I Don’t Like Mondays.(アイドラ)が、前作『TOKYO』から1年2カ月ぶりとなるセカンドアルバム『FASHION』を9月28日に発表する。それに先駆けて、7月20日にはサードシングル「TONIGHT」をリリースした。「TONIGHT」は、AOR調だった前作「Sorry」から一転、EDM調のサマーチューンとなっている。彼らはひたすらPOPであることを追求しつつもあらゆるジャンルを組み込める器用さを持つ。そつなくともすました顔でやってみせるその姿は表参道で結成しただけあってお洒落で洗練されている。それを可能にしているのは彼らの音楽家としてのスキルだ。悠(Vo)、兆志(G)、謙二(B)、秋気(Dr)4人それぞれに実力を裏付ける活動実績がある。そして、彼らが重視している音楽的要素のひとつに「グルーヴ」がある。表題曲はEDM調だがドラムは生演奏。ベースは音符の合間を縫って走り、ギターはクールに跳ねる。そしてボーカルの繊細でいて甘い歌声。音源からも伝わる彼らの音の息遣いとグルーヴ。そこで今回はグルーヴを軸に新曲について話を聞いた。
グルーヴとは
――いきなりですが、秋気さんに教えて頂きたい事があるんです。秋気さんはブルーマングループの東京公演でドラムを叩いていたこともあって是非と。ライブなどで感じられるグルーヴとは何でしょうか。
秋気 いろんなグルーヴがありますよね。打ち込みでもグルーヴはあるし。リズムを外してうねりを出すようなグルーヴもあるし。
――打ち込みでもグルーヴは発生するものですか?
秋気 そうですよ。
悠 ハマッていればグルーヴなんじゃない?
秋気 一定のリズムが刻まれていればそれはもうグルーヴですよね。「流れ」という意味なんですよ。それがいろんな種類があるだけで。
悠 多少ズレていてもバンドがそれにハマッていたらそれはグルーヴ?
秋気 それが1回だとただのズレだよね。
悠 例えば4拍目がズレるとして、全員がそこでズレていたら?
秋気 それが2回、3回とずっと続いたらグルーヴ。それが1回しかなかったら違う。
悠 そっかそっか。確かに。
秋気 ブルーマンに入るまでは僕自身もグルーヴってわかってなかったんです。ドラマーのくせに。
悠 俺も多分このバンドで秋気と出会わなければわからなかった。
――ブルーマンでリズムやグルーヴを学んだのはとても大きいですね。ライブなどでプレイヤーが「ゾーン」に入る瞬間があると思います。観客側からみれば、それがグルーヴと感じるかもしれませんし。ベテランになればなるほどそれが顕著に表れる。感覚では理解しているのですが、それが一体何なのか、ライブ毎によくわからなくなる。
秋気 グルーヴに関して言うとそうですね。
――先程打ち込みでもグルーヴは生まれると仰っていました。新作『TONIGHT』はEDM調ですが、これもグルーヴは生まれましたか?
秋気 もちろん、機械には機械のグルーヴがありますしね。今回は生でドラムを叩いてるんです。(編注=前作「Sorry」はあえてドラムを打ち込みにしていた)
――そうだったんですね。
謙二 打ち込みじゃないんですよ。
悠 EDMって“エレクトロニック・ダンス・ミュージック“なんで、エレクトロな音が入っていてそれでダンスミュージックなら全部EDMなんだよね。昔は全部打ち込みの曲が多かったけど、最近は生楽器がほとんどで。キックだけ打ち込みの音の時もあるし。それこそあまり概念がないんですよね。「TONIGHT」はシンセの音をメインで出してるんで、「EDM」って言われればEDMでもあるし。
AORから一転、EDM
――前作「Sorry」の流れからだとAORやシティポップ寄りかと思っていたらガッツリEDMだったので、何故だろうと思ったんです。
兆志 そういう二面性というか、僕らがデビューした時には「MEMORIES」と「Perfect Night」という異なるタイプの曲を2大巨頭という感じで掲げていたんです。「Sorry」と「TONIGHT」に関しても似たようなことが言えると思います。
悠 横ノリ、縦ノリ、みたいな。縦ノリだと「WE ARE YOUNG」という曲があって、今回はその流れの「TONIGHT」という縦ノリの曲。
――「こういう面も持っていますよ」という感じの?
