ベストアルバム『Lovers, Birthday, Music』を引っ提げて12月7日まで13公演を、対バン形式で繰り広げるLEGO BIG MORL(撮影・山川哲矢)

ベストアルバム『Lovers, Birthday, Music』を引っ提げて12月7日まで13公演を、対バン形式で繰り広げるLEGO BIG MORL(撮影・山川哲矢)

 4人組ロックバンドのLEGO BIG MORLが10月26日に、東京・SHIBUYA CLUB QUATTROで、全国ツアー『LEGO BIG MORL 10th anniversary tour 「Lovers, Best Music」』初日公演をおこなった。結成10周年を記念するとともに、6月発売のベストアルバム『Lovers, Birthday, Music』を引っ提げて12月7日まで13公演を、対バン形式で繰り広げる。但し、初日公演のみは彼ら単独での出演となる。年内最後となるこのワンマン公演では感謝を込め、全18曲を熱演。幕を開けた全国ツアーに弾みをつけた。来年3月28日には新木場STUDIO COASTで10周年を締めくくる『LEGO BIG MORL 10th anniversary SPECIAL LIVE』を開催する。

感謝を伝えるライブ

カナタタケヒロ(Vo.Gt)(撮影・山川哲矢)

カナタタケヒロ(Vo.Gt)(撮影・山川哲矢)

 LEGO BIG MORLにとって今年最後となるワンマンライブ。会場には多くのLovers(ファンの呼称)が駆けつけていた。定刻に暗転するとオープニングSEとともにメンバーがステージに登場。大歓声と手拍子の中、楽器をスタンバイ。カナタタケヒロ(Vo.Gt)のギターストロークが爽やかに会場に響き渡り、「渋谷行くぞ!」の掛け声でライブの幕を開けた。序盤からどこまでも突き抜けるようなカナタの歌声と、バンドのスケールの大きなサウンドが会場を包み込んだ。

 タナカヒロキ(Gt)が「このワンマン初日に来てくれた人に感謝を伝えるライブにしようと4人で話し合いました」そして、「自分たちのベストを尽くすライブになればいいな」と今回のライブへの想いをMCで語った。「ベストを聴いてきたから大丈夫だと思っているでしょ?」とLoversを煽ると、ベストには収録されていない楽曲も披露。一筋縄ではいかないセットリストでLoversを魅了していく。

 ライブの流れの中で一つのハイライトとなったミディアムナンバーのセクションでは、叙情的な秋の季節に溶け込むようなギターアルペジオが楽曲の世界観を強固なものにする。Loversもそのバンドが作り出すサウンドスケープに酔いしれているようだった。

 アサカワヒロ(Dr)のサンプラーを使用したドラムソロで会場を盛り上げ、ヤマモトシンタロウ(Ba)の歪んだワイルドなベースサンドに導かれるように「Wait?」へ突入。リズムチェンジなど楽曲の構成にギミックを入れ、聴くものの感情に揺さぶりをかけていく。良い意味で節操のないアグレッシブなナンバーで高揚感は高まっていった。Loversの盛り上がりに呼応するかのようにステージ上も激しいステージングを魅せた。

 MCではタナカが「感謝のライブにしようと言ったものの、こんなにしんどいとは思わなかった。すでにアンコールぐらいのテンションです(笑)」とユーモアを交えながらも過酷なステージを語った。そして、「みんなとの信頼関係があるから、MCをほとんど挟まずぶっ通しでやりました! 今日(バンド)が終わってもいいと思うぐらいの気持ちでやっていきます!!」と10年前に初めて制作したオリジナル曲「乱反射」を披露した。

ライブの模様(撮影・山川哲矢)

ライブの模様(撮影・山川哲矢)

 ここからLEGO BIG MORLの歴史が始まったと言っても過言ではない曲。眩い光の中、演奏する彼らのシルエットに10年の重みを感じた。ステージ上でもメンバーが目を合わせながら楽しんでいる姿が印象的。そして、「Strike a Bell」ではLoversの<行こう 行こう 行こう 希望へと♪>とシンガロングが会場に盛大に響き渡り、バンドとLoversの絆を確かめ合った瞬間であった。

 「一緒に歌いましょう」とカナタが投げかけ、開放感あふれ体がフロウしていくようなナンバー「RAINBOW」を演奏。虹のようなカラフルでスペーシーなサウンドは、何もない空間に絵を描くように紡がれていく。そこに美しいメロディラインが乗り、カナタの声がその絵に彩りを加えていくようだった。

 MCでタナカが「10年バンドを続けるってすごいことだと思いました。さらにここでワンマンが出来るって絶対当たり前じゃないです。もう感謝しかないです」と想いを告げた。1stシングル「Ray」ではメロウなナンバーながらも熱い情感の込めた歌をダイナミズム豊かに聴かせてくれた。楽曲自体が意志を持った有機体のような躍動感に満ち溢れていた。物語を読んでいるかのように様々にシーンを変えながら、聴くものの心の中に音が浸透していくようだった。

 アンコールを含め全18曲、オルタナティブでダンサブルなナンバーから、メロウなミディアムナンバー、新旧織り交ぜたセットリストで、LEGO BIG MORLの10年間の感謝の気持ちを我々にぶつけてくれた清々しいライブであった。タナカが「3月28日の新木場STUDIO COASTは違うベクトルで臨みたい」と語っていたように、対バンツアーを経て東京に戻ってきた彼らはどのようなライブを魅せてくれるのだろうか。(取材・村上順一)

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