昨年8月にデビュー5周年を迎えたシンガーソングライターの足立佳奈が16日、東京・Spotify O-WESTで『ADACHI KANA LIVE TOUR 2023 -Seeker-』のツアーファイナル公演を開催した。ツアーはデビュー5周年を記念し2月15日にリリースされた4thアルバム『Seeker』を携え、3月2日の大阪・梅田Shangri-Laを皮切りに全国7公演を行うというもの。ライブはアルバム『Seeker』収録された12曲に加え、「私今あなたに恋をしています」や「Good day」などアンコール含め全17曲を届けた。声出し解禁でコール&レスポンスやシンガロングで盛り上がりを見せたツアーファイナルの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

いつかみんなにとっての憧れになれるように

足立佳奈

 3月からスタートしたライブもツアーファイナルを迎え、ここまで6公演という経験値を積んだ足立への期待が高まるなか、開演時刻になり会場が暗転。バンドメンバーに続いて、足立がフェイバリットカラーである緑色のセットアップ(靴も緑色!)でステージに登場。背中を押してくれる応援歌「Life Goes On」でライブはスタートした。足立の前向きにさせてくれる歌声に合わせ、オーディエンスも手をリズムに合わせ左右に揺らし、一体感のある幕開けだった。

 続いてはビートが心地よい「Me」をパフォーマンス。ステージにセットされたLEDスタンドもカラフルにステージを彩った。足立は「今日は本当に来てくれてありがとう」と感謝を伝え、「楽しむ準備はできてますか?」と投げかけ「オーマイガール」へ。のびのびと歌う足立の表情も印象的で、このライブを心の底から楽しんでいるのが伝わってきた。

 MCでは5周年を迎えた節目のライブに来場したファンに向けて、改めて感謝の言葉を伝える。そして今と昔を繋ぐ楽曲だと説明し届けた「話がある」では、迫真の歌声を響かせ、この会場にいる誰もが、しっかりとその歌に耳を傾けていた。ABEMA『今日、好きになりました。』エンディングテーマとして起用された「面影」に続いて森谷優里(Key)と2人で2017年リリースされた「私今あなたに恋をしています」を披露。ピアノと歌声のみという、より歌が際立つミニマムな編成で、表現力豊かな歌を届けてくれた。

 MCを挟んで、清水"カルロス"宥人(Gt)がステージに登場。足立が当時同居していた友人に向けて作った「Film」を足立、森谷、カルロスの3人で、オリジナルとは趣を変えたアレンジで届けた。足立と友人とのかけがえのない日々がイメージできるような温かい瞬間だった。

 RYOTA(Dr)と小林修己(Ba)も合流し、再びフルメンバーで最新アルバムに収録されている新曲「今が一番ここちいい」を披露。「幸せな瞬間をちゃんと言葉にして残しておきたい」という想いをインタビューで語ってくれた曲だ。まさに今この瞬間を体現しているかのようなタイトルで、オーディエンスと“ここちいい”時間を共有。そして、ライブも中盤に差し掛かり、Tani Yuukiとコラボし話題となった「ゆらりふたり」を足立1人で表現。Tani Yuukiのパートを足立が歌うことで、オリジナルとはまた違った雰囲気を醸し出し、オーディエンスを魅了した。

 ここでアルバム『Seeker』への想いを話す足立。

 「アルバム『Seeker』は探求者という意味です。一貫して変わらないことってカッコいいと私は思っているんですけど、だからこそ変わっていく自分がいた時に、怖いなあ、不安だな、カッコ悪いなと悩んでいた時期がありました。そんな時にこのSeekerという言葉に出会って、その悩みが全部吹き飛んだかのように、これでいいんじゃないかなって気持ちが楽になったんです。これでいいんじゃないかというのは、音楽を通してあなたを求めたり、自分を探したり、理想を求めたり、真実を探したり、そうやって一つひとつ堂々と探求していけば、私ってカッコいいんじゃないかなって思うことができて、アルバムのタイトルを『Seeker』にしました。このアルバムを受け取ってくれたみんなに何かヒント与えられたらいいなと思っています」。

 続けてアルバム表題曲の「Seeker」について足立は、「私の憧れの人をSeekerと呼んでいて、その人は楽しむことを1 番にできる人なんです。彼女はすごく身近な存在なのに、どうしても追いつけないまぶしい存在です。デビュー5周年を迎えた私がいつかみんなにとっての憧れになれるように、本物のSeekerになれるように突っ走っている最中です。これからも応援よろしくお願いします」と想いを語った。

 そんな想いを込められた「Seeker」を披露。これまでの足立のスタイルとはまた一味違ったロックチューンで楽しませた。オーディエンスも足立と一緒にタオルを振り回し、一体感あふれる空間を作りあげた。ライブでの重要なナンバーになっていく曲だと感じさせてくれたパフォーマンスだった。

 足立は「みんなの未来がいい日になりますように」と願いを込め届けた「Good day」では、オーディエンスのシンガロングが会場を包み込む中、本編ラストは足立とオーディエンスとのコール&レスポンスが活きるナンバー「4321」で本編を終了。

足立佳奈

 オーディエンスによる「足立佳奈コール」に応えて、足立が再びステージに。足立は8月30日に6周年ライブ『ADACHI KANA 6th Anniversary Live - I got your six -』をshibuya WWWXで開催することをファンにいち早く報告。そして、「これからも足立佳奈についてきてくれますか?」とオーディエンスに問いかけ、ツアーファイナル最後を締めくくったのは、未来を思い乾杯をすれば、もっと楽しくなる。そして、今も楽しくなるという想いで作られた「カンパイ」。オーディエンスとともに盛大な「カンパイコール」を響かせ、オーラスに相応しい多幸感あふれる中、ライブは大団円を迎えた。

 足立の満面の笑みからこのライブの、ツアーの充実度が伝わってきた。アルバムで表現された音楽がライブハウスという空間で昇華されていく様を体感。6周年ライブではどんな姿を我々に見せてくれるのか、彼女の変化を楽しみに待ちたいと思わせてくれたステージだった。
 

セットリスト

『ADACHI KANA LIVE TOUR 2023 -Seeker-』

4月16日(日)@Spotify O-WEST>

1.Life Goes On
2.Me
3.オーマイガール
4.DATE
5.WALK
6.話がある
7.面影
8.私今あなたに恋をしています
9.Film
10.今が一番ここちいい
11.いまだけ
12.リミット
13.ゆらりふたり
14.Seeker
15.Good day
16.4321
En.カンパイ

この記事の写真

記事タグ 


コメントを書く(ユーザー登録不要)