差別化の奇策か、タレントとしても通用する女子ジャズ

[写真]ビキニ姿で演奏のピアニストが話題に(1)

ビキニ姿で演奏するジャズピアニストの高木里代子(6日、東京国際フォーラム)

 さて、少し前にジャズ関連雑誌やCDショップのPOPなどで「女子ジャズ」という言葉が踊ったことがあった。そしてそれは媒体によって言葉の取り扱いがまちまちだったのを覚えている。

 あるメディアは「女子が聴くためのジャズ」としてプッシュし、またあるメディアは「女子プレイヤーが演奏するジャズ」という文言を使用して話題にしていく、という具合だ。いわゆる○○女子ブームにジャズ側が乗り込んだ形である。なお、安直に「ジャズ女子」にならなかったところも興味深いが。そしてここで言及するのは、後者の女性演奏者についてである。高木はその女子ジャズの末裔というべき存在であるからだ。

 2000年代に入ってから女性ジャズプレイヤーが増えたことは明らかである。サキソフォン奏者の矢野沙織、ピアノ・キーボード奏者の上原ひろみらを筆頭に頭角を現してきた女性演奏家たち。そしてどの奏者もプレイが舌を巻くほど上手い。この背景にはジャズ理論教育カリキュラムの合理化や学ぶ環境が増えたこと、音楽大学のジャズ科の新設ラッシュなどが挙げられるだろう。

 そして今日に至るまで多くの個性的な女性プレイヤー、女子ジャズが輩出された。しかし、段々と差別化が難しくなってしまっているというのが実のところな気がする。

 そこで女子ジャズを一歩進めて、上手いだけでなくタレントとしても通用する、というスペースを上手く突いたのが高木だった。積極的に露出し(メディアにですよ)、グラドル的な活動にも着手してジャズの裾野を広げようという作業。彼女が今取り組んでいるのはまさにそれではないかと思う。

 そして、それはプレイヤーとして「男には負けないぞ」という男勝りでなく、女性らしさを前面に押し出すということでもある。そういう意味でこの論はこのまま進むと「楽器演奏者におけるジェンダー」という問題に衝突するわけだが、ここでは深くは触れない。

 どうしてもその際立った“セクシー”さに目が向きだちだが…。なんにせよ、ジャズ界から出た新しい女子パワーが高木里代子であることには間違いなさそうだ。(文・小池直也)

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水着姿で演奏の高木里代子の評価は

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