互いの楽曲をカバー

[写真]筋肉少女帯と人間椅子がアロハ姿披露

アロハ姿を披露している筋肉少女帯と人間椅子

 そして、ファンの間でも注目を集めているのがカバー曲だ。筋肉少女帯が人間椅子の「ダイナマイト」、人間椅子が筋肉少女帯の「少年、グリグリメガネを拾う」をそれぞれカバーし合った。

 互いにシングル曲ではなく、アルバムからの選曲というのも興味深い。なぜ、この選曲になったのか。「ダイナマイト」を選んだ理由を大槻は「このナンバーはライブでやらせてもらったら盛り上がるだろうなぁと絵が浮かんだからです」と語り、ライブを想定した選曲となったことを明かしてくれた。

 そして、レコーディング時のエピソードを筋肉少女帯の本城は以下に語ってくれた。

 「『ダイナマイト』は、シンプルだけれどとてもパワフルな楽曲だったので、アレンジ的に各々が自由な発想で彩る事で、ちょっと懐かしい…けど、とても筋少らしいサウンドになったんじゃないかなと思います。ちなみにこの曲、パチンコ(台?)について歌っているのですが、メンバーのほとんどに知識がなくレコーディング中、唯一その辺り詳しい橘高くんが懇切丁寧に説明してくれたにも関わらずチンプンカンプンだったよ(笑)」。

[写真]筋肉少女帯と人間椅子が合体2

人間椅子

 「少年、グリグリメガネを拾う」を選んだ理由を人間椅子の和嶋は次の通りに答えてくれた。

 「ライブでの定番曲、代表曲はイメージが強すぎて選び辛いと思いました。人間椅子はハードロックバンドなので、シンプルなリフで押せる曲をまず探しました。『少年、グリグリメガネを拾う』は初期の楽曲ならではの、いい意味で荒削りな部分があります。原曲の持つ青春期特有の不安感を残しつつ、この曲ならば人間椅子流のサウンドとアレンジで表現できると思い選曲しました」

レコーディング秘話

 また、和嶋はレコーディング時のことを以下のように振り返っている。

 「ボーカルは三人で歌い分けることにしました。譜割りが原曲とやや違いますが、それは楽器を弾きながら歌えるようにするため。歌入れ時ちょうど筋少の内田君がいたのを幸い、ちゃんと許可を得ました!間奏は、リスペクトを込めて印象的なフレーズは弾きました。3番のミャーンというシンセっぽい音、これは歌詞に出てくるネコ感を演出 すべく、スライドギターにアッパーオクターブファズを掛けて、5回ダビングしてみたものです」

 両者の話から考えると、共通して自分達らしいサウンドで表現ができているか、というところに重きを置いていたようだ。互いの楽曲のイメージを壊す事なく自分達らしさとこだわりを表現した、完成度の高いカバー曲となっている。

 四半世紀ものあいだ最前線にいた2組、音源を聴いているとそのキャリアに裏付けされた説得力がある。ロックとは何か、エンターテインメントとは何かをわからせてくれる作品に仕上がっている。

 この音源を引っ提げて、6月7日には渋谷公会堂でのライブも決定している。百戦錬磨の両バンドなだけにどのようなステージになるのか、期待感が膨らむ。 (文・村上順一)

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