ケツメイシ、改修工事前の代々木でエンタメ感溢れる熱いステージ
全国アリーナツアー『KTM TOUR 2017 幻の六本木大サーカス団 「ハッキリ言ってパーティーです!!」』の東京公演
4人組アーティストのケツメイシが7月1日、東京・国立代々木競技場第一体育館で2年ぶりの全国アリーナツアー『KTM TOUR 2017 幻の六本木大サーカス団 「ハッキリ言ってパーティーです!!」』の東京公演をおこなった。この日は、3月からスタートした同ツアーのテーマソング「人生劇場」ほか、昨年10月にリリースした10枚目のアルバム「KETSUNOPOLIS 10」を中心とした楽曲を披露。ツアータイトル通り、本物のサーカス団による演技が観客の度肝を抜いた。アンコールでは新旧のシングルメドレーを披露するなど、古くからのファンはもちろん、新たなファンも楽しめる徹頭徹尾エンターテインメントにこだわったステージを届けた。この日は会場が改修工事の為、改修前最後の景色になることも発表された。大蔵(MC)は「改修前の会場を明るくCLOSEしよう」と改修前最後の宴で熱い夜を演出した。
「パッション!!!!」で幕開け
開演を前にして、会場の周辺はケツメイシのファンと思われる人々が一帯を埋め尽くしていた。オリジナルTシャツやタオルをまとい、「KTM(ケツメイシ)」という文字をあしらったフェイスペイントを施した彼らは会場まで続く長蛇の列をなしていた。会場はというと、これから始まる宴を待ち切れないといった様子でスタンド、アリーナ、1F〜2Fスタンドまで人で溢れ、活気に満ちていた。
いよいよ開演時間を迎えると暗転する会場。歓喜の声を上げた観客たちは、緑色の葉にオレンジの木の実がついた、ヤシの木形のペンライトを上下左右に振っていた。
サーカス団の衣装に身を包んだ男性が立体オルゴールを回すと、アリーナ中央から大きなフラッグを持ったダンサーが行進し、長身のピエロがジャグリングして客席を練り歩く。本物のサーカス団のショーが始まった。左右のステージセットが引き寄せられ「roppongi circus」という文字が完成。
幕開けの1曲目は「パッション!!!!」。EDMの強いビートと極彩色のステージ画面に黒い手の形と各メンバーが映し出される。白Tシャツにホットパンツの女性ダンサーが体をくねらせ、DJブースがお目見え。<パパパッション>というかけ声で会場のボルテージが上がっていく。
2曲目の「痔持ち一代」で「2年ぶりの代々木第一体育館、調子はいかがですか?」と煽る大蔵(MC)。<GO EVERYBODY COME ON EVERYBODY>というサビでタオルを回すメンバーと客席は序盤から一体感に包まれる。
イギリス皇室の警備隊のような服装のダンサーがステージを所狭しと踊り歩く。3曲目に差し掛かった冒頭で「曇りの予報がなんとか晴れましたね。よかった!」と大蔵が盛り上げつつ、「ヤシの木のように」がスタート。
ヤシの木と海の景色が画面に写され、観客は左右にペンライトを振る。フラガールが優雅に踊る中、「夏がくるぞーclap your hands!」と大蔵の声。曲が終わると客席からはメンバーの名を呼ぶ声が飛び交う。
するとRYO(MC)が「改めましてこんばんは。ケツメイシでございます」と丁寧に一礼すると、「一応、名乗らないとSMAPが再結成しちゃうと思われちゃうからね」と笑いを誘う。また、「3月末に始まったおじさんたちの修学旅行、KTMツアー2017も今月で終わるということにニヤニヤが止まらない」と話し、加齢ネタ、下ネタ、お金のネタがどんどん飛び出し一気に観客を沸かせる。
フリースタイルでメンバー紹介
そして、ここで「初めてケツメイシのライブを生で見たというお客さんのために」ということで、メンバー紹介をフリースタイルで始めたRYO。上手の大蔵から「筋肉が奴のアクセサリー、寝るときでも風呂でも外せない、夜中のラーメンよしなさいよ、は大きなお世話、吉田大蔵!」と韻を踏みながら紹介。
