ミュージカルのように　Swimyの理想形「男女３人混声ボーカル」

デビュー曲は「大海原に飛び出して行く瞬間」

みっけ（Vo＆Dr）

――今作「あっちむいて」はどういった事を思って書かれたのでしょうか

Takumi　「音楽の大海原に飛び出して行く瞬間」という今の自分達の状況と、「アニメのタイアップの書き下ろし」というテーマが僕の中でリンクしていたんです。今までも大変な事がたくさんあったんですけど、これからもっと荒波に揉まれつつも乗り越えたいという思いと、音楽を楽しんでちゃんと前を向いて進んでいけるように、という思いを込めました。「ここから飛び出すんだぞ！　しっかりしろよ自分ら！」みたいな。けっこう自分に向けた歌でもあるかなと思います。

――歌詞にある「江戸、明治、大正、昭和、平成」というフレーズが印象的です。何か意図が？

Takumi　そこは一番キーワードとして大事な所で、僕らが音楽史に片足突っ込んでこれから始まるという所で、時代、時を超えても、ちゃんとこの曲が残り続けていろんな人を巻き込んでいくようになって欲しいなと。そういうバンドになりたいなという思いと、みんなで曲に合わせて手を叩こう、という事を表現したくて入れ込んだ歌詞でもあるんです。

――３人ボーカルにおて、これまでの曲と今回の「あっちむいて」とで変えた所や気を付けた所はありますか

Takumi　僕たちは案外、３人で掛け合うという瞬間が今までの曲ではあまり無かったんです。Aメロは誰、Bメロは誰、サビは、みたいな分け方が多かったんですけど、この「あっちむいて」という曲で言うと同じセクションで３人が掛け合って入り乱れるようにして、よりカオスなトリプルボーカル感は今までの僕らの感じとは違うと言うか。今まではセクション毎でボーカルパートを分ける事で複雑さを回避していたんですけど、やっぱり僕らの個性はトリプルボーカルなので、それをより強調できるようにして作ったので、今までと違う歌い方かなと思います。

――歌うにあたって自身の変化はありますか

Takumi　僕自身が「分けたがり」というか、「僕が歌って届けるんだ！」というよりかは「一緒に歌って」というテンションで歌っている事が多かったんですけど、「あっちむいて」に関しては「まず僕の歌を聴いて欲しい」という“自己主張が強いモードのTakumi”が発生したかなというのはあります。

――まおさんはそれについていかがですか

平成のまお　何か頼もしくなったな、みたいな（笑）。以前までは「歌う？」みたいな感じだったのが、この曲に関しては「歌う！」みたいな感じで、しっかり芯を持っている感じします。ボーカリストとして頼もしくなったなと。今後もその頼もしさを保って頑張って欲しいです（笑）

Takumi　親みたいだな（笑）

――みっけさんはどうですか

みっけ　その思いがあるからなのか、今までとは違う力強さが音源に。そんな想いを秘めていたとは（笑）すごく聴き応えがあります。

タイキロイド（Gt＆Cho）

――曲を聴いていると、ボーカルが楽器の音のように聴こえる部分があるんです。それは何か意識されているのでしょうか

Takumi　曲の作り方で、先に言葉が決まっていたりするんです。メロディが楽器の音のように聴こえるというのは、語呂も関係していると思いますね。けっこう“音”を主体に作るので、メロディが「歌」と「言葉」というより、ただの「音」として捉え、それをそのままアウトプットしたらそういう感じの響きになる事も多いのかなと思いますね。

――最近の関西系バンドなどを聴くと、語呂やリズムで言葉をはめ込んでいくのが流行っているのかなという認識をしていたのですが、過去のアルバムを聴いたらそうではなかったので、今回の作品はかなり重要なのではないかと思いました

Takumi　そうですね、僕らも凄く重要だと思っています。

――今後はこういった方向で？

Takumi　「あっちむいって」に関しては僕らにとって異質な作品というか、そういうイメージが最初はあったんです。でも不思議な事にそう感じなくなってきたというか。もしかしたら、そういった方面の楽曲も増えていくのかなと。そこは特に考えていなかった部分でもあるので。

――それでは作品に対する想いを各々お願いします

タイキロイド　コノキョクデ“メジャーデビュー”サセテイタダクノデ、タクサンノカタニキイテイタダイテ、「swimy」ノコトヲシッテイタダケタラウレシイデス。

Takumi　無垢な感情というか、ただただ楽しめるように、その上でちゃんと背中を押せるような曲にしたので、何もかも忘れてしまいたい時に「何も考えずに楽しめるな」みたいなリズムの面白さとか、メロディのキャッチーさがあると思うので、その辺を「ただただ純粋に」楽しんで欲しいと思います。

平成のまお　このシングル「あっちむいて」がきっかけでSwimyの事を知ってもらえる事が増えると思うんですけど、このシングル収録の３曲はどれも凄いこだわっていて、全部の曲をシングルにしてもいいくらいの気持ちで全曲作っていて、それは今後も変わらない姿勢で行きたいと思っています。「あっちむいて」はもちろんなんですけど、「etc」とか「relAte」も含めて“Swimyらしさ”を詰め込んだ１枚なんです。コーラスもただハモるだけじゃなくて、和声をこだわったりとか、歌詞を後半アナウンスチックにしていったりとか、聴いていて楽しくなるような要素も入っているので、色んな気持ちにさせて何回も聴きたくなるような、“聴き応え抜群”になるように作りました。「Swimyをもっと知りたいな」と思ってもらえるようなシングルにしました。

みっけ　言葉遊びが楽しいので、何回も聴いて欲しいですね。歌を一番に考えたし、あとやはりバンドなので楽器演奏も全員こだわって考えているので、そこも聴いて欲しいなって思います。何回も聴いて楽しんで下さい。

（取材／撮影・木村陽仁）

Swimy

　◆Swimy　ポップを壊し自由な発想で再構築した独自性の高い楽曲に、独特の世界観を持つ詩を織り交ぜ、絵本のようなカラクリワールドに誘う。トリプルヴォーカルの反復する言葉とメロディ、ギターリフが頭の中を駆け巡る。男女混声トリプルヴォーカル4ピースバンド。2011年に滋賀県で結成し、関西を中心に活動を開始。デモ音源が試聴サイトの週間ランキングTOP10入りを果たしたり、関西のテレビ局の番組テーマに選出されるなど、着々とその名を広め、タワーレコードより今年3月限定シングル「マスコットになりたくて」（完売）、6月には初の全国流通アルバム『ラブルと宇宙』を発売。数々のオーディションでファイナリストに選出され、各地のライヴサーキットに出演し、俄然注目を集める中、３月にアリオラジャパンより「あっちむいて」でメジャーデビューする。