初の単独野外ライブを行ったシング・ライク・トーキング

初の単独野外ライブを行ったシング・ライク・トーキング

 SING LIKE TALKING(SLT)が今月6日、東京・日比谷野外大音楽堂で、スペシャルライブ『SING LIKE TALKING Premium Live 28/30 Under The Sky ~シング・ライク・ホーンズ~』の東京公演を開催した。単独では初となる野外ライブ。SLTは結成30周年に向けてのカウントダウン企画として、昨年のストリングスに続き、今年のイベントタイトルを<ホーン>に設定。イベントタイトルの通り、サックス・トランペット・トロンボーンというブラックミュージックには欠かせない、3管をバンドに加えたサウンドでオーディエンスをダンスの渦に巻き込んだ。13日は大阪城音楽堂での公演も控えている。以下はオフィシャルのレポート。

 体感温度は予報の33℃を超えていたと思う。あちこちで花火が鳴り響くであろう、週末の夜の入り口。空はまだ明るい。都心の日比谷野外音楽堂は満員の観客で埋め尽くされていた。入り口には『28/30 Under The Sky ~シング・ライク・ホーンズ~』と書かれている。

 充実した音楽をマイペースに生み出し続けている彼らのゆるりとした雰囲気と、彼らの登場を待つ観客の間に流れる空気はとてもよく似ている。とてもいいライブになる予感がした。日差しが傾き始め、涼しい風が少し吹き始めた頃、ステージにメンバーが登場した。最高のタイミングだ。

 オープニングから軽やかで心地よいグルーヴのナンバーが続いて体が揺れる。ファンキーだが、爽やかで熱くなりすぎない。ソウルフルだがくどくない。MCはあえて少なめに、途中にスローを挟みながら、ファンキーでメロウな選曲が最後まで続く。お客さんもそういった雰囲気を楽しんでいるのが分かる。SLTのライブでここまで踊れることは今まであまりなかっただろう。

 ほとんどの曲でフィーチャーされたホーン隊は、FIRE HORNSという若手のホーンセクション。引く手数多の実力派だ。コーラスも豪華で、ソロでデビューしているエリック・フクサキ、それからSLTとは古い付き合いの露崎春女。時折フィーチャーされる2人のコーラスワークは、主役を凌駕するほどのインパクトを放つ瞬間がある。そういった緊張感も忘れていない。それにしても演奏が完璧だ。

 この日のライブは2部制で、途中で15分の休憩が挟まれた。暑さで体調面への配慮がありつつも、レストランやクラブでのライブにおける2部制を取り入れたように思った。2部が始まる頃には日も落ち、紫系のライティングで、1部とはまた違うアーバンな雰囲気に変わる。こういったさりげない演出も、ちゃんと音楽を楽しむ場を作ってくれているんだなという配慮を感じた。そう、これは大人の夏フェスなのだ。

 「今年もこの曲で終わりにしますよ。来年はシング・ライク・<何>にしよう」と竹善が言って、ライブでしか聴けないいつもの曲で締めた。SLTの音楽は暮れ行く空が似合う。1つ新しい発見をした。来年もまた、今年と違った贅沢な時間がきっと待っている。

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