続いてせり上がった舞台中央のDJブースにいるDJ KOHNOを「みんなが言うぜ、いいぜ今日も 飲む酒の量ならば段違い、また手が震えてるどうも変だ、ケツメイシDJ河野健太!」とコール。
次に下手のRYOJI(Vo)を「奴が俺らのメロディーメーカー 仕事がない日も多い日も、暇さえあれば行くタイランド、去年のズボンも入らんぞ、頼んだなら残すな料理、うまいもん好き大塚亮二!」と紹介すると、会場中から拍手喝采。
そしてRYOが、「私が今朝、蒲田駅のホームで乳母車を押してるヤングママがいたので“持ちましょうか?”と聞いたら“結構です!”と言われた者です」と自虐ネタをかましながら、次の曲へと繋ぐ。
会場もすっかり温まったところで4曲目は「カリフォルニー」。男性ダンサーと女性フラダンサーがステージを埋める。下手のRYOJIが、軽快にメロディーを歌い、大蔵のパートから、RYOへマイクリレー。
5曲目はレゲエの裏打ちビートが心地よい「いい感じ」。せり上がったステージ上でダンサーが一1段ごとに巡っていくフォーメーションが豊かな曲だ。ビールとビキニ姿の女性が正面の画面に映し出される。
スチールパンの音色が綺麗な6曲目の「ボサノBAR」が流れるようにスタート。ステージにはピンク色の照明とたいまつが灯り、リゾートホテルの夜のラウンジのような装飾に。曲間には暗転したステージ上で、ジャグラーの何倍もの大きさの箱状の照明が回転しながら、様々な色に変化。RYOJIの伸びやかな歌声が響く。
そして大蔵のMCに。サングラスを頭にのせ「1万2千人ありがとうございます!」と挨拶し、会場の観客がどこから来たかを訪ねていく。東京からスタートし北上して群馬まで聞いていき、それ以外と聞くとまだまだ手が挙がる。「遠くから来ていらっしゃって本当にありがとうございます」と一礼。そして何とこれから代々木第一体育館が改修工事に入るということで、この会場の景色は今日で見納めになると発表。
「我々がお世話になった会場の最後の景色を飾らせていただきます。最後までお祭りをして最後まで楽しいパーティーが出来たという思い出をみなさんと作りたいので、よろしくお願いします!」と締める。
7曲目は、軽快なポップチューンの「きみがすき」。ダンサーたちが全身白いスーツに身を包み爽やかに曲を彩る。8曲目の「君とワンピース」はクラシックな1920年代のアメリカで流行ったような黄色、緑、青といった原色のワンピースに身を包んだ女性と、サスペンダー姿の男性たちペアでダンス。歌いながら野球のバッターとピッチャーのマネをするRYOJIとRYO、手拍子を煽る大蔵とDJ KOHNOの楽しそうな笑顔が印象的だった。昨年メジャーデビュー15周年を迎えた彼ら4人の仲の良さは未だ健在だ。
その後、六本木大サーカス団の開演前の舞台裏と思われるVTRがステージバックのスクリーンに映され、大蔵が団長、DJ KOHNOがマネージャー、RYOがピエロ、クマがRYOJIといった配役でコントを披露。本物のサーカス団には到底及ばない団長を除く3人が開演に遅刻しそうな本物のサーカス団なしで、どうにかその日のショーを乗り切ろうという内容で、それぞれが力を合わせる。
その流れで<俺らいつでもイカレたミュージシャン>という歌詞から始まるアップテンポな「人生劇場」が始まる。メンバーはコントの格好のまま曲に突入し、ダンサーとサーカス団がコラボして華麗に踊る。
大蔵の「ここからは本物のサーカスでお楽しみ下さい」という掛け声で、サーカス団が登場。演技が10分間ほど披露され会場を盛り上げる。
メンバーが再登場し、10曲目の「人間交差点」では先ほどまでの雰囲気とは一転。スクリーンに都会のビルがひしめき合うオフィス街や横断歩道を人々が行き交う様子が映される。旅立つ人たちの応援歌「テイクオフ」をメンバーが心を込めて歌い、シックな曲調の「エターナリー」へと続く。
