ポールも「信じられなかった」ビートルズのヒット、リンゴと笑顔：【音楽】

ワールドプレミアに出席したリンゴ・スター、ポール・マッカートニー、ロン・ハワード監督

　ザ・ビートルズのドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ～EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years』（９月22日公開）のロンドンプレミアが日本時間16日、英・ロンドンでおこなわれ、その模様が世界で同時生中継された。日本でも３カ所で放映され、その後は先行上映会も。多くのファンが未明から明け方までその様子を見守った。ロンドンプレミアの会場には、ポール・マッカートニー（74）やリンゴ・スター（76）、オノ・ヨーコなど錚々たる顔ぶれが出席。ポールは、ビートルズのブレイクについて「とても信じられなかった」と振り返った。

　映画『ザ・ビートルズ～EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years』は、1963年から1966年のザ・ビートルズのワールドツアー時期を中心に、ポール・マッカートニーやリンゴ・スターの最新インタビューなどの映像を織り交ぜながら、ジョン・レノン、ポール、ジョージ・ハリスン、リンゴがどのように集まり“ザ・ビートルズ”になっていったのかを描いたドキュメンタリー。監督を務めたのは、2001年に公開された『ビューティフル・マインド』でアカデミー賞・最優秀監督賞を受賞したロン・ハワードだ。

　ザ・ビートルズとしては、1970年の『レット・イット・ビー』以来、46年ぶりのアップル公式作品となる。

日本・新宿の劇場で生中継されている様子（撮影・松尾模糊）

　この日、英・ロンドンでは、ロンドンプレミアとレッドカーペットイベントが催された。この様子は、世界中に同時配信され、日本でも東京、大阪、名古屋の３カ所で同時上映された。このうち記者は、東京・TOHOシネマズ新宿での様子を取材した。

　日付が変わった日本時間16日午前１時50分頃にスタート。スクリーンに映し出されたのは、レスタースクエアのイベント会場前に敷かれた、レッドならぬ、今回の映画カラーである“ブルーカーペット”だ。そこには、歌手のマドンナや元オアシスのボーカル、リアム・ギャラガーなど、数々の世界的著名人が駆け付けていた。

　ジョン・レノンの妻、オノ・ヨーコは「今日はとっても驚いています。1978年、ビートルズを題材とした映画『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』をジョン・レノンと見に行った時のように盛り上がってますね」と会場の盛り上がりに笑顔。

日本でのもよう。スクリーンに映し出されたオノ・ヨーコ（撮影・松尾模糊）

　更に、ビートルズが今もなお多くの人々に愛されている理由について「間違いなく、素晴らしい音楽のおかげだと思います」と言い、彼らの最後のライブとなった1969年１月30日の英・ロンドンにある当時のアップル社の屋上でおこなった「ルーフトップ・コンサート」について「あの日は本当に寒い日でベンチで静かに座って観ていたことを思い出します」と振り返った。

　また、この映画で躍動するジョンについて「ジョンのエネルギーとユーモアのセンスがとても印象的です」と今は亡き最愛の人を思い浮かべながら語った。

　1964年、そして、翌1965年のビートルズ全米ツアーにアメリカ人記者として唯一、完全密着取材を許されたラリー・ケインは「当時はケネディ大統領が暗殺されたり、ニュースが絶えず忙しかった。何でイギリスのバンドなんかと一緒にツアー回らないといけないんですか、と上司に反発した。だけど今思えば、着いて行って本当に良かった」と笑いながら当時を振り返った。

　ロン・ハワード監督は、当時、米・ハリウッドボウルでビートルズファンが撮ったビデオに、14歳の米女優シガニー・ウィーバーが映り込んでいたシーンについて「本当に偶然で、最初は信じられなかったけど、本人に確認したら彼女だったんだ」と奇跡的な映像について興奮気味に語った。

　ポールとリンゴが会場に訪れると、ブルーカーペットの周りに集まったファンからは歓声が上がり、サインや握手を求める彼らに２人も応えながらゆっくりとブルーカーペットを進んだ。

　ポールは映画を観るにあたって「興奮してるよ」とコメント。リンゴは「当時は本当に歓声がうるさくて困ったよ」と笑いながら、ツアーを振り返った。

　ポールは長い間、英・リヴァプールと独・ハンブルグにも居たことを振り返り、1963年からの世界中での大ブレイクについて「とても信じられなかった」と当時の気持ちを明かした。

　さらに、ポールは「リヴァプールで人知れず演奏していたバンドが今や、世界中で愛され、ここでこのようにあなたたちと話している。とても素晴らしいことだ」と自分たちが歩んできた歴史を誇らしく語った。

　日本の劇場ではその後、先行上映会がその日の午前３時半頃からスタート。多くのファンが未明から明け方までその様子を見守った。（取材・松尾模糊）