ジャンプ地獄

タナカヒロキ(Gt)

タナカヒロキ(Gt)

暗転したステージ。柔らかな白熱灯の明かりが灯ると、アコースティックギターを携えカナタが登場。「久しぶりツイッターで10周年って呟いて、ああ、10年、この同じメンバーでやってこれたんやなあと思って。なので、この特別なときに、僕も何か特別なことがしたいなと思いました。弾き語りやろうと思います、聴いてください」と語り「Ray」を演奏。カナタの綺麗なファルセットを交えた歌唱を、アコースティックギターの温もりのあるサウンドが一層引き立てる。続いて、「次の曲は絵本を読んで書いた曲です。その絵本には一つ大きなテーマがあって“愛は与えられるものじゃなくて、与えるもの”で、僕もできるだけそう生きていきたいなと思ってこの曲を書きました」と
「大きな木」を弾き始める。“君になら騙されていいよ”とカナタなりの愛の表現を施した歌詞が、指で弾かれるアコギの優しい音で包まれる。観客は静かに、その癒しの世界観に魅入った。

 カナタがステージを去り、アサカワとヤマモトが戻り「さあ、赤坂の皆さんこんばんはー、後半戦、身体自由に動かして楽しんでいきましょう!」と叫び、会場のチルアウトな雰囲気に再びロックな熱気が戻る。アサカワのドラムに合わせて、ヤマモトがモニターに足をかけながら、ダンサブルなラインを奏でる。そこにタナカが登場し「後半戦は“ジャンプ地獄”ですわ」と観客を煽りギターを掻き鳴らす。再びカナタが戻り、4人が出揃うと「Wait?」が始まった。16ビートのグルーヴに観客は歓声を挙げリズムに乗る。“まだ夜は長い”とカナタの歌声が響き、後半戦の宴を再び盛り立てる。ヘヴィなサウンドに怪しげな色気をまとったボーカルが響く「ドリルドリル」を立て続けに演奏。会場は本当にタナカの忠告通り、歓客がジャンプしっぱなしの“ジャンプ地獄”。

カナタが「オーケー赤坂!次の曲はみんなのカウントで行きたいと思います、今日一番の一体感ください!」と叫び、アサカワのドラミングの中、観客と一緒に1234のカウントでバンドは「正常な狂気」を始める。サビで会場は“ウォウウォウオ ウォーウォー”の大合唱。

タナカが「膝大丈夫ですか、僕はヤバいです。10周年の記念すべきこのツアーはいつものワンマンよりも曲数が多くなって。いつもは体力の問題で、これより少ないんですけど。今頑張らんでいつ頑張るんや、と思って。メンバーチェンジも脱退もなく、このメンバーでゆっくりやけど、10周年迎えられたのは僕らの小さな誇りです。今来てくれてるみんなに本当に聴いて欲しい曲をやります、聴いてください」と拍手の中始まったのは「end-end 」タナカが2012年に起こしたバイク事故で死の淵を彷徨った経験から「人に与えられた心拍数が、初めから決まってたらどうやって生きていくんだろう」と思って作った楽曲。リバーブのかかったタナカのギターと“the heartbeat”のコーラスが美しく交錯する。最後はアサカワの叩くバスドラが鼓動する心臓のように会場に響いた。そして本編が終了。

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