7月15日の模様。アコギで弾き語るダイスケ(写真協力・ヤマハミュージックメディア)

7月15日の模様。アコギで弾き語るダイスケ(写真協力・ヤマハミュージックメディア)

 メジャーデビュー5周年を迎えたシンガーソングライターのダイスケが24日、東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREでアニバーサリーツアー『ダイスケ 5th Anniversary Tour 2016 ~君とぼくでかける魔法~』の追加公演をおこなった。このツアーは3月2日にリリースされしたアルバム『君にかける魔法』を引っ提げ、5月15日の愛知・名古屋SPADE BOXを皮切りに全国7カ所11公演をおこなうもので、このうち5日続いた東京公演はその日によってセットリストや趣向を変える“日替わりメニュー”で展開した。その東京6日目の追加公演となったこの日はダブルアンコール含め全19曲を披露し、訪れたオーディエンスファンを楽しませた。また、「5th Anniversary」を締めくるツアーとして、来年3月に東名阪ツアーの開催も発表された。

「ぼくにかける魔法」でライブはスタート

 ツアーファイナルは東京での5日公演。その“初日”の15日には「ファンクラブ会員限定SPECIAL DAY!!」と題し、ダイスケとヒロ(G)の2人で届ける特別ライブ。16日と17日は「ダイスケバンドでお届けするLive」、22日には「ダイスケ&Keyの潤ちゃん&Dr.よっちのトリオでのLive」。そして、23日はダイスケが1人でステージに立つツアーファイナルで、その翌日24日は、大好評を受けての追加公演となった。

 その24日は、ステージにはフルバンドのセットが置かれ、開演前にはスタッフによる綿密なサウンドチェックがおこなわれていた。ダイスケによる開演を告げるアナウンスが流れると会場に集まったオーディエンスから歓声が上がった。間もなくすると会場は暗転。オープニングSEが流れる中、サポートメンバーがステージに登場。SEから引き継ぐように生のバンドサウンドに切り替わると、ダイスケがステージ上手から登場した。

 大きな歓声が響き渡る中、ケルティックなイントロが印象的な「ぼくにかける魔法」でライブはスタート。アコースティックギターとエレクトリックな楽器が絶妙に絡み合うサウンドで、オーディエンスも手拍子で盛り上げていく。オープニングらしくノリの良いナンバーでダイスケワールドに導いた。アコギをチェンジし、続いて披露したのは「泡沫」。ダイスケが昔にドラムをやっていたことが大きなアドバンテージとなっているのだろう。リズム感の良さが光るナンバーで会場の温度はどんどん上昇していった。

 「ツアー最終日、ついにこの日が来ちゃったよ。5月から続いたこのツアー、泣いても笑っても今日が最後になります。昨夜から寂しくて。本当のツアーファイナルは昨日でした。今日は追加公演、言って見ればお祭りでございます。何も考える必要はない!今日は喉を潰すまで歌ってやろうと思います」と今日のライブへの意気込みを力強く語った。

 「声を聞かせてくれるかい渋谷!?じゃあ一緒に歌おう」と煽って始めたのは「HAPPY」。イントロからファンとのコールアンドレスポンスで会場の一体感は更に高まっていく。ダイスケもアコギを下ろし、ハンドマイクでステージを動き回り煽っていく。サビでは会場がオーディエンスのタオル回しで埋め尽くされた。テーマパークのような楽しいサウンドの中、オーディエンスの体もリズムに任せて揺れる。

 「今日は余すことなく愛を捧げます。一緒に愛を下さい」と始まったのは「Love Love しよう」。<Love Love しよう♪>のコールアンドレスポンス。オーディエンスの美しい声がホールに響き渡った。続けて届けた「せかいにひとつのフタリ」では心地よいビートに合わせて、大きく腕を左右に振るオーディエンスのアクションにフロアの一体感は更に強くなっていった。その高揚感を保ったまま、街の雑踏のSEが流れドラムの8ビートから「東京ラヴァーズ」へ突入。タイトなリズムに合わせ左右にステップを刻むダイスケとバンドメンバーたち。それに合わせオーディエンスも左右に揺れグルーヴを堪能した。

