誕生日前夜となったライブで心を込めて熱唱したMISIA。

誕生日前夜となったライブで心を込めて熱唱したMISIA。

 歌手のMISIAが6日、東京・NHKホールで『MISIA星空のライヴⅨ PREMIUM LIVE』の初日公演をおこなった。これは5月3日、4日、5日のゴールデンウィークにおこなわれた山梨県・河口湖ステラシアターでのライブの追加公演で、東名阪と全5公演を開催する。NHKホールでは6日と7日の2DAYSがおこなわれ、誕生日前日の6日初日公演でMISIAは「1年の締めくくりとして最後のライブを歌い残しがないように心込めて歌っていきます」と力強く宣言。新曲「SUPER RAINBOW」も初披露し、ディーバと呼ぶにふさわしい圧巻の歌声で訪れたファンを魅了した。

■誕生日前夜のライブ心込めて歌っていきます

 ジャジーでムーディーなBGMがNHKホールに流れる。会場は幅広い年代のオーディエンスで埋め尽くされていた。ステージには楽器が整然と並ぶ。そして、定刻通りに開演を告げるブザーが響いた。しばらくすると会場の照明はゆっくりと暗転した。

7月6日にNHKホールでライブをおこなったMISIA

7月6日にNHKホールでライブをおこなったMISIA

 大きな拍手のなか、バンドメンバーが登場。そして歓声が響き、大きな羽根飾りのヘッドドレスを身につけたMISIAが姿を現した。いきなり大地を揺るがすような歌声のフェイクから「久しぶり〜楽しんでいこうね!!」とオーディエンスに投げ掛け、オープニングナンバーは「BELIEVE」でライブはスタートした。エモーショナルなコーラス隊とMISIAの伸びやかで、どこまでも届いていきそうな圧巻の歌声で、オーディエンスを釘付けにした。

 そして、ヘッドドレスを外し「陽のあたる場所~KEY OF LOVE」とメドレーで繋げていく。オーディエンスは、彼女の歌声に吸い込まれていくような感覚に酔いしれた。歌いながら軽快で鮮やかなターンを魅せるMISIA。体全体を使ってパワフルに歌い上げていく。「KEY OF LOVE」では、果てなく続きそうなほどの驚きのロングトーンを披露し、オーディエンスから大歓声が上がった。その歌声を引き継ぐかのように入ってくるサックスの音色と、MISIAの歌声が絡み合い絶妙なアンサンブルを聴かせた。

 「Color of Life」では原曲よりも疾走感のある演奏で会場を盛り上げていく。4つ打ちのバスドラムにコンテンポラリーなギターフレーズが絡みついていく。JINO(Ba)のソロパートはギターを思わせるような速いパッセージのフレージングで曲のアクセントに。そして、コーラス隊の伸びやかでエモーショナルな歌声から「Re-Brain」へシームレスに繋げていく。バンドが作り出すファンキーなアレンジの演奏に自然と体が揺れる。

 MCでは「明日が38歳の誕生日ということで、37歳最後のライブを歌い残しがないように心込めて歌っていきます。次の曲はこの前の河口湖でもやったんだけど、一夜限りではもったいない」とデビューシングルでもある「つつみ込むように…」を披露。バンドが奏でる極上のグルーヴに乗って、心の奥底にまで響いてくるかのような、存在感のある力強い歌声で魅了していく。エンディングでは照明がMISIAに集中し、ミューズ(女神)のような神々しさを放っているようだった。

■みなさんのアモーレMISIAです

 深い水の中にいるようなライティングと映像の中、躍動感あふれるストリングスが響き渡る。「真夜中のHIDE-AND-SEEK」では、そのストリングスにジャジーなピアノが彩りを添え、その上にソウルフルなMISIAの歌声が乗る。そして、アグレッシブなスラップベースのイントロが印象的だった「BACK BLOCKS」へ。イントロで優雅な踊りを魅せるMISIA。そこから醸し出されるリズムがオーディエンスを扇情させた。

7月6日にNHKホールでライブをおこなったMISIA

7月6日にNHKホールでライブをおこなったMISIA

 会場から「アモーレ!」と叫ぶ声にMISIAも「みなさんのアモーレ、MISIAです」と反応し会場を和ませた。MCではサポートメンバーとの思い出を語る。そして、「歌を聴いて季節を思い出す曲。この曲がその一つになってくれたら嬉しい」と想いを語り、歌い始めたのは「あの夏のままで」。そして、壮大なバラード「オルフェンズの涙」を披露。血のような真っ赤な照明が、楽曲の持つ世界観をより一層際立たせていく。ダイナミクス豊かに曲の情景を映し出すようなリアリティある歌を聴かせていくMISIA。

