ミュージカルのように Swimyの理想形「男女3人混声ボーカル」
INTERVIEW

ミュージカルのように Swimyの理想形「男女3人混声ボーカル」


記者:木村武雄

撮影:

掲載:16年02月26日

読了時間:約17分

ミュージカルみたいに

みっけ(Vo&Dr)

みっけ(Vo&Dr)

――バンドや歌い手は曲を届ける目線として自分なのか、それともお客さんなのかに分かれると思いますがその辺りは?

Takumi どちらかというと「一緒に歌ってください」というか。何ならお客さんもハーモニーに混ぜたいくらい。Swimyの合唱に付き合ってもらい、一緒に歌を重ねる楽しさを届けたいですね。ミュージカルみたいに、登場人物が突然歌い出して、それに対して周りの人がどんどん歌っていくみたいな事がすごくワクワクするんです。そういうバンドを作りたいので、そういうスタイルをわかりやすく伝えるのに「トリプルボーカル」というのは良い形だと思っています。

――「劇場形」といった感じなのでしょうか

Takumi 確かにそうですね。「劇場形」を目指したいですね。

――ボーカルが複数だと聴く人のなかには混乱する人もいるのではないかと思ったのですが

Takumi それはかなりありますね。ライブを初めて観てもらった時に、「この人が歌うんだ」と思っていたのに、あれ? となるような事は。でも、それも含めて他のバンドには無い、僕らが魅せられる一つの個性でもあるのかなと。難しい所でもあるんですけど、逆にそれを利用してもっとカオスにしていけた方が僕らとしては面白いかなと思うんです。

――みっけさんはバンドからのお誘いの話があった時の印象は?

みっけ 1回スタジオに入ろうという話をもらって、そこから自然に、という流れでした。

――当時から歌って欲しいという話だったのでしょうか

みっけ それはなかったですね。初めは、ドラムを叩いてたまにコーラスを、という話でした。

平成のまお でもこっちはもともと入ってもらったら歌ってもらおうというのを企んでいたんですけど、いきなりドラム叩いて歌も歌って、だとちょっと荷が重いかなと思って(笑)

Takumi 段階を踏んでぬるま湯から始めたんです(笑)

平成のまお 最初はコーラス、次に歌詞のハモり、という風にだんだん段階を踏んでいって、そのうち「じゃあちょっとここをメインで歌ってみようか?」みたいに徐々に要求していって、知らぬ間にトリプルボーカルになっていくという(笑)

みっけ 今思えば「何でだろう?」という感じで歌っていったんですけど、その時は必死で。

――タイキロイドさんはそれを冷静に見ていた訳ですね

タイキロイド ソウデスネ。イツモ ミ テマス。

――バンドの変化をどのように見ていましたか

タイキロイド(Gt&Cho)

タイキロイド(Gt&Cho)

タイキロイド スタジオニハイルタビニ ドンドンコエガフエテイクンデス。「スゴイナア」ッテ。

Takumi タイキロイドもただ客観的に見ていたんですけど、知らぬ間に自分の前にもマイクが置いてあるんです。

タイキロイド ハジメハナカッタノニ…。

Takumi 僕とまおがボーカル、みっけもコーラスからボーカルに昇進したくらいの時に、タイキロイドがコーラスを。ゆくゆくはタイキロイドもボーカルに変わるんじゃないかなという(笑)

――そういう狙いはあるのですか?