兆志 そうですね。
悠 そこにこだわりはないです。良ければいいというだけなので。でも夏に聴きたいのはどっちかっていうと横ノリよりも縦ノリでしょ!ってだけです。
――作曲は皆さんでやるという事でしたが、今作も皆さんで?
悠 はい。もちろん。
兆志 今後も変わらないと思いますね。
――歌詞は後から乗せる感じでしょうか。
悠 そうですね。今回の場合は初めにメロディが出来た時に「トゥナ~イ、トゥナ~イ」というコトバが自然に出てきて、ああこれは「TONIGHT」しかないね、というので同時に決まりました。
――夏の盛り上げソングという事で作っている時も高揚感がありながら?
謙二 最初のイメージは昼だったんです。で、「TONIGHT」というワードが出て来た時にどうしようか? みたいになって。でも、それだったらもっと大人っぽくて切ない要素を入れたサマーチューンにすればいいんじゃない? となって。
――歌詞を読むと少し悲しい要素もありますが、それはあえてそういった選択をしたのですか?
悠 “切なさ”みたいなものを入れたいなと思って。僕らの中でサマーチューンというのは「WE ARE YOUNG」という曲があって、それは元気いっぱいに騒ぐといった感じだったので、今回作るのはちょっと違うテイストのサマーチューンを作りたいというのがあったんです。だからボーカルはファルセットを多用してちょっと切ない要素なのにトラックはアップテンポという、あまり聴いた事ない感じのものがやりたかったんです。切ない要素があるけど乗れる、騒げる、みたいのを目指しました。
――それらの対比がいいですね。
悠 別に悲しい事を歌っている訳ではないんですよね。悲しいワードも無いですしね。キーワードで初めの方に出てくる「何だか楽しいけど切ない季節だ」というのは、そう言っているだけで悲しい出来事があった訳ではないという。夏って、みんなで騒いで熱い夜を過ごしたりするのが「終わって欲しくない」というか「これがずっと続いてほしい」という切なさ。夏の馬鹿騒ぎは楽しいけど、ずっとは続かないという切なさを上手く曲に落とし込めたらいいなって思ったんです。
――ライブではこの曲はどのような感じでやるのでしょうか?
兆志 ライブだとよりバンドっぽく聴こえると思いますね。内容とか方向をガラッとアレンジしたりとかはしてないです。
――I Don’t Like Mondays.はリズム重視のバンドでもあると感じていまして、EDMは乗らせるためには最高のテイストですが、ここでEDMを持ってきたのが少し意外でした。
悠 前回のアルバムの中ではけっこうEDMにはトライしていまして。シングルではやっていなかったんですけど、“EDMとバンドの融合”みたいのをやりたいなという事で。あまりそういう事をやっているバンドは世界でもそんなにいませんし。好奇心もありますね。「EDMは自分達も好きだけど「EDMとバンドは全然違うものだし、僕らはバンドだからやらない」というのは違うと思っていたので、EDMの良い部分をバンドに落とし込んだらどうなるんだろう、というのを自分達でも聴いてみたいなと思っていまして。
――ロックをベースにいろんな種類の音楽をどんどん取り入れていくという事もありうるんでしょうか?
悠 そうですね、僕らはジャンルレスというか。「僕らはロックバンドだからロックしかやりませんよ」とは、自分達では思っていないんです。
――なるほど、納得しました。
1曲1曲で成り立つ
――みなさん様々なバックボーンがある中でこういった形で曲に取り入れて使っていくというのは、素晴らしい事であると同時に「こういう楽しみ方もあるんだ」という発見もありますね。
謙二 4人が好きなジャンルとか影響を受けたもが本当にバラバラなので、そうせざるを得なかったと言えばそうかもしれないですし。
悠 あとは一つのジャンルに絞ってやるなんてなったら飽きちゃう(笑)。人間、激しいロックを聴きたい時もあればしっとりしたものが聴きたい時もあるじゃないですか? みんな同じジャンルの音楽を聴くよりもいろいろなジャンルから自分が好きな曲を集めてプレイリスト作って聴きたいと思うんですよ。そういうアルバムにしたいなという思いが常に僕らにはありまして。
――楽曲の繋がりよりも一曲一曲が映えるような?
