約1年7カ月ぶりにワンマン公演をおこなったシド

 4人組ロックバンドのシドが5月12・13日に、東京・日本武道館で『シド 日本武道館公演 2017』をおこなった。シドにとって約1年7カ月ぶりとなるワンマン公演で12日に「夜更けと雨と」、13日に「夜明けと君と」と銘打ち、両日とも異なるコンセプトライブを展開。初日となる「夜更けと雨と」では、インディーズ時代のバラード曲を中心に進行。「紫陽花」や「林檎飴」などバラード曲の他にも、新曲「バタフライエフェクト」やシドの人気曲「妄想日記」、インディーズ時代にリリースした「吉開学17歳(無職)」などのナンバーも披露。映像とリンクしたステージで観客を魅了した。今回はその初日におこなわれた「夜更けと雨と」のもようをレポートでお伝えする。

俺らも待ってたから

マオ(Vo)

 シドにとってワンマンライブは、約1年7カ月振り。12日、13日両日ともチケットがソールドアウトする程の人気ぶりであった。ライブ当日、日本武道館には「シドギャ(ファンの呼び名)」と書いてあるTシャツを着用したファンが集結。定刻を少し過ぎると照明が落とされ、繊細で幻想的なBGMとともにスクリーンには木々や、満月、水滴のような自然の映像が次々に映し出される。

 映像が終わると、ステージ真下からメンバー4人が揃って登場。Shinji(Gt)のアルペシオがしっとりと場内に鳴り響きながら、1曲目の「紫陽花」で幕をあげた。このナンバーは、インディーズ時代の1stアルバム『憐哀 − レンアイ −』に収録されている情熱的なバラード曲で、懐かしい楽曲にファンからは大歓声が。スクリーンには紫色の紫陽花が回転する映像が流れ、その映像をバックに、黒いハット帽を被ったマオは感情を込めて歌い紡ぐ。   

 2曲目ではインディーズ時代の2ndアルバム『星の都』に収録されている「林檎飴」を披露。アルバムタイトルを表現するように場内の天井には、星空のように思える黄色い光がキラキラと光り輝く。

 2曲目が終わると「おい、やんのかーい!行くぞ!」とマオが会場を煽る。そして始まったのは、トランペットやサックスのイントロが印象的な「罠」。カラフルなレーザーが場内を照らす中、ファンは拳を振りかざしたり、体を揺らすなどして楽しんでいた。

 ここでマオからMC。「お待たせしました、こんばんはシドです。待ってた? 待ってた? 待たせた。今日はね、1年7カ月振りの単独でのライブということで大分お待たせしたね。待ってたのが自分(ファン)だけだと思ってたら大間違いだよ?俺らも待ってたから」と1年7カ月振りに再会するファンに挨拶。

 そしてマオが「武道館行けるかー!」と会場を煽りスタートしたのは、「アリバイ」。この楽曲が流れ出した瞬間、銀テープがステージの上手と下手から発射され場内の宙を舞った。「歌うか!」とマオが告げると、ファンが終盤の歌詞<仕方なく愛した人と忘れることは容易い引き留めてくれるのを期待したのも事実で♪>とシンガロングして会場のボルテージも上がっていた。

 ファンとの一体感を示したあと、マオは「頭から飛ばしていけるかー?」と会場を煽り、シドの楽曲の中でも大人気の「妄想日記」を披露。ファンもこの楽曲には大興奮で、場内が瞬く間に熱気に包まれた。「よし、2も行こうか!」とマオが告げ、妄想日記の続編でもある「妄想日記2」へと続いた。

 ここからメンバー各自のMCへ。マオは「いやー、シド楽しいね。シド良いわ。シド好きだなー俺。昔の曲をやっていくと、そのときの自分に帰れそうな気がするんだよね。実際、帰れはしないんだけど(笑)。みんなも帰れないけど(笑)」とシドとへの深い愛を見せた。

ゆうや(Dr)

 マオに続いてゆうや(Dr)は「今日は考え深いものがある。1年7カ月ぶりだから、凄くワクワクしてた。お客さんの姿見た瞬間、凄く安心したし俺らの場所を作ってくれてありがとうって思いました」と感謝を述べた。

 明希(Ba)は「頭5、6曲やらせて頂きましたけど、熱気が武道館凄いですね。ありがとうございます。節目の前の日は全然寝れないんですけど、ばっちり9時間半程寝てきました!」と長い睡眠時間をとったことを明かし、マオから「部活でもやってんの(笑)?」とツッコミが。対し、明希は「シド部っていうのには、一応入っているんだけどね。レギュラーを勝ち抜いてここに立ってるよ!」とバンドを部活に例え会場を笑いに包んだ。

 Shinjiは「懐かしい曲をやるっていうのは、非常に嬉しいことです。色々思い出します。レコーディング大変だったなとか。特に『憐哀 − レンアイ−』は電車の中でメロディーを作っていました」と当時を振り返りながら、エピソードを語った。

インディーズ時代のナンバーも

明希(Ba)

 中盤戦では、あまりライブで演奏されていないレアな楽曲「レイニーデイ」から始まり、「暖炉」を続けて披露。その後、スクリーンに桜の花びらがヒラヒラと舞い落ちる映像が映し出され、続いたのは「ハナビラ」。桜の映像とピンク色の照明が、過ぎ去った春を再び呼び戻したようだった。静寂なバラードが立て続けに披露され、そのまま初めてライブで披露するという「夢心地」を繊細に丁寧に奏でた。

 バラード曲を中心に展開したあと、後半戦は激しめのナンバーへ。新曲の「バタフライエフェクト」を始め「ENAMEL」、「dummy」を立て続けに披露。ファンは、髪を振り乱すヘドバンや、拳を豪快に振り回すなど暴れまくっていた。

 「武道館そんなもんか?ラストいくぞー!」とマオが場内を勇ましく煽ると、ラスト曲「吉開学17歳(無職)」を披露。この楽曲は、シドがインディーズ時代から歌っている、ファンにはたまらないナンバー。

 武道館が凄まじく揺れ動く程、暴れ騒いでいた様子は圧巻だった。本編が終了すると、場内からはアンコールの声が巻き起こり再びメンバーがステージに登場。アンコールでは、1月にリリースした「硝子の瞳」から始まり「循環」、「プロポーズ」、「隣人」を続けて演奏。

Shinji(Gt)

 「ラスト行けるか東京!いくぞ!」とマオが叫ぶと、最後を飾る「眩暈」へ。ステージには炎の特効がバチバチと燃え上がる中、メンバーは汗ばみながら力強い演奏を届けた。最後にマオは「今便利でさSNSで色んな更新が出来る時代だけど、やっぱりみんなが集まって生で俺らが曲を届けたり、騒いだり色んなことして一つになっていく感覚が味わえるのは、この場所だけだと思う。これからもこの場所を大切にしながら活動をぶっ倒れるまで頑張っていきますので、ずっと応援してください」と告げ、マイクを使わずに、「愛しています!」と叫び、大歓声に包まれながら「夜更けと雨と」は幕を下ろした。
 
(取材=橋本美波)

セットリスト

5月12日 日本武道館

「夜更けと雨と」

01.紫陽花
02.林檎飴
03.罠
04.アリバイ
05.妄想日記
06.妄想日記2
07.レイニーデイ
08.暖炉
09.ハナビラ
10.夢心地
11.バタフライエフェクト
12.ENAMEL
13.dummy
14.吉開学17歳(無職)

Encore

EN1.硝子の瞳
EN2.循環
EN3.プロポーズ
EN4.隣人
EN5.眩暈

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