MISIA「さらに羽ばたくために」集大成の記憶と記録
INTERVIEW

MISIA

「さらに羽ばたくために」集大成の記憶と記録


記者:編集部

撮影:

掲載:17年05月23日

読了時間:約12分

 歌手のMISIAが5月24日に、全国ツアーのもようを収録したBlu-ray&DVD『THE TOUR OF MISIA LOVE BEBOP~all roads lead to you~』をリリースする。本作は1999年から始まった『THE TOUR OF MISIA』シリーズの最終章で、このツアーは昨年1月にリリースされたアルバム『LOVE BEBOP』を引っ提げて、2016年12月にスタートし2017年2月5日の横浜アリーナまで全国12会場17公演おこなわれた。ライブは圧巻の歌声とダイナミックな演出が見どころとなっている。本作には、ツアー最終公演である横浜アリーナのステ-ジ全26曲を完全収録。MISIAはこのインタビューで「私自身、ここから更に羽ばたこうとしています」と18年間続いた『THE TOUR OF MISIA 』の終幕について話した。このオフィシャルインタビューでは、ツアー中に起きたハプニングやライブの裏話など盛りだくさんの内容となった。

人との違いや文化の多様性を尊重し合う

MISIA

 最新アルバム『LOVE BEBOP』を引っ提げて、2016年12月にスタートした『THE TOUR OF MISIA LOVE BEBOP~all roads lead to you~』が、リリ-スされる。今回のステ-ジは、1999年から始まった『THE TOUR OF MISIA』シリーズの最終章となるのだが、まさに彼女が貫いてきた意志、培ってきた音楽性が、縦と横の軸を成し巨大なタペストリ-を織りあげるかのような出来栄えである。

 ではさっそく、MISIAに今回のステ-ジを振り返ってもらおう。まずはオ-プニングである。これまでも、時には観客の度肝を抜く演出がなされてきたのが『THE TOUR OF MISIA』だが、今回も例外ではなかった。

 「確かにそうでしたね。巨大なバル-ンが広がっていって、中から私が出てきたり、ステ-ジ自体が上から移動して降りてきたり、設けられた飛行機のウィングが開いていって、そのウィングの上で私が歌い出す…、とか、まずはオ-プニングの演出が、毎回、素晴らしいです。これは私のプロデュ-サ-が考えてくださることなんですけど、もう天才だなと。私自身も毎回楽しみにしていました」。

 取材の前に、これまでの『THE TOUR OF MISIA』の映像を振り返ってみたが、まさに彼女が言うとおり、それはマンネリ知らずの新たな発想の連続だった。1999年に始まって以来、照明がLED化されコンピュ-タ-で制御出来るようになるなど、技術革新も甚だしい世界ではあるが、単にそれを借りるのではなく、表現したいことを確かに持ち、使いこなしてきたのが彼女のライブなのだ。そしてもちろん、今回も…。

「全編を通じて私の真後ろには巨大な“BEBOPちゃん”の顔があって、曲によって変化するんですが、さらにオ-プニングは、いきなりステ-ジの上手と下手に巨大な黄金のキングコブラが出てくるんです。“え-っ、コブラ!?”って、最初は私自身もビックリしましたけど(笑)。ただ、そのコブラにしても、演奏が始まってサウンドと一緒になると、見事に効果的というか、その時、客席に伝わる映像の、全体の印象も考えての演出となっているんですけどね」。

 まさにそれこそが、大事なのだろう。ライブの成否は、視覚と聴覚を、いかに有機的に結びつけ、シナジ-を生むかにも懸っているのだから…。

 「オ-プニングはアルバムタイトル曲の“LOVE BEBOP”なんですが、セットリストを考えた時、まず最初に決まりました。このアルバムを通じて伝えたかったことは、人との違いや文化の多様性を尊重し合おうというもの。この歌は、愛や生き方の多様性を歌っていて、歌の中で出て来る“Love is Love”という言葉は2015年の6月にアメリカ全州で同性婚が認められた時に掲げられたメッセ-ジなんです。どういう形であっても“愛は愛なんだ”という、多様な愛の形を肯定する象徴的な言葉に、すごく感動して、曲の歌詞の中に入れました」。

 ライヴの冒頭は、彼女の楽曲制作ではお馴染みの、SAKOSHINの作・編曲によるキレキレのHIP HOPナンバ-が続く。冒頭でテンションの上がる激しいナンバ-をダンサ-と繰り広げるのは、いつしか彼女のライブの定番のようにもなってきたが、集まった観客達の心と体が、早くもこの段階で“ほぐれる”ことにもなる。

「いきなり“ピ-ク”が訪れる感覚ですよね。でも今回は、“イリュ-ジョン”にもトライしてます。実は私も、ちょこっとやってみたんですよ。私の場合は“イリュ-ジョン”というか、いわゆる王道の、スティックが羽に替わるというマジックなんですけど(笑)」。彼女が投げたそのスティックを、ひょいと受取るDJ Ta-Shiは、自らの頭が移動する、本格的な“イリュ-ジョン”を披露する。もっとも彼は、そもそも以前から、タ-ンテ-ブルの“魔術師”でもあるのだが。

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