ももちのラストコンサートのもよう

 “ももち”こと、嗣永桃子さんのラストコンサートから1カ月が経った。アイドルと同じぐらい思いがあったという幼児教育の道を目指して芸能界を卒業した彼女は今、何をしているだろうか。

 「私のわがままを聞いてくれた」という嗣永さんの願いでおこなわれた、梅雨の合間の野外でのラストコンサート。その公演を今、振り返ると“ももちの笑顔”だけが浮かんでくる。

 「今日に関しては…」と涙を流すかもしれないと語っていたが彼女だが、涙流さず最後まで笑顔だったのは、ファンへの強い思いが込められていたのではないだろうか。

 改めてあの時の事を考えると「笑顔」で通した真意が時間の経過とともに浮かび上がってくる。ファンに向けて送ったメッセージで彼女は「何よりもファンの幸せを願っている」とし、以下の事を口にした。

 「明日から一番大事にしていた人がいなくなって空っぽの状態になってしまうかもしれない。もしかしたらほかに好きなアイドルができるかもしれない。それはぜんぜんいいんですけど、ただ私とほかのアイドルのことと比べないでほしい。私以上のアイドルはそうそう現れない。私と比べないで好きになったそのこ自身をしっかり応援してほしい」。

ももちのラストコンサートのもよう

 ももち流の言い回しだが、ファンの心理を突いている。

 彼女はあの場でよく「ファンのため」や「ファンが幸せになってほしい」という言葉を繰り返してた。笑顔で知られる彼女。あの場ではさすがに「涙を流すかも」としていたが、実際には目に涙をためたものの、流すことはなかった。

 むしろ、妹の様に可愛がっていたカントリー・ガールズの面々が涙を流していた。ステージ上で振り返った時に主役であるももちを前に涙にぬれる顔を見せるメンバー。そうした“妹”にも“お姉さん”のももちはや優しい笑顔、気丈に振る舞っていた。

 最後に指を折り曲げてステージに消えた。しんみりとしたあの場でなぜか笑いが起きた。

 1カ月経過して残るのはやはり彼女の笑顔だ。もしあの場で涙を流していたならファンはずっと引きずっていただろう。

 プロフェッショナルさから嗣永プロとも称された。彼女は「可愛くないのでやめてほしい」とも言っていたが「そう評価してくれるのは嬉しい」とも述べていた。彼女が「プロ」と称される所以はこうした「去り際の笑顔」にも表れていた。

 笑顔は、健康や心に良いと聞く。ましては成長盛りの子供ならなおさらだ。幼児教育の道に進むとしていたももち。その笑顔で子供たちの成長を支えて欲しいと願う。(取材=木村陽仁)

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