東名阪ツアー初日を渋谷CLUB QUATTROで飾ったLEGO BIG MORL

東名阪ツアー初日を渋谷CLUB QUATTROで飾ったLEGO BIG MORL

 ロックバンドのLEGO BIG MORLが19日、東名阪を回るツアー『LEGO BIG MORL Tour 2015 “Something New”』を東京・渋谷CLUB QUATTROでスタートさせた。

LEGO BIG MORLのインパクト

写真=LEGO BIG MORL東名阪ツアー[9]

 17日にリリースした自身9枚目となるシングル「Strike a Bell」は、奥行きを感じさせるサウンドと、新鮮さを感じさせるハーモニーがあふれる作品だ。かつて80~90年代のイギリスのネオアコースティックやシューゲイザーなどのバンドに憧れ、そのサウンドに触れながら私は「こんなバンドが日本にいたら」と、考えたことがあった。

 彼らの音に触れたときに受けたインパクトは、まさにこのときに感じた思いに対する答えの一つ、そんな印象だった。彼らのサウンドの中にあるメロディやハーモニーには、そう思わせられるセンスが感じられた。

 2006年に結成されたバンドは、カナタタケヒロ(VOCAL&GUITAR)、タナカヒロキ(GUITAR)、ヤマモトシンタロウ(BASS)、アサカワヒロ(DRUMS)の4人で構成され、現在までに4枚のアルバムと、9枚のシングルをリリース、大阪を拠点に精力的な活動を続けている。

写真=LEGO BIG MORL東名阪ツアー[7]

 その彼らが行ったこの日のライブは、単なるステージではなく、まさしく今回のツアータイトル「Something New」が示す、LEGO BIG MORLが模索している新しい何かが披露されたようなステージだった。今回は、渋谷CLUB QUATTROで行われたツアー初日のステージの模様をレポートする。  【取材・桂 伸也】

セットリストの大胆さ

 予定の時間を少し過ぎた頃、いよいよスタートのときがやってきた。「Welcome to…Welcome to…Something…Something New!」SEにまぎれて発せられたその言葉を契機に、4人はステージに現れた。その登場にフロアの観衆は「待ってました」とばかりに心を高鳴らせ、大きな声を上げて彼らを迎えた。そんな大勢の観衆をステージから眺め、嬉しそうな表情を見せていたカナタ、タナカ。

写真=LEGO BIG MORL東名阪ツアー[10]

 この日のステージは、先述のシングル「Strike a Bell」に収録された3曲と、昨年発表された4枚目のアルバム『NEW WORLD』からセレクトされたナンバーを中心に、さらに何曲かの新曲を積極的に織り交ぜたセットリストにて行われた。1~2曲の新曲を、タイミングを考えてステージに組み込む例はあるが、この日ステージに組み込まれた新曲の数は、大胆と思えるほどのものだった。

 当然ながら当初はいきなりの新曲のプレーと、既に発表されている楽曲では、観衆の反応に差が現れたが、タナカが新曲のプレーに対して「『(この曲)いきなり知らんわぁ』とか思うてる人がいっぱいいるやろうけど、安心しろ、誰も知らんから」と、軽いジョークでジャブを入れると、会場の雰囲気は変わり、観衆は彼らのサウンドにより深く身をゆだねて楽しんでいるように見えた。

 ゆったりとしたサウンドの曲では、じっと彼らの音に耳を傾け、激しいビートの曲では皆、腕をピンと伸ばしてステージの彼らを指差し、ときには会場がゆれるほどのジャンプ。さらに『NEW WORLD』の収録曲「RAINBOW」では、曲の頭にコール&レスポンスを楽しんでみたり、ニューシングルのタイトル曲「Strike a Bell」では拍手によりビートをサポートしてみたりと、進み行くライブの中で、会場の熱気はどんどん増していき、観衆と彼らの一体感は並のものではな強さも感じられた。

曲の芯にある独自色

写真=LEGO BIG MORL東名阪ツアー[4]

 安定感のあるアサカワのドラムに、太く豊かさを感じるヤマモトのベース、そしてLEGO BIG MORLのサウンドを特徴付ける一番の要因ともいえる、タナカのギター。リズミックなカッティングにディレイを効かせたそのギターは、ときにU2のエッジを彷彿とするような空間を、バンドサウンドの中に作り出す。その広々とした空間に同調するような詞に乗せ、カナタのボーカルがバンドの作り出す物語を綴っていく。

 曲調や細かいアレンジによる味付けの違いはあれど、どの曲にも芯には「LEGO BIG MORL」ならではの独自のカラーを感じさせ、そのサウンドに観衆は安心感と興奮という、一見相容れないと思われる感覚を同時に受ける。そんな感覚がステージ開始から常に会場にあふれ、ラスト曲、アンコールまであっという間に時間は過ぎていった。

写真=LEGO BIG MORL東名阪ツアー[2]

 ファンたちは、突然披露された新曲に多少の戸惑いを感じていたかもしれないが、この日の観衆の表情にはそれを全く感じさせず、ライブを楽しんでいる様子しか見られなかった。単なるステージではない、まさしく今回のツアータイトル「Something New」が示すとおり、LEGO BIG MORLが模索している新しい何かが披露されたようなステージだった。

 LEGO BIG MORLのサウンドは、そのスタイルがはっきりと確立されている印象があるが、彼らはその事実に甘んじず、積極的に新たな試みに、果敢に挑戦する姿勢を見せ始めた。新たに発表された「Strike a Bell」は、まさにその序章を告げるナンバーともいえる。この日、このステージで鳴らされたその鐘の音は、訪れた観衆に強く鳴り響いた。同様に多くの人の心に鳴り響いていくだろうか? その道程には、今後も注目していきたいところだ。

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