あっという間のデビュー半年、NakamuraEmi 自信を支える仲間の絆
INTERVIEW

あっという間のデビュー半年、NakamuraEmi 自信を支える仲間の絆


記者:村上順一

撮影:

掲載:16年07月13日

読了時間:約20分

自分のスタイルが出来たらいいな

NakamuraEmi(撮影・Rui Hashimoto・SOUND SHOOTER)

NakamuraEmi(撮影・Rui Hashimoto・SOUND SHOOTER)

――この前のワンマンライブの時は1曲ごとに丁寧に「こういう曲です」と説明をされていましたが、その裏に隠れたテーマなどがあったりするのでしょうか? 例えば「めしあがれ」は家族の事を歌った曲だと仰っていましたが、その裏に別のテーマが実はあったりとか。

 裏テーマという風に考えている訳ではないんですけど、曲を歌う前の説明では言い切れないし、言ってしまえば押し付けがましいし、どう受け取るのかは人それぞれなのかなとは思っています。もともとが、人の為にというよりかは自分の為に曲を作っていたので、「こういう時に作ったからこういう言葉ができました」という感じですね。そこをみなさんがそれぞれの人生と比べ合わせて、想像ができて自分なりに解釈してもらえたらいいなというのがあるんです。プロデューサーともよく話しているんですけど、「この歌詞ってこういう事じゃないの?」って言われて「いや、本当はこういう意味です」という、私が考えている事が伝わりきれていない事ってすごくいっぱいあるんですよ。でもそれはそれで良いのかなと思っているんです。

――想像してもらう余白を残してあるということですよね。ライブで1曲1曲に紹介を入れるというのは昔からやっているスタイルなのですか。

 1人でやっていた頃からそうですね。私が他の人のライブを観ている時に、曲名だけよりもその人が何でその曲を作ったのか説明してくれた後に聴くと、すごく言葉が分かりやすかったり、言葉を聴こうとするので、最初にチラッと話すようにはしているんですよ。でも音楽業界にいる方だったり、ライブに慣れている方だったりすると、ちょっとそれが邪魔くさかったり、そのまま曲の流れのストーリーみたいな展開がワンマンライブの基本だったりすると思うので、そこが引っかかる方ももちろんいますし。松山千春さんみたいに1曲1曲の間に自分の考えやいろんな思いを挟んで構築されている方もいます。とにかくこれから試行錯誤して、説明をせずにこれなら伝わるとか、そういうのはライブをいっぱいおこなって、自分のスタイルが出来たらいいなと思っていますね。

――1曲1曲説明してもらえるのは個人的にはすごく新鮮だと思いました。なるほどと思う部分もあるし、テーマを教えてもらえると歌詞を「聴こう」としますよね。

 そうなんですよね。

――ライブで歌う時とレコーディングで歌う時では、意識的に歌い方を変えたりしている部分はあるのでしょうか?

 ライブのそのままの歌の感じがレコーディングで出せたらいいなというのがあるので、基本はライブとレコーディングで歌い方を変えるという事はないんですけど、でもライブでどんどんいろんな事に挑戦して進化して、“ライブが変わっていく”のは目指すべきところだなと思います。

――ライブでのサポートメンバーというのも、歌うということにあたって変わってくる要素だと思いますがどうですか。

 やっぱり全然違いますね。

――サポートメンバーのプレイによって変化もあったり?

 それはすごくありましたね。今回はドラマーが変わったんです。今まで一緒にやっていたドラムの河村亮さんは一緒に歌を歌ってくれるようなプレイスタイルだったんです。今回のドラマーのTOMO KANNOさんはリズム、グルーヴ重視の方なんですよ。私は両方ともすごく好きなんですよ。前のドラムプレイで歌っていた時はすごく流れるように歌わせてもらっていたんです。でも今回のドラムプレイに今までのように流れるように歌っていたら、いい意味で私の歌詞が潰れちゃうと思いまして。前のドラマーがいたからこそ色んな曲が進化したので、その進化した曲に自分の歌が進化できていなかったんです。そこへのパワーアップの仕方というのはレコーディングからとても苦労しましたね。

――5月のワンマンツアーでドラムを担当していたTOMO KANNOさんは、ライブハウスで見つけられた方なんですよね?