悠 そうでありながらも、実は繋がりもある。みたいな。それがアルバムの理想なんです。
――それは高度な事ですね…。
悠 難しいとは思うんですけどね。
――それはみなさん同じ意識なんですか?
謙二 同じ意識ですし、これからやっていくものはもっと「一つ一つの色を出しながら統一感のあるもの」というのを目指したいなと思います。
悠 いくらバラバラの事を僕らが考えて頑張ってやっても、結局この4人で作曲をして弾いているんで、それだけでいろんな事をやるという事の限界はあるんですよ。でもそれがいい意味で統一感になってくるんです。
――逆にアルバムには物語があって、楽曲単体ではなく、曲順を含めて、アルバムが1つの作品であるという意識は強くて、ミュージシャンによっては曲を飛ばされることに嫌悪感を抱く方もおられます。
悠 自分達はその逆の発想かもね。僕らは現代っ子なので曲を飛ばしちゃうんですよ。だからそんな僕らですら飛ばさないでそのまま聴きたいと思うものを作りたいというだけですね。
――となると、サブスクリプション音楽サービスで聴いてもらう事も考慮して作っていたり?
秋気 しますね! もちろんサブスクでもそうだし、iTunesで頭の部分だけ聴かれるとかそういうのも考えてます。それこそ営業資料でレコード会社の方々が持っていった時に、どういう曲順だったら営業先にインパクトを与えられるか、とかまで考えます。
――という事はイントロに力を入れたり?
悠 そうですね。
秋気 イントロは長過ぎず、とか。
悠 1分までしか聴いてもらえないなら、その1分までの中でどうアプローチするかとか。
謙二 思ったより考えてますよ。
――そういった所も緻密に考えているんですね…。
悠 このバンドは本当に「グルーヴを重要視する」と掲げていると思います。なかなか日本のバンドでグルーヴィーなのは少ないというか、特に若手ではあまりいないような気がします。僕らが好きな海外アーティストはグルーヴがあるし、僕らもそういうのを目指したいと思っているんです。だから僕らは普通のバンドよりグルーヴを意識していますね。
I Don’t Like Mondays.のライブとは
――ライブのリハーサルではしっかり全曲やるんですか?
悠 ガッツリ全曲やりますね。
――その時に「ちょっとこのグルーヴが違うな」という事も?
悠 ここのグルーヴが違うな、という時はそこのグルーヴの部分をひたすら練習します。
――少し前の話に戻りますが、それは確信的にやる場合もあれば、たまたまグルーヴが生まれてくるという事もあると思います。リハーサルでのグルーヴとは違うグルーヴが本番で生まれる事はありますか?
謙二 ありますね。
悠 結局、人間なので同じに感じているビートでも、その中で合わせていくと偶然4人で凄いグルーヴが生まれる時もあれば、どれだけ練習してもいいグルーヴにならない時もあります。それをもっと突き詰めていけば、いいグルーヴが生まれる頻度が上がると思うんですよね。
――ライブはまさに生き物のように唯一無二という事を改めて感じますね。となると、CD音源との差は何か、とも思えます。打ち込みでもグルーヴを作ることができるというお話でした。
兆志 今の時代、ライブに来てくれるって凄い事だと思うんです。だからCDだけでも僕らのファンになってくれるように、「ライブでどうしたい」というのは一切考えずに、まずCDで音源としての完成度で一番高いものを目指すというスタイルをとっているんです。ライブはライブの良さがあるし、CDはCDの良さがあると思うんです。
悠 そういう意味では、ライブではCDを超えないといけないと思ってます。CDと同じが最低限で、ライブがCDより良くないのならCD聴けばいいじゃんていう感じですね。
――曲の発売の前にライブで試すという事はあるのですか?
