公私ともに仲が良い近藤晃央とダイスケの2人のシンガーソングライターが新譜でコラボレーションを果たす。11月23日に、近藤が7thシングル「涙腺/クリスマスチキン feat.ダイスケ」として、11月30日に、ダイスケが12thシングル「スノウドーム/クリスマスチキン feat.近藤晃央」として、それぞれリリースする。各々のソロ曲とコラボ曲を合計3曲収録。今では大親友と呼べるほどの間柄の2人の出会いは2009年頃、レーベルの新人育成部に所属していたことがきかっかけだった。それから時を経て今回、コラボレーション。2人がテーマに選んだのはクリスマス。ただのクリスマスではなく、“ハッピーなクリスマス”よりも“クリスマスが嫌い”という曲で意見が一致したという。出会った経緯からコラボソングの制作話、さらにソロ曲から読み解く2人の考え方などについて、前編と後編に分けて紹介する。
会議室でギター2本から始まった。
――個人的にはお2人のコラボレーションが意外だったのですが、出会いの経緯は?
ダイスケ 2人とも2009年頃にSony Music SD(新人発掘部署)にお世話になっていたんです。新人育成部に何十人といるなかの2人だったんです。
近藤晃央 たまたま担当している方も一緒だったんです。アマチュアのシンガーソングライターがたくさん育成されている中で、男性シンガーソングライターしか出演しないというイベントがあって、月1回、フリーライブをしていたんです。お互いその中の1人で。その時は大した絡みもなかったですね。
ダイスケ 挨拶程度だったよね。
近藤晃央 そこから4年くらいして、お互いデビューをしてから岡山でたまたま共演したんです。
ダイスケ そこで僕は初めて近ちゃんがデビューしていたというのを知ったんです。岡山で久々の再会という感じでした。
近藤晃央 「初めまして! でも、前に1回…」というくらいのテンションでしたね。僕らしか出ていないイベントだったので、その時に連絡先を交換して。そこからまた半年くらいして何かあったかな…?
ダイスケ 下北沢で深夜まで飲んでたのはもっと後かな?
近藤晃央 そうだね。最初にどこに行ったのかまでは覚えてないんだけど…。その後もライブで共演する事はあったので、わりと頻繁に会っていました。
――久しぶりの再会から一緒に遊ぶようになったりして、お互いに何か感じる事はありましたか?
近藤晃央 ざっくばらんに言うと、最初に行った数十人の中で結果的にデビューまで行ったのは僕らだけだったんです。言い方が悪いかもしれませんけど、その中の“生き残り”だったので(笑)。だからそういう繋がりはありますね。
ダイスケ シンパシーじゃないけど、そういうのあるね。
――当時の環境など思い出話も共有できますしね。
近藤晃央 共通で知っている方もいましたし。ましてや担当も当時は一緒の方だったので。
――お2人でいる時はどんなことをして過ごしているのですか?
ダイスケ 飲みに行くのが基本なんですけどね(笑)。
近藤晃央 メシを食べる、酒を飲む…。
ダイスケ カラオケに行ったりとかも。滅多に行かないですけど。
――行った時は何を歌ったのでしょう?
近藤晃央 お互いの曲です(笑)。
ダイスケ ハモったりして遊んだりとか。もしかしたらそれが今回のコラボのスタートなんじゃないかなと思ったりしたんです!
――お2人でコラボをしたいと思ったのはこの何年間でのこと?
近藤晃央 コラボしてCDを出したいとかというよりも、お互いソングライターなので、一緒に曲を作ったりして遊んだりするのは楽しいだろうなとか。
ダイスケ 「やりたいね」くらいの感じはありましたね。
近藤晃央 もともと僕等が仲良いのを知っている周りの人達が「せっかくだから何か一緒にやりなよ」と、どちらかと言うと背中を押してもらったのをきっかけに、ようやくやったというところもあります。
――周りの方達の後押しなんですね。今回の曲の制作はいつごろからですか。
近藤晃央 8月の頭くらいです。
――わりと最近なんですね。
ダイスケ スピード感がある(笑)。
近藤晃央 7月に最初の打ち合わせあって、そこの会議室でギター2本から始まりました。それが「クリスマスチキン」のサビなんです。
――セッションでなんとなく作っていった?