 そうなんです。こんなに私好みのドラムを叩く人がいるんだと思って。私が好きなジャズシンガーさんがいて、その方が地元のジャズクラブに来るというので観に行ったんです。その時に彼がたまたま地元でセッションをやっていて、そこで一目惚れをしてそこから2年間くらい空いて…。地元が一緒だというのでちょこちょこメールとかはしていたんですよ。でも彼はその時、MISIAさんのツアーを回っていたし、ニューヨークにも居たので、いつ日本に帰ってくるか分からななかったんです。

 本当はニューヨークに住む予定だったらしいんですけど、去年の4月あたりから日本に帰ってきていたので「是非会ってもらえませんか」と声を掛けに行ったんです。そうしたら音源を聴いてくれて「こういう音を作っているのなら僕もやってみたい」と言ってくださったんです。その時はすごい嬉しかったですね。

――カワムラさんにすぐに相談に行ったそうですね。

 こっそりライブを録ったものを聴いてもらったんですけど、カワムラさんは「これはお前が大好きなドラマーだな」って言われました(笑)。

――ワンマンライブで気になった点があったのですが、アンコールは基本的にはやらないスタイルなのでしょうか。あのワンマンライブの時に、何を演奏するのか決めていなくて、急遽決めた感じがしたので。

 私はあまり、ワンマンはもとより、対バンでもトリでやる事がなかったんですよ。なのでアンコールをやるということが少なかったんですよね。この前のツアーはアンコール自体をやるのが久しぶりでした。私はアンコールはあくまで“アンコール”であるべきで、あらかじめセットリストに組まれている体ではなく、あくまでライブ空間における偶発的要素のボーナス的な楽しみで良いかなと。私は本番で出し尽くすスタイルなんですよね。

――アンコールもその一つだと思うのですが、何百人ものお客さんによって、発せられるエネルギーに感化され、いつも以上に変わる部分などはありますか。

 ありますね。やっぱりお客さんの真剣な目とか泣いている姿とか、とにかくここに居てくれているという事がそもそもありがたいですね。ライブに来る事ってまず時間をとるし、平日だったら仕事を終わらせてから来てくれたんだなとか、休んで来てくれた人もいるんだなとか、そういう「お客さんがここに居てくれる」という事がありがたいです。会場に出た瞬間に感情がブワーってなりますね。「ここに来てくれたんだな」というのが一番大きいです。

――音楽をやられてる方は感覚的に「いつもとは違うゾーン、いつも以上に高揚感を得られる状態の瞬間がある」という話を聞いたことがあります。長年やっていてもゾーンに入ったことがない方もいるみたいなのですが、Emiさんはそういう感覚をライブで感じた事はありますか。

 それはまだ私は経験が少ないので分からないですね。ワンマンでその域に行くにはもっともっと頑張らないとダメだと思います。逆に、知らない人達がいっぱいいる中でその人達が湧いた時は「やれたんだ」という気がしますけど、基本ワンマンに来てくれるということは、好きな人達がコンサートに来てくれて、その有頂天の状態になるというは相当なものだと思います。

 ワンマンという事は、有頂天の状態にさせてもらっている、全員が私を観に来てくれている、すでに温かい状況という中で、私も温かい気持ちで出来るライブだからこそ、そのゾーンというとんでもない状態に行くという事は、MCを含めていろんなステージング、魅せ方も含めてその状態に行けるんだと思います。

――その領域に行けるのも楽しみの一つですね。メジャーデビューから半年を走ってこられて。先ほども話しておられましたが、ご自身が告知しなくてもライブに集まってくれる、という事も含めて、今すごく自身もバンドも良い状態だと思うのですが「この環境が崩れてしまったらどうしよう」という不安はありますか。

 崩れたらというのは平気ですね。もちろん、みなさんに迷惑をかける事はたくさんあるので、崩れるという事はとにかくしないように反省をしたり、目標は絶対に立ててやっていくという事ですね。とにかく目標をクリアしていくという事しか今は考えていないですね。今みんなですごく必死にやっているので、もしこの形が崩れたとしても何か違う形でこのメンバーとはまた一緒に何かを作れるんじゃないかとか、その人間関係が支えになっていますね。もちろんこの状態が崩れないようにはするけど、もし崩れちゃったとしても何か違う形でやっていけるんだろうなという自信はあります。

――その自信はデビュー前から持っていたものですか。

 そうですね。それはデビュー前から変わらないですね。何か失敗しても大きな目標には到達できるように頑張っていれば絶対できるなと。プロデューサーからいつも教えてもらって、そういう精神的なものは出来たと思います。

この記事の写真

写真はありません

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事