兆志 あまりないですね。ライブだともうちょっとギター弾こうとかあるんですけど…「このフレーズも入れたかったな」とか後で思うことはありますね。
謙二 ソロとか毎回違うよね?
兆志 違う。
悠 僕も毎回歌い方を変えたりしますし。
――そうなんですか? 私事ですがロックが好きで、そのなかでも好きなギターソロを何回も繰り返しCDで聴いていて、それをライブで聴きたいという思いもあります。
謙二 その心理もわかります。
兆志 大事なフレーズは弾きます。これは弾かないとな! という部分が何となく自分の中であるんですよ。
――原形も残しつつという訳ですね?
兆志 そうです。
悠 僕もロック好きで、“推しギターソロ”みたいのは弾いてほしいですけど、全然違うところでは全く違うフレーズを弾いてくると「おお!」ってなりません?
――確かにあります。だけど、たまに残念な時があるんですよね…。
謙二 それもある(笑)。
兆志 それはその時のその人が悪かった(笑)。カッコ良かったらいいんですけどね。
悠 それも含めてその場でしか弾けないじゃないですか? それがライブのいいところかなと。
――ライブによってその場で異なっていくというは貴重ですよね。今日はこういうグルーヴだったけど明日は違うグルーヴになっていくというように。そこも皆さんの魅力ですよね。
悠 グレイトフルデッドだったっけな? 一度やったフレーズは二度とやらないの。ライブでは絶対違うという。
(編注=グレイトフルデッド(Grateful Dead):1960年代に主に活躍したアメリカのロックバンド。サイケデリック、ヒッピーカルチャーに精通し、ライブでのジャムセッション主体のプレイスタイルが有名な世界的グループ)
――セットリストでも同じものは組まないというバンドもいますよね。今、持ち歌としての楽曲はどれくらいあるのですか?
謙二 20くらいかな?
兆志 今後はもっと増やしていきます。
――それにつれて曲が違う形に変わってくるという事も?
悠 全然ありますね。新しく思いついちゃった事はライブで表現します。それがライブに来る意味になりますよね。
音の細工
――新作『TONIGHT』の中の2曲目「LIFE」にはストリングスが入っていたりと、1曲目「TONIGHT」とは反対の位置にある楽曲だと思いました。これには何か意図が?
悠 「LIFE」はプロデューサーの河野圭さんと組んだ曲なんですけど、河野さんが一番得意なアレンジがストリングスと仰っていて、「せっかく一緒にやらせていただくんだったら河野さんのストリングスが活きるバラードを作ろうか」という事になってトライしたんです。
――それは今回の音源に入れようという案はもともとあったのですか?
謙二 実はなかったんですよ。
悠 合わなかったら収録しないという選択肢もあったんですけど、並べてみたら意外と流れが出来てるなと思ったので「じゃあ入れてみてもいいんじゃないか?」という判断になったんです。
――「LIFE」のイントロのスチールパンドラムのような印象的なサウンドはギターですか?
兆志 あれはギターです。言われてみたら確かにスチールパンみたいですね。あれは曲の1番ではギター1本なんですけど、2番になってくるともう2本重なってくるんですよ。もうクラシックの譜面かっていうくらい強弱などが緻密になってまして。そこは河野さんと一緒にやりましたね。
――今回の「LIFE」のように、そういったアンサンブルの強弱の部分など緻密に練ったものは過去にもありましたか?
兆志 「LIFE」のそこのパートは今までで一番細かくやってますね。
――それはストリングスの絡みも関係して?
