背中を合わせて演奏する、鈴木研一と和嶋慎治(撮影・ほりたよしか)

背中を合わせて演奏する、鈴木研一と和嶋慎治(撮影・ほりたよしか)

 3人組ロックバンドの人間椅子が10日、東京・新宿ReNYで夏の全国ワンマンツアー『地獄の道化師』の東京公演を開催した。新旧幅広い楽曲を披露。和嶋慎治(Gt.Vo)が「いろんな所を回って来て、相当脂が乗っております」と自信を覗かせたように、これまでの集大成を見せるような圧巻のパフォーマンスで観客を魅了、新宿の夜を、地獄のように真っ赤な熱気で彩った。

 今回のツアーは、6月29日の長野公演を皮切りに全国8公演をおこなうもので、8月9日に仙台、8月11日に青森でファイナルを迎える。この日の東京公演は6公演目で、ツアーラストに向けて更に勢いを付ける熱気に満ち溢れたライブとなった。

 豪勢なシャンデリアが吊り下がる半円状の会場。黒いツアーTシャツを着た観客で埋め尽くされた会場を、2階席のホール側壁面に設置された電光掲示板の“Ningenisu”という文字が、赤く照らす。恒例のSEである「此岸御詠歌」が会場に流れてくると、メンバーがステージに現れ、歓声が上がった。

 冒頭から息の合った鈴木研一(Ba.Vo)とナカジマノブ(Dr.Vo)の織りなすグルーヴと、咆哮する和嶋のチェリーレッドの「ギブソンSG」が相まり、会場は地獄さながら観客の燃えるような熱気で満たされた。和嶋は「暑い中、どうもありがとう。僕らもツアーで色んな所を回って来まして、今日は相当脂が乗っております! 最高のパフォーマンスをお見せできると思います!!」と冒頭の演奏で確信させ、今夜の最高のコンディションに自信を覗かせた。

 さらに「『地獄の道化師』ツアーはリリースツアーではないので、色んな時代の曲を散りばめてやっていこうと思ってますよ」と語り、今夜は「人間椅子」の長い27年間のアーティスト活動を総括するようなライブとなることを宣言。

脂の乗った演奏を見せた和嶋慎治(撮影・ほりたよしか)

脂の乗った演奏を見せた和嶋慎治(撮影・ほりたよしか)

 そして、披露された「天体嗜好症」では、和嶋が最近購入したというテルミン(編注=ロシアの電子楽器でアンテナを使って音程を調節する)を使用。観客は、一気に宇宙空間へとワープしたような感覚を味わい、恍惚感に酔いしれた。和嶋は「レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジさん(Gt)で、有名でございますね」と“新兵器”を紹介した。

 鈴木が「プロになると、テルミンだけでメロディを奏でられるらしいですよ。和嶋くんは、どうなんですか?」と和嶋がどれくらい使いこなせるのかを尋ねると、和嶋は「全然まだまだですよ。あと3年くらいかかりますよ。そしたら、メロディも多分やれると思います」と答え、「3年もかかるの?!」と鈴木は厳しいプロとしてのテルミン奏者への道に驚嘆した。

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