トラトリ渋谷公演で魅せた、沙也加は歌声使い分け魅了
多彩な表情、そして音色を使い分けファンを魅了したTRUSTRICK
神田沙也加とBillyによる音楽ユニット・TRUSTRICK(愛称・トラトリ)が19日、東京渋谷・O-EASTで単独公演『RUSTRICK PREMIUM LIVE SUMMER “Garnet”』を開催。神田は歌声や表情を多彩に使い分けファンの心を奪い、Billyはアグレッシブなギターサウンドで演出した。当日の模様を以下にレポートする。 【取材・小池直也】
開演前、スタンディング形式のフロアは幅広い年齢層のファンでひしめき合っていた。どの顔も高鳴る興奮で笑顔に満ちていた。彼女達が登場したのはそんな時であった。突如として明かりが落とされるとSEが流れる。その音に誘われるようにギターのBilly、そして、神田の順でステージに登場。その姿に、割れんばかりの歓声が起こった。
オープニングを飾ったのは「highness」だ。イントロが始まると、赤と黒のセクシーな衣裳を身にまとった神田が舞い、スモーキーな歌声を聴かせた。照明は、彼女を妖艶に輝かせる。その姿にファンの心を刺激を受けていた。
間髪入れずに、2人の声が綺麗にブレンドしたロックチューン「wonder」やシンセサイザーが心地良く誘うポップな「Jealousy Jelly」、そして、アゲアゲなセットリストで駆け抜けていく。ファンが細かいクラップを神田とシンクロする場面も。大きく手を前後に振って歌声に合わせた。
「みんなこんばんはー!」と先ほどまでの霞の様な歌声とは裏腹に快活な声で挨拶すると「最後までがんがん行くけどOK?」。中東風のイントロで始まったのは「TRICK or HOLIC」だった。
神田を、スカートの色と同じ赤のライトが照らす。Billyもステージ前方で高揚を表現しているようだった。演奏も妖絶な曲調で盛り上がり、最後は歌だけが残るアレンジで締めくくった。
続けざまにザクザクとしたギターのカッティングから「永遠」へ。1度目のサビでいきなりバンドがブレイクするなど、巧みな展開で会場を魅了する。長い髪を振り乱してパフォーマンスする神田。演奏は宇宙的な中間部から転調して終わりへ着地していった。
それからも、サビの振付で神田の赤いマニキュアが見え隠れするのが印象的だった「Kaleidoscope」や、3拍子と4拍子が切り替わる構造を持った「Escape」と、比較的アッパーな楽曲をぶつけていく。
MCでは饒舌だった。会場を笑わせたり、叫ばせたりする神田。歌声だけでなくマイクパフォーマンスでもファンを楽しませていた。応援するファンたちも愛の溢れる声援を神田に送っていく。演奏中のクールな雰囲気と違う和やかなムードだ。
「ふわふわしてください」と神田が告げて、それまでの攻めの構成とは一転、さわやかな「キャミソール」を演奏。MC時の様に透き通った声で神田も歌う。曲によって声の質感を変えていくところもニクい。ギターがちゃらんとお洒落なコードで曲を締めると、ファンキーながらも明るい「Calico」。マイクをスタンドに置いて棒にすがりつく様に歌う神田。さらにエンディングでは猫の真似をして手を丸めながら、おどける様に音に合わせる。そんな細かいひとつひとつに不覚にどきっとさせてしまうのも彼女の魅力なのかもしれない。
そのままヴァンヘイレンを思わせるポップな「kissing」へ。神田は序盤を低音を中心に歌いながら、サビでファルセットへ飛翔していく。鳥が羽ばたいていく様に伸び伸びとした姿だ。バンドに合わせて飛び跳ね、しゃがんでファンにマイクを向けて歌わせるなど縦横無尽にステージを走りまわる。
ファンや関係者スタッフに至る全員に感謝を述べてから「ノンストップでいくけど大丈夫かー!」とエンディングに向けてギアをあげていく。
タイトルを叫んで始まった「beautiful dreamer」。明るい照明と相まってサビに向かってエネルギーが高まっていく。サビでは神田とBillyの掛け合いを聴かせた。神田が手を大きく振るとオーディエンスもそれに続いてO-EASTのフロアが大きな波を形成。一つになっていく。更に熱を帯びる演奏陣。歌うようなギターソロが華を添えた「FLYING FAFNIR」。トリッキーなコードが現れるこの日最高速楽曲「Ray of Light」と続けざまに見舞う。
そして「もっとこい!」とワイルドに煽って、本編を締めくくる「World’s End Curtain Call -theme of DANGANRONPA THE STAGE-」が鳴らされる。ワウの効いたギターをアクセントにゴリゴリのロックで攻めたてていく。フロアは依然としてうねりを止めないでいる。どうやら疲れを知らないらしい。曲中にスペースを見つけた神田が「エクストリーム!」と叫べば、まだまだ熱狂のレベルが上がる。限界を知らない会場とバンドは一体となってピークを保ったままジャンプとともにエンディング。暗転。
するとかなりテンポの速い手拍子とともにアンコールを求めるファンたち。
「トラトリ!」「トラトリ!」と彼らを何度も何度も呼ぶ。暫くして照明がついて大き目の白いライブTシャツと紫のショートパンツをおしゃれに着こなした神田をはじめとするトラトリが姿を現した。
歓喜の声が響く。また和やかな時間が訪れてからアンコールが「未来形Answer」のイントロを神田が歌って始まった。ハリのある声のハイトーンが響く。サビ前にバンドがばっちりユニゾンして、どかっとサビでテンションを上げていく。ギターソロを展開するBillyの肩に神田が寄り添うシ一幕も。今日一番の嫉妬を集めていた、と思いきや続く「On your marks!」で今日一番の大拍子で盛り上げる寛容なオーディエンス。コール&レスポンスもばっちり。突然スイッチが入る様なサビへの展開がクール。それに合わせて可愛く踊ったりニコニコ手を振る神田にたまらなくハッピーな気分にさせられる。その体一杯に使ったジャンプでアンコールが終わった。
しかし、ファンはセカンドアンコールを要求。
既にソールドアウトの決まっている7月の品川公演まで待てない、といったように大きな拍手を繰り返す。するとまたメンバーがまた姿を現した。「もう一回(セットリストの)最初からやりたい」とビリーが冗談を交えて、神田が「お礼にもう一曲」と「Sunny Day」を披露。爽やかなでポップな楽曲を少しハスキーな声で歌い上げていく。最後まで全身を使った大きなパフォーマンスを見せる。間奏でまた猫ポーズをとるサービス精神も忘れない。
そして楽曲は静寂を挟んでから最後のサビ、大団円へ向かっていく。気持ちよさそうに歌う神田。すがすがしく曲がエンディングを迎えた。
全編通してアッパーなセットリストで構成された熱い夜となった。これだけの表現を見せながら、まだ結成デビュー1年という2人。夏以降もフェスなどのライブが決まっている。
【セットリスト】
1.highness
2.wonder
3.Jealousy Jelly
MC
4.TRICK or HOLIC
5.永遠
6.Kaleidoscope
7.Escape
MC
8.キャミソール
9.Caliso
10.kissing
11.beautiful dreamer
12.FLYING FAFNIR
13.Ray of Light
14. World's End Curtain Call
-theme of DANGANRONPA THE STAGE-
EN1.未来形
EN2.On your marks!
EN3.Sunny Day
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