兆志 そうですね。ストリングスが派手に出てくるのは曲の後半なんですけど、曲がジワッとクレッシェンドしていく効果もあって、強弱を練ったというのがありますね。もともと1本だったギターのパートなんですけど、河野さんとレコーディングした時に「1番はそれで良いけど、2番になったら変化が欲しい」と言われて、だったらそれこそバイオリン、ビオラ、チェロ、みたいに3つのパートを複雑に絡み合わせてサビまで繋げていきたいなと思ったんです。
――あれをライブで再現するのは大変そうですね。
兆志 あれは無理ですね(笑)。
悠 レコーディングならではですね(笑)。
兆志 だからライブでは多分全然違う事をします。
――あれをライブで聴きたかったです。
兆志 3人ギタリストがいれば(笑)。
――『TONIGHT』のこういうところに秘密が、隠れたポイントが、というのがありましたらお聞きしたいです。
謙二 毎度そうなんですけど、音を削ぎ落として削ぎ落としてシンプルにしていってボーカルを立たせるというのがポイントで、その中でバンドは極力最低限の事を、というのはありますね。
――音を削ぎ落としていく事はすごく勇気が要る事ですよね。
悠 出来るだけシンプルなものにしたいという中で「音が少ないのに盛り上がれる曲」というのは、矛盾してるじゃないですか? だから一個一個の音にこだわらないと本当にショボい盛り上がれない曲になっちゃいますからね。歌で言うと、メインの部分はファルセットで歌っているんですが、今回新しく迎えたプロデューサーさんと作業する中で、彼が「この声だったらこのマイクがいいんじゃない?」って初めて使うマイクを教えてくれたんです。それが自分の表現したかった細かい所まで表現できていて、自分的にすごく気に入っていますね。だから今作は“歌の透明感”があると思います。
謙二 細かい吐息とかニュアンスの部分までね。
悠 そうそう。ブレスまでもが歌になったというね。
――小さな音の部分まで拾うマイクなんですね。
悠 細かい所まで拾うマイクで、ブレスの「フゥッ」という部分まで音楽的に表現出来るんです。今までとか、他のアーティストとかだとそこは切っちゃったりするんです。でも、そこをわざと残してそこもメロディとして生かしたんです。
――今回のマイクで細かい部分まで表現できた事によって、自分のスキルとしてプラスになった部分はありますか?
悠 何度も繰り返すサビのメロディなんかは、同じ事を歌っているから細かい所までニュアンスが伝わるので、ここは裏声で歌おうとか、最後の方は地声にしていこうなど、そういう細かいアプローチが今回は挑戦でしたね。今までは意外とやった事なかったので。
兆志 ギターの事を言うとサウンドはUK、ロンドン寄りの湿った感じので弾きましたね。
――UKロックのサウンドというのも意識して?
兆志 そうです。そういう感じの曲だと思ったんで。
謙二 ベースは基本的にシンセに寄り添うようにシンプルに入れていって、歌の隙間を縫いながらリズム的に良いアクセントをどんどん入れていったらいいなという事ですね。基本的にはループで最後の方まで続いていくので、少しずつ変化させていって最後の方に向けて序々に盛り上げていけるようにフレーズ作りをしましたね。同じような事をやってるんですけど、ちゃんと聴くとけっこう変わっていってるんです。
――歌の隙間を縫うというのはどういった感覚でしょうか?
謙二 どのパートがやるかという問題だとおもうんですけど、ドラムを録り終わったものを聴いた時に「ここに何も入れてないけど、ここの空白に入れたら面白いかな」というのはけっこうその場で思いつきますね。ある程度は決めてスタジオに入るんですけど。最終的に弾く時にそういうエッセンスを加えていくというのがあります。
――そこに注目して聴くとまた面白味がありそうですね。
謙二 あるとは思います。是非細かい部分まで聴いていただけると嬉しいですね。
悠 トラック的に面白いんですよね。全然音楽に詳しくない方とかが聴いても「耳に残るな」という部分があったり。バンドマンとか音楽をやっている方が聴いても面白いトラックになってると思います。
――いつか、秋気さんのスチールパンドラムのプレイなども聴いてみたいと思っています。
秋気 はい! じゃあやろう(笑)。
――そして、3曲目の「SING (electric version)」についてですが。
悠 これは前回のアルバム『TOKYO』に入っていた曲をリアレンジという形で収録したんですが、前回のアルバムに入っている時はどちらかというとアップテンポで明るい昼間のイメージだったんです。打ち込みもほとんど入れてなくて、ほぼ生楽器で。普通だったらリアレンジする場合ってアコースティックバージョンで入れるんでしょうけど、その逆をやって全部打ち込みでリアレンジしました。
――よくカップリングで実験的な事をしたりしますが、この場合はどういった位置づけだったのですか?
