自身3度目となる武道館公演は客席を360°解放しセンターステージで演奏したflumpool(撮影=ヤオタケシ)

 4人組バンドのflumpoolが5月20日と21日に、東京・日本武道館で単独公演『flumpool 8th tour 2017 Beginning Special「Re:image」at NIPPON BUDOKAN』をおこなった。20日は「ラストコール」、21日は「ナミダリセット」とタイトルがつけられセットリストも2日間で趣を変えて展開。自身3度目となる武道館公演は客席を360°解放しセンターステージで「FREE YOUR MIND」、「君に届け」などアンコール含め全19曲を熱演。ボーカルの山村隆太は「『Re:image』は未来をやり直すという意味でつけました。みんなも今日1日頑張れば、未来が変わっていくような、前を向けるライブに出来たらいいな」とこのライブへの想いを語った。2日目となった公演の模様を以下にレポートする。

未来をやり直す

ライブのもよう(撮影=古溪一道)

 BGMにザ・ビートルズの楽曲が流れていた武道館。ステージを囲むように客席は360°を解放。アリーナは格闘技を見るスタイルに近い雰囲気だ。ステージの天井にはLEDパネルが円筒状に吊るされていた。これがどのように使用されるのか期待感が高まる中、会場は暗転。

 円筒状のLEDパネルに今回のテーマとも言えるストーリーがアニメで展開。そこから高揚感を煽るSEとともにメンバーがステージに登場した。山村隆太(Vo)が「最高の1日にしましょう!」と力強く叫び、「Touch」でライブの幕は開けた。天井には“Touch”の文字と涙型のダイヤモンドが投影。<鼓動さえ 君と合わせたいんだ 虜にしてくれよ♪>とこのライブを象徴するかのようなナンバーから、「覚醒アイデンティティ」、そして「夏Dive」では山村はハンドマイクで客席に向かいながら歌い上げていく。

 MCでは山村が「3度目の武道館、新しいことに挑戦したくて360°にしました。今日に掛ける思いは普段以上に持っています」と今日への意気込みを見せた。そして、ここからさらにアグレッシブなセクションに突入。尼川元気(Ba)と小倉誠司(Dr)のグルーヴが体を躍動させた「この時代を生き抜くために」、flumpoolの新たな一面を見せたシリアスなハードナンバー「夜は眠れるかい?」、小倉のワイルドなドラミングから幕を開けた「Because... I am」は、サビでの開放感が、ライブならではの臨場感をさらに高めた。

 2度目のMCでは、阪井一生(Gt)が観客を弄りながら、持ち前のトーク術で楽しませる場面も。そして、山村がここで今回のタイトル『Re:image』について「未来をやり直すという意味でつけました。僕たちは9年目、なぜこの9年目に僕らが一番好きなステージ武道館に立ったかというと、“9”は希望のある数字だと思って。あと“1”を足したら“10だけど、それはただの“1"ではなくてそこで頑張れば“10”の可能性が無限に広がるということだと思うんです」とタイトルに込めた想いを語った。

 続けて、「あと“1”しかないではなくて、まだ“1”あるという無限の可能性を追い求めていきたい。みんなも今日1日頑張れば、未来が変わっていくような、前を向けるライブに出来たらいいな」とライブへの意気込みを語り、「どんな未来にも愛はある」を情感を込め、歌い上げた。そして、メジャーデビュー曲「花になれ」ではステージの配置をチェンジし、メンバーが向かい合ってのセッティングは新鮮な印象を与えた。

 ステージから放たれた無数のレーザーが武道館を照らし、まるでプラネタリウムのような幻想的な空間を演出。その現実離れした空間にオーディエンスも「スゴイ!」などと声を漏らす。円筒状のLEDパネルが下がり、メンバーを囲む。楽曲は昨年リリースされた「FREE YOUR MIND」。パネルには様々な絵が投影され、そのパネルの奥にメンバーの姿が映し出された。回転しながら上昇するステージ。映像との融合はテクノロジーと音楽の可能性をさらに高め、その中で「傘の下で君は」「Over The Rain 〜ひかりの橋〜」と、映像とのコラボレーションが鮮やかに楽曲を彩った。