人生は階段のようなもの

7月15日の模様。(写真協力・ヤマハミュージックメディア)

7月15日の模様。(写真協力・ヤマハミュージックメディア)

 MCでは、6日続いたこの東京公演で日に日にケータリングが豪華になっていったことを報告。「最初はサンドイッチ、おにぎりだったんだけど、カツサンドになってついに今日は焼き鳥弁当だった。こんな豪華なケータリングは初めて!」と興奮を隠せずにいた。そして、「何より嬉しかったのは6日間ここに来て、僕の歌を聴いてくれて、みんなの素敵な笑顔に出会えることが何よりHAPPYでした。本当にこの6日間楽しかったです、ありがとう」と喜びと感謝の言葉を述べた。

 また、「楽しい時もあるけど、辛い時もあるから人生を頑張れているんじゃないかなと思う。人生は階段のようなものだと思っていて、降る時もあれば昇る時もある。昇って降りてを繰り返して、心の足腰を鍛えて強くなって幸せな日々をみんなで歩いていけたらなと思っています」と話し、「ドレミ」をアコギの弾き語りで披露。情感を込めてダイナミクスにしっとりと、時に力強く言葉を噛み締めながら歌っていく。その歌声とダイスケの姿にオーディエンスも静かに耳を傾けた。

 ここで、ツイッターで“ポケモン ダイスケ”とエゴサーチして見つけたツイートに感化されて「今日絶対歌ってやる」と思ったというアニメ『ポケットモンスターベストウィッシュ』のOPテーマ「夏めく坂道」をボサノババージョンで披露した。夏にぴったりなレイドバックしたサウンドで会場を包み込んだ。エンディングでは満足そうな表情を浮かべるダイスケが印象的だった。

 そして、ドラゴンボールZの「CHA-LA HEAD-CHA-LA」のイントロが一瞬流れたかと思うと、アグレッシブな中近東オリエンタルなイントロから「GOKU」へ。バンンドメンバーが熱いソロを回していく。ダイスケもアコギでスラップ奏法で会場を沸かせた。ファンキーなアッパーロックチューンでテンションはドンドン上がっていった。

 夏の浜辺と海が目の前に広がっていくような「キミは太陽」を披露。エンディングでは「もっと頂戴!」とねだるダイスケ。<lai lai lai lai lai lai lai ya>と会場全体で歌い上げると、ダイスケは「素敵な美声をありがとう」とその歌声に感謝した。

 そして、「ここからドンドン上げていきます!!」と宣言し、「あいわな」に突入。パワフルなビートに触発されるかのように、オーディエンスの手拍子も力強く響き渡った。ダイスケの存在感のあるエモーショナルな歌声が心に響いてきた。

夢を追い続けている途中

 「Moshimo」、「ボク☆ロケット」と爽快でアッパーチューンで会場のボルテージは最高潮に達していった。そこに追い討ちをかけるかのように「いつだって。」へ。さらにスピーディーな楽曲で畳み掛けていく。ダイスケの歌もリミッターが外れたかのようにどんどんパワフルになっていった。そんなステージの熱量がフロアに伝わっていく。そのエネルギーが会場全体に降り注いでいるかのようだった。ダイスケも“もっともっと”とジェスチャーでオーディエンスを煽った。

 ここでダイスケがファンに出会えたことへの感謝の想いを語る。「時間が限られているからこそ、僕ら一緒に集中して音楽を楽しめているんだなとこのツアーで感じてます。3月にリリースした『君にかける魔法』は、僕の音楽がみんなの日々を少しでも支えて笑顔にしてあげられるような、音楽が魔法みたいになったらいいなと思って作ったアルバムです。このツアーで全国のみんなにHAPPYを届けたい。だけど、蓋を開けてみたら、みんなのとびきりの笑顔を僕がもらってHAPPYになっているのは俺だよ!本当に大好き。君たちに出会えて良かった。これからもヨロシクね」