悠 けっこう僕らの中で遊びですね。「TONIGHT」が打ち込みが多くて、その後にバラードの「LIFE」が来て、その次はどういうものがいいんだろうという時に、シングルとしての統一感的に遊びの要素があった方が面白いんじゃないかと思いまして。そんな感じでトライして楽しみながらやりました。
――その中で新たなサウンドが生まれたりしましたか?
兆志 今回の「SING」にはギターを入れなかったんです。何か、入れたくないなって思って。
謙二 ベースもトライしたけど、邪魔だと思って。
悠 歌と打ち込みだけという感じですね。歌は同じ歌詞を歌っているんですけど、歌い方をガラッと変えて。同じなのに全然違って聴こえるという所に、今回トライして初めて気付きましたね。曲の持つパワーをもう一つ引き出せたなと。
兆志 サウンドもすごく気に入っていて、今は元のバージョンよりも好きなくらいです。コード進行とか音の積み重ねとかを是非聴いて頂きたいなと思います。ピアノも僕が弾いているんです。けっこうサビによって違う事を弾いていたり、実験的な事もやったりしつつ。
悠 歌詞なんかも前回と同じ事を歌いつつ今回のものの方がよりメッセージ性が出て来たなと歌いながら感じましたね。
ツアーでの見どころ
――ワンマンツアーが始まりますが、ツアーではどういったものを魅せていきますか?
悠 僕らワンマンで全国を回るの初めてなんですよ。今までやったワンマンはその一回のために準備してという感じだったんですが、今回は連続してやるので「ツアーという物語」が出来たらいいなと思っています。会場ごとの規模も違うので全く同じ事はしないですし、まだ準備も取りかかっていませんけど、きっと面白いものが出来ると思います。
――最終公演のZeppは2000人規模になると思うのですが、ファンの数が多ければ多いほど生み出されるものも違ってくるのかと思います。
悠 ファンの数よりも会場の規模ですね。やれる事が変わるじゃないですか?
兆志 でっかいスクリーンを入れたりとかね。
悠 火を使ったりとかもね。今までの会場では出来なかった事が出来て幅が広がるんです。
兆志 お客さんとの距離とかは地方の小さめのハコだとよりリアルな感じが伝わるだろうし。
――I Don’t Like Mondays.はグルーヴを大事にしているので、ツアーでもグルーヴをどう魅せていくかというのがとても楽しみです。女性客が多い中で、体で感じてライブを楽しむ人もいれば、音楽を聴き入って楽しむ人もいると思います。その中でどのような空間を創っていくかというところをお伺いします。
兆志 まず、その「瞬間瞬間」を楽しんでいきたいなというのがありますね。僕がこのI Don’t Like Mondays.をやっていて一番好きな場所がライブなんです。そこに全精力を捧げるというか、いいライブが出来た時のいいリアクションが地方によってあると面白いかなと。グルーヴに関して言うと、集中するという事はつまり、見た目で言うと黙々と弾くイメージがあるんですが、僕はどっちかというとギタリストはカッコいい方がいいと思っているので、グルーヴも頭に入れつつ魅せたいなというのはありますね。
――元は崩さずに入れ込んでいく感じでしょうか。
兆志 そう攻めていきたいなと毎回思っています。
――謙二さんはどうでしょうか?
謙二 振りとかを強要するとかそういうんじゃなくて、楽しく踊りに来てほしいんですよ。そのために秋のツアーまでに僕の課題としては秋気ともっとグルーヴを突き詰めて下でもっと支えていくみたいなところがあります。やっぱりドラムとベースの絡みが良いバンドって本当に自然に踊れる良いバンドだと僕は思うので、それをもっと突き詰めていけたらいいなと思います。
兆志 ギターがどれだけ頑張っていいリズムを刻んでも、ドラムとベースが駄目だったら駄目だと思うんですよね。だからリズム隊の2人にはこの場を借りて本当に感謝を。
全員 はははは(笑)!