 そして、今回のサブタイトルにもなっている「ナミダリセット」を披露。歴代のMVが円筒状のパネルに映し出される。サポートメンバーの吉田翔平(Vn)のバイオリンも鮮明に楽曲の輪廓を際立たせ、エンディングでは<ラララ〜♪>と会場全体でシンガロング。山村もさらに「もっと! 声を」とオーディエンスを煽った。続いて、「ラストコール」へ。<意味があるのならば …僕は今歌うよ♪>この言葉が9年目のバンドの今を体現しているようだった。

一緒にそれぞれの夢に向かって走っていきましょう

ライブのもよう(撮影=ヤオタケシ)

 ライブも終盤戦、「武道館一緒に歌おうぜ!」と山村の力強い言葉から「Blue Apple & Red Banana」に突入。退廃的雰囲気がありながらも、スケール感の大きなサウンドで会場を包み込む。オーディエンスも<Wow Wow~♪>と拳を振り上げ、未来へ力強く進んでいく意思表示をしているようにも見えた。この勢いのまま「Sprechchor」へ。スモークが勢いよく吹き出すなか、困難を跳ね除け壁に立ち向かっていく、そんなメッセージが強く出た2曲によってボルテージは最高潮に達していく。間奏のソロを4人で回していく姿からは、なんとも楽しそうな雰囲気が伝わってきた。

 そして、EDMナンバー「World beats」ではステージに紙吹雪が盛大に舞うなか、オーディエンスによるタオル回しで武道館は埋め尽くされた。“アゲアゲ”な雰囲気の中、続いて届けたのは「星に願いを」。サビではさらに一丸となったオーディエンスのシンガロングが会場内に響き渡った。そして、一体感が高まるなか本編が終了した。

 アンコールに応え、バンドは「大切なものは君以外に見当たらなくて」を披露。flumpoolの真骨頂とも言えるミディアムパワーバラード。山村のエモーショナルな歌声に感化されるように、会場は愛に溢れた空間に。途中山村は磯貝サイモン(Key)のピアノ伴奏をバックに「理想をめがけて駆け抜けてきました。でも中々上手くいかなくてバンドの危機にも何度も直面しました。今日ここに立てていますけど、未熟な部分ばっかりです。それをいつも埋めてくれたのはみんなです。みんながいたからここまで来れました。ありがとう」とファンに感謝を伝えた。

 拍手が鳴り響くなか、さらに山村は続けて、「もっとでかい夢を描いて走っています。みんなも大切な人に裏切られたりすることもあると思う。でも、人を信じられなくなったとしても、自分だけは信じていてほしいです。みんなには想像以上の力があります。それを信じて一緒にそれぞれの夢に向かって走っていきましょう。武道館、一緒に歌ってくれますか?」とオーディエンスに投げかけ、サビをシンガロング。武道館いっぱいに歌声が広がっていった。

 「真っ直ぐに届けたい曲があります」と、ラストは「君に届け」。希望に満ち溢れた未来に向かって突き進んでいくかのように、10周年イヤーに向けてのスタートを切った。山村は最後「一生忘れない武道館ライブになりました」と話し、ライブは大団円を迎えた。

(取材=村上順一)

セットリスト

『flumpool 8th tour 2017 Beginning Special「Re:image」at NIPPON BUDOKAN』

5月21日 東京・日本武道館

01.Touch
02.覚醒アイデンティティ
03.夏Dive
04.この時代を生き抜くために
05.夜は眠れるかい?
06.Because... I am
07.どんな未来にも愛はある
08.花になれ
09.FREE YOUR MIND
10.傘の下で君は
11.Over The Rain〜ひかりの橋〜
12.ナミダリセット
13.ラストコール
14.Blue Apple &Red Banana
15.Sprechchor
16.World beats
17.星に願いを

ENCORE

EN1.大切なものは君以外に見当たらなくて
EN2.君に届け

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