「可能な限りに表現した」イエスタデイ制作陣が語るビートルズへのこだわり
今から51年前のきょう、1968年9月14日はザ・ビートルズの「ヘイ・ジュード」が日本で発売された日である。音楽史を変え、今もなお多大な影響を与える彼らを題材にした映画が10月11日、日本で公開される。
アカデミー賞監督ダニー・ボイルと、アカデミー賞ノミネート脚本家リチャード・カーティスが贈る最新作『イエスタデイ』(東宝東和配給)。「もしも自分以外にザ・ビートルズを知らない世界になってしまっていたとしたら!?」という設定で、音楽、夢、友情がザ・ビートルズの名曲に彩られ展開していく。
本作はザ・ビートルズが一躍大スターとなり、音楽史を大きく変えた<1960年代>からインスピレーションを受けている。
「可能な限り60年代の雰囲気を表現した」と語るのは、プロダクション・デザイナーのパトリック・ロルフ。「サフォークの撮影ではザ・ビートルズのアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』的な色合いにしている。どこか色あせた色彩だ。注意を払いながら、少しだけレトロなスタイルを取り入れて、ザ・ビートルズの資料から彼らの要素を反映し、そこから現代社会へと仕立てていったんだ。ザ・ビートルズのイコノグラフィーは、インスピレーションの源だった」と語っており、色彩を含め隅々までザ・ビートルズを意識して製作していることがわかる。
そして、ロルフは「資料に目を通していた時、ビートルズが日本を訪れた時の会場にあった素敵な背景を見つけて参考にした」と明かしており、ジャックの会見シーンでは、昭和41年にザ・ビートルズが初来日した際に行った記者会見の場、「ザ・キャピトルホテル 東急」の「真珠の間」の“ビートルズの壁”を参考にしているという。「『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のカラフルなスーツの色からもヒントを得ている」と語っているように、新たな色彩でデザインされ、現代へと違和感なく甦っている。
また、画像の両サイドにあるスクエア写真は、劇中のジャックのデビューアルバム「ワン・マン・オンリー」のデザイン。これもザ・ビートルズからのインスピレーションを受けている。ビートルズが世界を席巻し始めた頃、ポール・マッカートニーが鏡越しに撮った有名なセルフポートレートからヒントを得たもので、映画『ビートルズがやって来る/ヤァ!ヤァ!ヤァ!』(63)のクレジットに登場するジョン・レノンの画像にもオマージュを捧げているという。
色彩やデザインなど細部にわたってザ・ビートルズのオマージュが組み込まれており、製作陣の徹底したこだわりを感じる本作。製作陣の“ザ・ビートルズ”への敬愛が込められている。