――今の感謝の意は初めてですか?
謙二 こんなに改めて言われるのは初めてですね(笑)。
兆志 2人がしっかりしているから自由に弾けるっていうね。
――前のめりになってしまったりした時にそれを修正するのもリズム隊ですよね。
謙二 そうですね。ブレないで安心出来るどこかを常に置いておくというのはありますね。
――ライブ中もけっこう目を見合ったり?
謙二 俺はけっこうドラムを見る方だと思う。
――秋気さん的にライブの見所は?
秋気 ずっと前からこれは変わっていないんですけど、例えばファンの子がいてその子が友達を連れて来て、その友達は僕らの事を全く知らなくて初めてライブで僕らの事を観たという子が楽しめたり、最後まで時間を気にして時計を見なかったりとか、その場でファンになってくれるぐらい、初めての人が観ても面白くて最後まで楽しめるものをつくっていきたいです。ブルーマンとかやっていて舞台とかもよく観に行ってたんですけど、舞台って何の予備知識が無く観に行って楽しめるものだと思うんです。そういうエンターテイメントとしての良さを、バンドだからといってファンに甘えたりせず、「誰が観ても面白い」と思うものにしたいなと思います。
悠 もともと僕らはそういうバンドだと思っているので。ワンマンになってくると照明ひとつとっても演出ひとつとっても、それこそ色んなものが考えられるので、それを僕ら“I Don’t Like Mondays.のライブ”という一つのパッケージとして如何にのめり込ませて非日常を味わってもらえるかという事が一つの課題かなといつも思っています。
――Zepp DiverCity(TOKYO)の大きな会場で、照明なども自分達でディレクションしたりするのですか?
悠 照明もそうです。全演出、基本は僕らで考えているので。
秋気 照明一つで見え方が全然変わってくるよね。極端な話、僕らがずっと突っ立てても照明が激しければ“激しい”っていう印象は残るし、逆もあるしね。
悠 あと、照明があると立体的になるんですよね。レーザーが出たら会場全体がステージになるし。
――動きを埋める効果もあるんですね。
悠 かといってやり過ぎても最後の方は慣れてきちゃうので、その辺の心理的なところもどうするかというところもありますね。
謙二 心理的に如何にいい波をつくるかというね。
――圧倒のステージ、是非東京ドームでも観てみたいです。目標のステージは?
悠 ドームツアーはいずれやりたいと思っています!
――ではまずは秋のツアーを楽しみにしています。ありがとうございました。
(取材・木村陽仁)
作品情報
シングルCD『TONIGHT』
発売日:2016/7/20(水)
品番価格:COCA-17136/1,200円+tax
収録楽曲
1.TONIGHT ※TBS系テレビ「CDTV」7月度エンディングテーマ
2.LIFE ※「スマモバ」CMソング
3.SING (electric version)
4.TONIGHT (minus one)
5.LIFE (minus one)
All Songs Lyric, Music & Programming by I Don’t Like Mondays.
Produced & Arranged by
I Don’t Like Mondays. / EIGO [M-1/4]
I Don’t Like Mondays. / Kei Kawano [M-2/4]
I Don’t Like Mondays. [M-3]
ライブ情報
▽I Don’t Like Mondays.“FASHION” 1st Tour
2016年10月30日(日) 宮城・HooK SENDAI
OPEN 17:30 / START 18:00
2016年11月3日(木・祝) 福岡・DRUM Be-1
OPEN 17:30 / START 18:00
2016年11月12日(土) 大阪・Music Club JANUS
OPEN 17:30 / START 18:00
2016年11月13日(日) 愛知・名古屋 APOLLO BASE
OPEN 17:30 / START 18:00
-FINAL-
2016年11月19日(土) 東京・Zepp DiverCity (TOKYO)
OPEN 17:30 / START 18:30







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