本当に奥田民生になりたいのか? と疑われるかもしれない」と冗談を飛ばす。そして3人で奥田民生の「さすらい」のカバーと、9mm Parabellum Bulletの「The Revolutionary」を披露。暖かいサウンドが会場を包んだ。

「なりたいBOYS&GIRLSバンド」として出演したチャットモンチー(撮影=山本佳代子)

 菅原が退場後、続いて福岡が呼び込んだのは、まだデビューしていないというシンガーソングライターの中村郁実。中村は「民生さんは本当に憧れています」と話してから、奥田の130にも及ぶ曲を聴いて選んだという「CUSTOM」を1人弾き語り、その後は中村の「うそつき」を3人で演奏。太くてハスキーな声で観客を魅了した。

 そして、福岡が最後に呼び込んだのは、チャットモンチーの橋本絵莉子。橋本は、奥田の見ていないところで彼を「民ちゃん」と呼んでいるという。登場してから「民生さんの歌が性別も年齢もこえて良いという事がよくわかりました。多くを語らない分、歌詞に民生さんの想いが詰まってる。歌詞について聞くと嫌そうにしていました(笑)」など自身のバンドのプロデュースを務めた事もある奥田について語った。それから、このメンバーで奥田の「風は西から」のカバーと、チャットモンチーの代表曲「シャングリラ」を演奏した。

 ライブ演奏の後もイベントは続き、最後に映画本編の上映もおこなわれた。【取材=小池直也】

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