その後、再びRYOがMCに登場。「もし、俺らがカリスマバンドだったら」という話から「スタンド! アリーナ!」と呼びかけ、笑いを誘う。「RYOが辞めていったロックバンドメンバー、はたまたドラッグに溺れて死んでいった」と言う架空の人物“天国のヤス”にも話しかける。「オレもおぼれてたよ、ヤスというドラッグによ!」と天井を仰ぐと、会場がドッと笑いに包まれる。(実は会場入口付近に飾られたスタンド花の中に“ヤス”からの花もあったのだ!)そのくだりから、13曲目の「さらば涙」に突入。この曲から舞台上にはメンバーだけというシンプルな構成で15曲目の「僕らの暮らしっく」まで駆け抜け、終盤に差し掛かってきた。
「この会場を明るくCLOSEしよう」
大蔵が「次で最終ブロックになります」と言い、観客と会話しながら上は50代〜下は10代の老若男女が集まっていることが分かる。「まだみなさん元気残ってますか?」と確認しながら「最後にみんな踊りましょう」と促し、観客も総立ちで応える。
16曲目の「ディスコ☆部長」はミラーボールやお立ち台が出現して、ミニスカートのダンサーがネオンカラーのドレスでバブリーに踊る。17曲目は「君にBUMP」。腰に片手を当てるダンスが映画『サタデーナイトフィーバー』の世界観で、スクリーンにはネオンサインで“THE NIGHT”や“THE BUMP”と浮かんでは消える。
そして18曲目は「闘え!サラリーマン」。サラリーマン風のスーツのダンサーが登場。ステージに炎が上がり、会場も熱気を帯びる。サラリーマンが戦隊ヒーローのように日々を戦っているストーリーのアニメが映され、客席の多くの気持ちを代弁するかのような演出がにくい。グレーのスーツに身を包んだ女性ダンサーも両手を上げ、タオルを振り回し、会場のボルテージも最高潮に。
その熱気も冷めやらぬまま曲が終わると、客席からケツメイシファン特有のアンコールの声「もっと」の大合唱。この時点ですでに2時間半以上が経過していたと思うが、ファンの情熱的なラブコールに再登場したメンバーも全身全霊で応える。
アンコール1曲目は、スペシャルメドレーで幕開け。紙飛行機を追う少年のアニメーションを背景に、3人が横並びで移動しながらステージの端から端までを歩く。RYOJIが客席に手を伸ばし、ファンの何人かに握手するなど最後までサービスを忘れない。DJ KOHNOがいるステージ中央に3人が集まり、<10年前のぼくたちへ>と「手紙〜あれから」を歌い出す。RYOから発せられる伸びのある声が際立つ。
ストリングスから始まる「友よ〜この先もずっと・・・」ではダンサーが大きな旗を振り女性ダンサーたちが元気いっぱいに踊る。そしてこの日のラストを飾る「RHYTHM OF THE SUN」が始まると、大蔵が一旦仕切りなおし。お祭り騒ぎにしたいと言い、改修工事のこの会場を明るくCLOSEしようと観客に提案。男女ダンサーが入り混じって、ランニングマンの振り付けで盛り上げ、会場全体が文字通り一つになった。やりきった表情のメンバーたち。
大蔵が観客やメンバーみんなに「美味しいビールが待ってるぞ」と煽り、ダンサーやスタッフ、ファンに感謝の言葉を述べ、工事に入る代々木第一体育館にも「ありがとう」と残し、メンバー総出で一本締めをしてこの日のライブは終了した。
(取材=多司真咲)
【はじまりの予感MV】
セットリスト
01.パッション!!!! 02.痔持ち一代 03.ヤシの木のように 04.カリフォルニー 05.いい感じ 06.ボサノBAR 07.きみがすき 08.君とワンピース 09.人生劇場 10.人間交差点 11.テイクオフ 12.エターナリー 13.さらば涙 14.僕らのために… 15.僕らの暮らしっく 16.ディスコ☆部長 17.君にBUMP 18.闘え!サラリーマン ENCORE EN1.手紙メドレー(過去〜現在〜未来) <Release Info> 【SG+DVD】 ¥1,620 (税込) AVCD-83900/B ―CD― 01. はじまりの予感 |