近藤晃央 とりあえず色んなメロディを歌ってみるという感じで。歌詞もない状態です。「それいいじゃん!」と思ったら一旦止める、という流れでしたね。
――それではサビ自体はすぐ出来た?
ダイスケ 2時間くらいかな?
近藤晃央 サビが出て来るまでは1時間くらいだったんですけど、全体的な方向性として「じゃあサビはこれで行こう」となった時に「じゃあAメロどうしよう?」となったんです。「このテンポでこのコード感だったらフリースタイルでいいんじゃないか?」という事で、結果的にそこはフリースタイルに。後は家に持ち帰ってデータを作って送り合う、といった感じでした。
――クリスマスというテーマはその時に決まったのですか?
近藤晃央 そこにこだわっていた訳でもなかったんですけど、リリースが秋先くらいになるという事で、季節的にも。僕はどちらかと言ったら最初は「クリスマスソングは嫌だ!」と(笑)。
――それはなぜでしょうか。
近藤晃央 クリスマスソングはその時期しか歌えないので。せっかくやるのに一時期で歌い終わっちゃって暫く歌えないのは嫌だなと言ったんです。でも、ダイスケは逆に「そういうコラボ企画の方が、あえて季節モノとしてやれるチャンスなんじゃないか?」という事を言ってくれまして。
ダイスケ 自分じゃ絶対クリスマスソングは作らないので、良い機会かなと。
――今回の企画だからこそ、あえて?
ダイスケ ちなみに、今回は切ないクリスマスソングなんですけど、昔2人でクリスマスイブを過ごした事があるんです。本当に2人とも寂しくて、「この寂しい気持ちを埋め合おう」みたいな感じでクリスマスを過ごした事があったので、「そんな事もあったし、面白いんじゃない?」という事で。
――それは何年前ですか?
近藤晃央 2、3年くらい前ですね。
――「寂しいね」と連絡を取り合って?
近藤晃央 いや、そんな「寂しいね」とは電話口では言ってなかったですけど(笑)。
ダイスケ 前から「クリスマスの予定は?」みたいなのはあったよね。
近藤晃央 11月末にライブで一緒になった時に、ステージ上でクリスマスソングをセッションしたんです。その流れで、司会の方から「皆さんクリスマスの予定は?」と聞かれた時に、ダイスケは「予定はない」と。そのあと、僕にも話が回ってきて「じゃあダイスケの家に行きます」と言ったのがきっかけで、本当にクリスマスイブの日に連絡したら「クリスマスじゃなくてクリスマスイブに来るんだ?」と確認されて(笑)。
――クリスマスソングを作ろうとなってもお2人の場合一筋縄じゃいかないですよね?
近藤晃央 はい(笑)。クリスマスソングを作りたいという話になった時に、2人で話した結果、どちらかというと“ハッピーなクリスマス”よりも“クリスマスは嫌い”という曲にしたいよね、というところは一致していたんです。
――ひねくれたんですね。
近藤晃央 そうですね(笑)。あと、世に出ているクリスマスソングはたくさんありますけど、山下達郎さんの「クリスマス・イブ」にしても浜田雅功さんと槇原敬之さんの「チキンライス」にしても、クリスマスというものと少し距離のあるような曲の方が刺さってくるというか…。
――“ザ・クリスマス”という感じよりもその方が刺さる?
近藤晃央 ええ。「クリスマスに置いていかれている感じ」の方が。そっちの感じの曲の方が好きだったりするんです。だから少し孤独なクリスマスとか、クリスマスが嫌いになっちゃっている人にスポットを当てた方がいいかなという感じで進めていきました。
――どちらかというとクリスマスは嫌い?