 続いて、七夕にちなんだ曲を歌ってみたいと思い作ったという曲「星の銀貨」を披露。イントロでのオーディエンスとのコールアンドレスポンスも決まり、後半戦の始まりを盛り上げていく。高音から低音まで幅広い音域を駆使し、ダイナミックに歌の表情をつけ歌い上げていく様は圧巻。

 「HOPE & DREAMS」と「We are the music」の軽快な楽曲メドレーにオーディエンスも一体感のある手拍子を見せ、体もリズムに身を任せ揺れていた。そして、上手、下手へとステージを走り、オーディエンスに向かい笑顔で大きく手を振るMISIA。オーディエンスは、ポジティブで希望感あふれる楽曲と生命感あふれる歌声に酔いしれた。「We are the music」でのリズムに乗って動くMISIAはセクシーで、時折見せる無防備な笑顔が印象的に映った。このギャップもまた魅力的でオーディエンスの心を掴んでいた。

 そして、ストリングスの壮大なイントロから「幸せをフォーエバー」へ。丁寧にステージから想いを届けていく。抑揚をつけた歌声は、寄せては返す波のような、心地良さを与えてくれた。その歌声に静かに耳を傾けるオーディエンス。MISIAは、エンディングで自分の両肩をしっかりと抱きしめるように手で掴んだ。

 「アメイジンググレイス」のピアノイントロから「THE GLORY DAY」を演奏。ピアノの音色が天から降り注ぐような感覚。その降りそそぐ音を受け止めるような仕草を見せるMISIA。バンドが出すサウンドの上を自由にフロウしていく。開放感あふれる歌声で本編を終了した。

■新曲「SUPER RAINBOW」を初披露

 アンコールを求める手拍子。ブルーのライトに照らされたステージは、機材の明かりによって星空のようにも見える。鳴り止まない手拍子の中、ステージに明かりが灯りバンドメンバーがステージに再び登場した。そのあとに続くように小走りで戻ってきたMISIAに大きな歓声が降りそそぐ。

7月6日NHKホールでのもよう

7月6日NHKホールでのもよう

 「愛しい気持ちになるこの曲を届けます」と紹介し始めたのは、「Oh Lovely Day」。ニューアルバム『LOVE BEBOP』に収録されている軽快なナンバーに、オーディエンスも手拍子でグルーヴを一緒に作っていった。そして、「あなたにスマイル:)」ではタイトルのごとくステージから笑顔を向けるMISIAに、会場も自然と笑顔に包まれていった。オーディエンスによる「スマイル♪」のシンガロングも盛大にNHKホールに響き渡った。

 MISIAは「新曲が出来ました!(披露するのは)まだ早いかなと思ったりもしたんですけど」と話すと、会場からは割れんばかりの歓声がステージに届けられる。「日々を頑張る人の背中を押すような、歌を作りたいなと思う気持ちから生まれた曲です」とラストは、7月22日に発売が発表されたばかりの新曲「SUPER RAINBOW」を初披露。「We are the music」のようなダンサブルなグルーヴを前面に出した楽曲に、会場のボルテージは最高潮に。大空に掛かる虹のようなカラフルなサウンドと、新曲というサプライズによってオーディエンスの心を満たしていった。「またみんな一緒に過ごそう、また逢おうね!!」とファンに投げかけ、MISIAの新たなアンセムソングとなる予感がする新曲で「星空のライヴⅨ PREMIUM LIVE」の初日の幕を閉じた。

 存在感のあるソウルフルな歌声と楽曲、そしてバンドが出すグルーヴィーなサウンドに魅了された。終演後のオーディエンスの笑顔が、このライブの素晴らしさの全てを物語っていた。余すことなくMISIAのエモーショナルな魅力が詰まった夜であった。なぜこうも人は音楽に引き寄せられるのか、その答えがMISIAのライブで垣間見えた。そして、アルバム『LOVE BEBOP』を引っさげ、約4年ぶりとなる『THE TOUR OF MISIA LOVE BEBOP』をおこなうことも発表したMISIAが、どのようなライブを観せてくれるのか楽しみに待ちたい。(取材・村上順一)

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