Takumi 可能性としてはあっても面白いんじゃないかと。よりカオスという意味では。

――確かに面白いですね

Takumi やってみたいという思いはあります。

――歌唱力はどうなんでしょう

平成のまお 思いのほかあるよね。

タイキロイド ドウナンデショウカネ。

Takumi レコーディングの時にコーラス入れとかしてもらうんですけど、「けっこういい声してるんじゃね?」というのがザワッとありますね。

タイキロイド ガンバリマス。

意識の変化が音楽性にも

Takumi(Vo&Gt)

Takumi(Vo&Gt)

――2015年6月にミニアルバム『ラブルと宇宙』を出されていて、その時と比べると今作は音楽性をシフトチェンジしたのかなという印象があります

Takumi 前のミニアルバムは「自主で作ってきた曲を集めて全国に流通させてもらった」という感じだったんですけど、今回の楽曲はより今の僕らが鳴らしたい音に近いというか。意図的に変化を付けたつもりはあんまりないんですけど。

――メジャーデビュー曲「あっちむいて」は、テレビ東京系アニメ『銀魂゜』のエンディングテーマで、書き下ろし曲なので番組のテーマに寄り沿ったのかなとも

Takumi 心境の変化は大きかったかもしれないですね。アニメのタイアップ、何かの作品をテーマに、というのもそうですが、この「あっちむいて」を作った時は、そこから僕達がちゃんと音楽で生きていくという事を視野に入れて、自分達がどういう音楽を鳴らしてこの先進んで行きたいのかという事を明確に意識し出した時でもあったんです。

 今までは自分達の創作意欲を消化していくという作業だったのが、ちゃんと表現として世の中に示していこうという意識で作った曲だったので、「銀魂」に対して書き下ろしたという明確なテーマもありつつ、自分達の音楽で示していくという意思表示が歌詞にも曲にも込められています。そういうのは今までに無かった部分なので、以前の楽曲とはニュアンスが違うと感じられたのかもしれませんね。

――バンド仲間であるTHE ORAL CIGARETTESやLAMP IN TERRENも出演したオーディション『MASH FIGHT Vol.2』(編注=THE ORAL CHIGARETTESはゲスト出演、2013年開催)が1つのキーポイントにもなったのではないかと思いますが

Takumi やっぱり、多くの人にも知ってもらえるし、自分達の力も試せるし、そこに対しては凄く意識していたと言いますか。オーディションで勝ち上がるというのは、その時の僕たちの大きい目標だったので。たまたま運良くセミファイナルで音源を選んで頂いて、ファイナルまで進めたんですけど、ずっとそういう事を目標にしていた部分もあったんですよ。「オーディションでいかに結果を残せるか」みたいな。けど、そこで限界を感じたというか。つまらないな自分達はと。決勝で勝てなかったんですけど、自分達も納得したんですよね。

「何で俺らが1位じゃなかったんだろう」ではなくて、こう、バンドとして足りないものというか「面白くないな、今の自分達が」と。選ばれなかったことが理解できたので、そこからオーディションを目標にするというよりかはバンドで何を表現したいか、どういう事をやったら面白いか、僕らが本当に音楽でやりたい事をもっと追求しないと面白いバンドにはならないと言うことに気付いて。バンドとしてのモチベーションの持っていき方とか考え方とか、そのオーディションが大きなきっかけになったと僕は感じています。

平成のまお(Vo&Ba)

平成のまお(Vo&Ba)

――その時の音源も聴かせて頂きました。サウンド面ではどちらかというと、ギターが全面に出ている激情ロックというか、ポストロックのような印象です。その後に出されていく楽曲は現在の音楽性に似ていて。こうしたサウンド面での変化はこのオーディションが大きく影響しているのではないかと

Takumi それは結構あるかもしれないですね。より、「僕らにしか持っていないのは何なんだろう」と考えたきっかけではありますね。

――昨年6月に発売されたファーストミニアルバム『ラブルと宇宙』に収録されている曲はいつ頃作られた曲でしょうか

Takumi バラバラですね。

――オーディションに出る前に作った曲でしょうか

Takumi 多いですね。

――それ以降に作った曲は

Takumi 「ロンリーランド」くらいですね。

平成のまお 「ライスはパンが好きだ」も。

――「ライスはパンが好きだ」は今に近いと思いました

Takumi その通りです。

――となればターニングポイントはやはり「MASH A&R」だったんですね

Takumi 僕らの中で大きかったです。色んな人に知ってもらえたという部分もそうですし、バンドを見つめ直せたので。

この記事の写真

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事