ケツメイシ「大きな挑戦」初ドーム公演で魅せた極上のパフォーマンス
ケツメイシ(撮影=古溪一道)
メジャーデビュー17周年を迎えたケツメイシが10月27日と28日に、埼玉・メットライフドームでワンマンライブ『ケツメイシ LIVE 2018 お義兄さん!! ライナを嫁にくださいm(_ _)m in メットライフドーム Supported by Sammy』をおこなった。2年振り通算11枚目となるフルアルバム『ケツノポリス11』をリリースしたばかりの彼らが、2日間で合計7万人が訪れ自身初となったドーム公演を実施。メンバーセレクションによる選曲でニューアルバム『ケツノポリス11』からの曲や、「門限やぶり」といった懐かしい曲など、アンコール含め全23曲をパフォーマンス。訪れた35000人を楽しませた。ドーム公演初日となった27日の模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】
初のドーム公演は大きな挑戦
清々しい気候の中、ドームならではの演出として、映画『メジャーリーグ』の「Wild Thing」をBGMとした野球選手に扮したメンバーたちのVTRからスタート。笑いもしっかり忘れない映像から、メンバーがステージ下からゆっくりとせり上がる登場を大歓声が迎えた。
「はじまりの合図」で幕を開けたライブは、オーディエンスによりタオルが振り上げられ、美しい一体感のある光景がドームに広がる。野球ユニフォームを着用したダンサーと共に、オープニングからアクセル全開で盛り上がった。セットリストはメンバーセレクションということで懐かしい曲「門限やぶり」を披露。心地よいグルーヴと唄に酔いしれる。
RYOは「初のドーム公演ということで大きな挑戦であります。ステージの上に歌詞も出るので、みなさんと大カラオケ大会といった様相で行きたいなと思います」と、10月24日にリリースされたニューアルバム『ケツノポリス11』から「つながって」、続いて、オーディエンスによるワイパーのように左右に揺れる腕が美しかった「トレイン」では、フラッグを持った男性ダンサーや女性ダンサーがステージをもり立てた。「僕らの暮らしっく」で、様々な情景を心に響かせるような歌で扇情させ、エンディングでの盛大なシンガロングは、会場を包み込むようだった。
大蔵はこのメットライフドームで去る9月16日におこなわれた、埼玉西武ライオンズVS福岡ソフトバンクホークスとの始球式の思い出を語る。元・横浜DeNAベイスターズの吉見祐治氏に教わり猛特訓、出来る限りの努力を重ねたが、時速89キロという結果に。その時も応援に駆けつけてくれたファンの姿が心強かったと感謝した。始球式エピソードに続いて「出会いは成長の種」、「出会いのかけら」と出会いをテーマにした2曲で、その大切さと素晴らしさをメロディに乗せて届けた。
ライブには子供たちの姿も増えてきたということで「子供たちの未来へ」を披露。長く活動していることで、こういった光景が生まれるという17年のキャリアを感じさせた曲のひとつだった。RYOのトークを挟んで「いい感じ」、「ケツメンサンバ」とノリの良いナンバーで、ダンサーとともにドームを席巻。夏を呼び戻すかのような、熱いパフォーマンスにオーディエンスもヒートアップしていく。大蔵が「今日はいい汗かいて帰れよ~」と乗れるビートでありながらも、メロウな旋律が印象的な「さらば涙」を届けた。
全員騒げ~!
ステージにはスナックのセットが組まれ、柴田英嗣(アンタッチャブル)が、そのスナックのママに扮してステージに登場。合コンで埼玉西武ライオンズのマスコットキャラである、ライナに恋をしてしまったRyoの失恋から展開されるコント風のやり取り。落ち込んだRyoを励ますべく、カラオケで曲を選ぶかのように歌を披露した。届けられたのはニューアルバム「ケツノポリス11」に収録されている叙情的で切ないバラードナンバー「なみだ川」。オーディエンスも静かにその歌声に耳を傾け、続いてはRYOJIのエモーショルな歌を堪能した「マイガール」、ステージ上で松明のような炎が揺れるなか、情感を込めて歌い上げた「バラード」と聴かせるナンバーを次々と披露、コントとのギャップが強く打ち出たセクションだった。
大蔵が「整いました!」と手を掲げ「RYOさんの“恋”とかけまして“ビール”と解きます」と、その心は「完敗(乾杯)!」と「カンパイの唄」へ。先のセクションではリラックスして聴いていたオーディエンスも再びスタンディングで盛り上がった。徐々に日も落ち始め、会場はペンライトの光が目立ち始めていた。沖縄のシャッフル風のリズムに乗ってエンジョイ。
一旦メンバーがステージをあとにすると、この日、配られたジェット風船を膨らまし飛ばすことに。スクリーンの合図に従って飛ばすのだが、ここはケツメイシのライブ、まさかのフェイクの合図で、ほとんどの人が飛ばしてしまうという意地悪な演出も。
ライブもラストスパートに突入。代表曲「トモダチ」では、盛大なシンガロングで満たされ、絆を強めていくかのように「仲間」を届けた。大蔵がタオルを掲げると、オーディエンスもそれに合わせタオルを広げ、穏やかに横に揺れ、ライブならではの一体感に酔いしれた。大蔵は「全員で歌える曲を用意しました!」とウキウキさせるリズムが心躍らせた「君色」、多幸感あふれる空間を作り上げた「友よ~この先もずっと…~」、そして、ラストは情熱的なアップチューン「RHYTHM OF THE SUN」。炎がダイナミックにステージから立ち上るなか、老若男女・35000人が体を弾ませ、多くのダンサーとともに、賑やかなパフォーマンスで盛り上げた。
アンコールの声に応え、DJ KOHNOのスクラッチから「このままじゃ終われないよな!?」とドームを夏に再び引き戻した「LOVE LOVE Summer」で、先程の「RHYTHM OF THE SUN」で高まったテンションを更にブースト。天井知らずの盛り上がりのなか「全員騒げ~!」とラストは「カーニバル」を投下。ドームはまさにお祭り騒ぎといったラテンの空気で満たし、ボルテージは最高潮まで高まり、「初のドーム公演でどうなることかと思ったけど、楽しく初日を終えることが出来ました。続きは来年のツアーで!」と一本締めでドーム公演初日の幕は閉じた。
人間味あふれる温もり、4人の人柄の良さが滲み出たステージ。17年経った今も多くの人に愛される要因だと確信できたライブだった。何もかも忘れさせてくれる空間だった。