近藤晃央 クリスマスに限った事ではないんですけど、ハロウィーンなどもそうですが「もはや何でもいいんじゃないか?」という、“浮かれ”の理由としてはあんまり好きじゃないです。
――確かに本来の主旨とは離れたイベントだったりしますしね。
近藤晃央 あと「クリスマスに恋人が居ないと虚しいという風習を作ったの誰だよ!」みたいな(笑)。
――男2人で過ごしたっていいじゃないか、というね…。
ダイスケ あはは! そうなんですよ。
近藤晃央 ただ、ダイスケも言ってましたけど、街並がキラキラした感じや、お店なんかが雰囲気を出して活気付いていく感じは凄く好きです。
――楽曲にもクリスマス特有のキラキラした感じがあって凄く良いですよね。メジャー感のある「Cのキー」が多かったりしますし。
ダイスケ 気分が上がりますよね。
近藤晃央 ああ、そういえば今回の曲もCのキーだね。
ダイスケ あ、そうだね! 潜在的なものなのかな…。
近藤晃央 特にキーに関しては何も考えてなかったけどな(笑)。
――何かそういう力が働くのでしょうかね。
ダイスケのPCが壊れていた
――「クリスマスチキン」の歌詞についてですがこれは共作ですか?
ダイスケ そうです。基本的にはお互いが歌っている部分を自分で書くんです。
――メロディが出来た後に作詞を?
近藤晃央 Aメロに関しては完全にフリースタイルだったので、メロディも歌詞も完全にお任せです。
――オケの制作はどちらが?
近藤晃央 これを作っていた時期はダイスケのPCが壊れていたので俺が作りましたけど、アレンジはまた別の方がやるので、そこからまただいぶ変わっていますね。とりあえず、コードとリズムとベースが入っている状態で、それに乗っかればよいという感じです。曲の尺はそこでもう決めていますので。
ダイスケ たまたまそのタイミングで壊れたんですよ!
――そういえば最近も近藤さんのハードディスクも壊れたとか?
近藤晃央 最近データが飛んだんです! ダイスケはPC自体が壊れたし…。
――怖いですね。それ何かありますよ。
ダイスケ 何かあるかも…。だから「クリスマスチキン」の為に僕はPCを1台買い直して、もう1回Cubase(編注=音楽制作ソフト)を入れてという。そこからのやりとりなんです。
――近藤さんもCubase?
近藤晃央 僕はLogic(編注=音楽制作ソフト)なので、お互いは違う制作環境だから毎回オーディオファイルを書き出してステムでやりとりしていました。(編注=パート別のデータでのやりとり)
――それはけっこう手間がかかりましたね。
ダイスケ そうなんです! でも面白かったですよ。お互いにちょっとずつ楽器とか歌詞とか歌を入れて、データ交換してだんだん曲が完成していく流れが。
――レコーディングはどうでしたか?
近藤晃央 9月末だったんですけど、まずストリングスを入れて、ドラムを録って…。
――ストリングスは生演奏ですか?
近藤晃央 そうです。けっこう特殊でした。ダブルカルテットに、1stバイオリンがもう1人いるので合計9人なんです。この形態だと聴こえ方が全然違うなという感じがありました。
――それはプロデューサーのアイディアで?
近藤晃央 そうです。編曲をしてくれた宅見将典さんと。
――今回はなぜバイオリンを1人増やそうと?
