運命とは何か、LAMP IN TERREN「亜人」テーマ曲で出した答え
INTERVIEW

運命とは何か、LAMP IN TERREN「亜人」テーマ曲で出した答え


記者:村上順一

撮影:

掲載:16年05月12日

読了時間:約18分

ギターの大屋真太郎が正式に復帰し、4ピースバンドとして新しいスタートを切ったLAMP IN TERREN

ギターの大屋真太郎が正式に復帰し、4ピースバンドとして新しいスタートを切ったLAMP IN TERREN

 ロックバンドのLAMP IN TERRENが5月3日に、1stシングルとなる「innocence/キャラバン」をリリースした。「innocence」は、劇場アニメ3部作『亜人』の第2部となる『亜人 -衝突-』の主題歌。昨年5月に始まった制作は試行錯誤を重ねての難産だったというが、原作を読んだ時に“運命”というテーマがふと降りてきたと松本大(Vo.Gt)は話す。LAMP IN TERRENでは初めてピアノを大胆に取り入れ、曲に感情を持たせることを大事にした。このシリアスで緊張感のある同曲はどのようにして作られたのか。そして、バンド結成記念日である昨年10月24日に、創設メンバーであったギターの大屋真太郎が正式に復帰し、4ピースバンドとして新しいスタートを切った。大屋真太郎が復帰した経緯や、バンド創設時の話、メンバーの音楽のルーツなど4人に話を聞いた。

何か欠けた状態で進んで行ってしまった

――大屋さんが昨年から復帰されましたが、その経緯を教えてください。

大屋真太郎 僕はバンド創設時からのメンバーで、進学のために一時的に脱退しました。進学した大学は東京で、その頃、バンドのメンバーも東京で活動していて、一度だけ一緒に演奏をしたんです。でも、自分の限界を感じてしまって…。そこで正式に脱退という結論を出しました。バンドは、僕が脱退した後、「RO69 JACK」や「MASH FIGHT Vol.2」というコンテストで優勝して、デビューしました。

松本大 コンテストで優勝したのは(大屋)真ちゃんが脱退して2年後なんですけどね。音楽的には完成系ではあったんですけど、僕らとしては何か欠けた状態で進んで行ってしまった。1枚目のアルバム『silver lining』が出来た時に、何か背中を押されたような気がして、僕から真ちゃんに「戻ってきてほしい」と声を掛けたんです。

――誘われた時はどうでしたか。やはり考えましたか。

大屋真太郎 その時はふたつ返事に近かったんです。というのも、戻りたい気持ちはあったけど、その気持ちも言えなかったんですよ。(松本)大も僕が一度バンドを離れてしまっているので、その話をするのも大変だったと思うんです。それを踏み込んで、改めて僕を誘ってくれて「もう一度力になりたい」と返事をしたんです。

――松本さんが大屋さんに声を掛けたのはいつ頃ですか。

松本大 一昨年の9月か10月ぐらいだったと思います。なので2枚目のアルバム「LIFE PROBE」の時はレコーディングスタジオに真ちゃんはいたんですよ。

――スタジオではギターを弾いたりしたのでしょうか。

大屋真太郎 ギターを弾いたりはしなかったです。その場に居ただけなんですけど。そこに居ただけでも勉強になりました。

松本大 「multiverse」のコーラスに参加はしてましたけどね。

――大屋さんが復帰したことによってサウンド面の再現度が高くなったと思うのですが、ワンマンツアーを経て印象が変わった曲はありましたか。

中原健仁 ありましたね。僕らが鳴らしているだけだった音源を、ライブをおこなってお客さんにも馴染むことで別の曲になっているような、さらに色が付いて見える世界が広がっているようなイメージですね。曲でいうと僕は「林檎の理」ですね。ライブの頭に演奏すると凄く気合が入るんです。「大丈夫、今日は間違いない」と自信が持てる強い曲になりましたね。

松本大 最初のイメージからずれた曲はないですね。ファンのみんなが自分の曲として、十人十色の楽しみ方をしてくれていると思います。「multiverse」のような皆んなで歌う曲では、僕が意図したものをちゃんと汲んでくれているのかなと思うんです。

大屋真太郎 僕が入る前と入った後では「メイ」は結構変わったと思います。僕が入る前はオケを同期(編注=録音してあるもの流すこと)させてギターを出していたのが、生に変わったことは大きいかなと思いますね。生々しさが加わったことによって、命の厚みや重さが増しているような感覚ですね。「メイ」は歌詞もパワーがあって、ファンの方にも浸透していって、そのパワーがどんどん大きくなっていってると感じました。

川口大喜 僕は「緑閃光」ですね。あの曲自体が凄くエネルギーを持っているんですけど、4人になったことで更にエネルギーが増しているような気がして、後ろでドラムを叩いているのでメンバーやお客さんが見えるじゃないですか。一瞬ですけど、一体になれる瞬間があるんですよね。サビも真ちゃんが入ったことによって、原曲に入っているE-BOW(編注=ロングサスティーンを生み出すアタッチメント)もライブで再現できたので。

――大屋さん加入以前はE-BOWのパートは同期で出していなかったのですか。

松本大 これは3人の音しか出してなかったです。

川口大喜 なので「緑閃光」は変わったなという印象はあります。

――メジャーデビューして1年が過ぎましたが、環境や心境の変化はありましたか。

中原健仁 バンドの変化はありましたね。曲の作り方が今までは弾き語りで作っていたんですけど、最近は(松本)大がパソコンの作曲ソフトを使って、デモの時点で骨組みがしっかりしているんです。例えば主人公がいて、その主人公が歩いているのか走っているのかというような、わかりやすいものになったんです。そこにバンドで色付けをしていくということが増えました。

――デモの時点で割と完成系に近い?

松本大 ほぼ近いですね。

――松本さんがメンバー皆さんの演奏をイメージして打ち込むんですか?

松本大 そうですね。打ち込みをする時点で「あいつならこうするだろう」というのが見えてるので。その上で彼らが挑戦したことがないようなこともアプローチはするんですけど、別にこの通りにならなくても全然良くて、そのまま行くこともあれば違う感じになることもあります。

――もらったデモで演奏面で困ったことなどありましたか。

川口大喜 これは昔、ドラムはありましたね。今はあんまりないんですけど。

松本大 初期の頃は手が4本必要だったよね(笑)。

川口大喜 俺が人間を捨てるしかなかった(笑)。でも今は人力でちゃんと叩けるデモになっているので、僕の場合はそこから修正していく感じですね。たまに丸ごと変えてしまう時もありますが。

――ギターはどうですか。

松本大 僕がギタリストでもあるので、(大屋)真ちゃんと相談しながら作っていきます。

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