 そして、「ミュージシャンとしての目標地点には到達していない。夢を追い続けている途中なんです。僕はこれからも自分の夢を追いかけるし、みんなもそれぞれやりたいことや進みたい道があるかもしれない。そんな僕らの道が成功することを祈って、気持ちを込めて最後に聞いてください」と語り、「コスモノート」を披露。ポジティブでキャッチーなロックナンバーで会場全体が一つになり本編を終了した。エンディングでギターをかき鳴らすダイスケの表情からはツワー終わりへの名残惜しさも感じられた。

人生初のダブルアンコール

 ダイスケがステージを去った後、会場からダイスケコールが巻き起こった。ゆっくりとステージに戻ってきたダイスケ。「ミュージシャンって何が正しいのかはわからない。自分が作った曲が良い曲なのか、それとも誰にも伝わらない曲なのか、それは作っている段階ではわからなくて。ライブでみんなに聴いてもらって、そこで初めて認めてもらって自分は音楽をやっていていいんだという気持ちになります。僕にしか出来ない事は音楽なんだと教えてくれているのはいつも皆さんです。僕を認めてもらっている代わりに、音楽で皆さんの事を支え続けていきたいと思う」と自分とファンとの互いの絆を確かめるように語った。

 更に、「まだ自分にしか出来ない事を見つかっていないという人がいたら、全力で僕がそれを見つけるのを応援します」と約束し、アンコール1曲目は「あなたにしかできないこと」を弾き語りで熱唱した。途中でマイクから離れ、生声とアコギの生音でストリートで歌っているかのような感覚に陥った。その歌とアコギに合わせオーディエンスも大合唱し、美しい歌声がホールに響いた。その熱い生歌に涙を流すファンの姿もあった。

 「友達のようなみんなと一緒に歌いたい曲です」と「フレンズ」を披露。2コーラス目でジャズアレンジになったりと遊び心も。「いつまでも僕の音楽が皆さんのそばにあるように、気持ちを込めて届けます」とアンコールラストは「音符の傘」を演奏。気持ちがこもったソウルフルな歌と演奏でアンコールを終了した。

 ステージを去っても鳴り止まないアンコールの声。場内アナウンスが流れ終わりかと思った時、ダブルアンコールに応えるアナウンスが続いた。再び戻って来たダイスケとサポートメンバー。「人生初のダブルアンコールだよ」と感極まった様子。

 ラストは「三日月ロッキンチェア」を丁寧にしっとりと聴かせてくれた。フロアで左右に振られたオーディエンスの腕が月に照らされ風に吹かれ揺れているススキのようにも見えた。5月から2カ月続いたツアーの幕は閉じた。

 ファンと一体となったライブは笑顔が絶え間なくあふれた一夜となった。ポジティブな曲はさらにポジティブに、切ない曲はより切なく、歌に多彩な表情を持たせ聴くものを魔法にかけていったステージ。まだまだ続く5th Anniversary。3月のツアーではどのような魔法をかけてくれるのだろうか。(取材・村上順一)

セットリスト

『ダイスケ 5th Anniversary Tour 2016 ~君とぼくでかける魔法~』

7月24日 Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

01.ぼくにかける魔法
02.泡沫
03.HAPPY
04.Love Love しよう
05.せかいにひとつのフタリ
06.東京ラヴァーズ
07.ドレミ(弾き語り)
08.夏めく坂道
09.GOKU
10.キミは太陽
11.あいわな
12.Moshimo
13.ボク☆ロケット
14.いつだって。
15.コスモノート

ENCORE

EN1.あなたにしかできないこと
EN2.フレンズ
EN3.音符の傘

W.ENCORE

W.EN1.三日月ロッキンチェア

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