近藤晃央 宅見さんは前もダイスケの曲を一度やった事があって、僕も最近何度かやって頂いたので、共通した方なのでお願いしたんです。前にアルバムを録っていた時に、ダブルカルテットでストリングスを録ってみたら、1stバイオリンがちょっと埋もれるという話になって、それをふまえての今回の話だったんです。そうしたら凄くきらびやかになりましたね。
――ストリングスのラインが際立ちましたね。間奏もクリスマスの雰囲気を醸し出してます。
近藤晃央 色々と編曲で変わったんですけど、最終的にここまでクリスマステイストをふんだんに入れた曲も(笑)。いろいろオマージュされてます。
――歌のレコーディングはどうでしたか?
近藤晃央 メインボーカルは苦戦しませんでしたけど、ハモリが多くて大変でした。
ダイスケ 大変でしたね…。
近藤晃央 コラボだから歌量は実質半分だろうと思っていたけど、全然そんな事なくて。むしろハモリの分、1人の時より多いんじゃないかというくらい。
ダイスケ レコーディング時間も長かったですよね。
――曲自体が6分ありますからね。
ダイスケ かなりボリューミーです。
(取材・村上順一)
作品情報
【近藤晃央「涙腺/クリスマスチキン feat. ダイスケ」】
11月23日発売
▽収録曲
M-1「涙腺」
M-2「クリスマスチキン feat. ダイスケ」
M-3「操り人形劇 feat. ダイスケ」
▽初回生産限定盤A
CD+DVD 2000円 (税込) BVCL-758~759
特典DVD:「近藤晃央 2nd ONEMAN TOUR〜IRIE LAND〜」東京公演から6曲のライブ映像を収録。
「グラデーションフライ」
「かわいいひと」
「理婦人ナ社会」
「らへん」
「ビビリーバー」
「テテ」
▽初回生産限定盤B
CD+DVD 1800円 (税込) BVCL-760~761
「涙腺」 「クリスマスチキン feat.ダイスケ 」Music Video2曲
「 レコーディングメイキングムービー」
「ジャケット & アーティスト写真撮影メイキングムービー」
「ミュージックビデオメイキングムービー」収録
▽通常盤
CDのみ 1300円 (税込) BVCL-762
通常盤のみBonus Trackとして「恋文 -plugless ver.-」収録
【ダイスケ「スノウドーム / クリスマスチキン feat. 近藤晃央」】
11月30日発売
▽収録曲
M-1「スノウドーム」
M-2「クリスマスチキン feat.近藤晃央」
M-3「類人猿 feat. 近藤晃央」
▽初仕様付期間生産限定盤A
CD+DVD 1700円 (税込) ESCL4770~4771
特典DVD:「スノウドーム」Music Video+「スノウドーム」メイキング映像
▽初仕様付期間生産限定盤B
CD+DVD 1700円 (税込) ESCL4772~4773
特典DVD:「クリスマスチキン feat.近藤晃央」Music Video+「クリスマスチキン feat.近藤晃央」メイキング映像
ライブ情報
【近藤晃央×ダイスケ2マンライブ】
チキン達のクリスマス ~近藤晃央×ダイスケ クリスマス2マンライブ~
12/22(木) 渋谷 duo MUSIC EXCHANGE
開場18:30 開演19:00
12/25(日) 心斎橋SOMA
開場16:30 開演17:00
前売:4500円+ドリンク代 10/29(土)~一般発売
【近藤晃央・ライブ情報】
ONE MAN LIVE 2017『分泌音』
2017/1/27(金)名古屋・E.L.L
開場18:30 開演19:00
2017/1/29(日) 東京・Shibuya WWWX
開場16:00 開演17:00
前売:4500円+ドリンク代 10/29(土)~一般発売
【ダイスケ・ライブ情報】
5th Anniversary Tour 2017 No You No Live ~A NEW DEPARTURE~
2017/3/17(金)名古屋・ell.FITS ALL
開場18:30 開演19:00
2017/3/19(日)大阪・ROCKTOWN
開場16:30 開演17:00
2017/3/26(日)東京・WWWX
開場16:00 開演17:00
チケット料金:前売り4500円(税込み/ドリンク代別) 全席自由 12/3(土)~一般発売